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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
214/283

甘え

翌朝、家を出ると菜奈とバス停で待ち合わせた。

「おはよ」

「おはよう」

―――気を遣わせちゃって…。


「変なやつ、昨日現れた?」

「…ううん」

――――私の思い過ごしなのかもしれない。




でも、私のそんな予想は、教室に入ると打ち砕かれた。


「茗子っ」

愛梨が私が教室に着くとすぐに駆け寄る。

「愛梨、おはよう」

「茗子のメイド服だけ…見当たらないっ」

愛梨が挨拶を返す代わりに、そう言った。


「どうしてか分からないけど…茗子ちゃんのやつだけ…朝来たら無くなってて」

同じクラスで今日一番に教室に来た子が言う。



――――どうして…?


「はよー…って、何、この空気…」

航くんが教室に入ってきてすぐ、立ち止まる。

「茗子のメイド服が無くなってたの」

愛梨が説明する。


「今日は、茗子、制服のまま裏方の仕事だけしてくれたらいいから」

愛梨が言う。

「うん…」



――――なんで?今までこんなこと、無かったのに…。

怖い…。



「あれ?どうして制服?」

生徒会の仕事をしに、生徒会室にいくと、

後からハルくんが入ってきた。


「メイド服の茗子、見たかったのにな」

「………」

――――なんで?久しぶりに会ったと思ったら、…何もなかったみたいに振る舞うの?


「茗子、どした?」

「ハルくん…」

――――どうして私には…何も話してくれないの?

片想いの私には、何も言う資格ない…。


――――どうして私は、ハルくんが好きなんだろう。


今のハルくんは、私を必要としてないのに。


それでも私、いつまでも…忘れられない…。




私は、何も言えずに生徒会室を飛び出した。



「茗子ちゃんっ」

廊下から私を呼ぶ声がした。

「航くん…」

航くんが走ってくる。


「探したよ…」

肩で息をしながら、航くんが言う。

「ごめん、生徒会の仕事に…」

「一人だと危ないから…誰かと一緒に居て?」

「………」

―――航くんは…優しい。知り合ったときからずっと…。



「とりあえず、愛梨が教室にいるはずだから、一緒に戻ろ?」


―――だから、いつも…甘えてしまう。


航くんから差し出された手を、思わず取ってしまった。


―――ダメなのに…、航くんには彼女がいるのに…。


ごめんなさい、今だけ…甘えさせてください…。

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