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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
211/283

ハルくんとの帰り道

「茗子、今帰り?」

校門を出たところで、ハルくんが後ろから声をかける。


――――一人で帰るのが怖かったから、ホッとしたけど…。

ハルくんと二人で帰るのは、気まずい…。


嬉しくてドキドキするのに、悲しくて泣きそうになる。


「どうした?元気ないな」

――――ハルくんのせいだよ…。

なんて、言えない…。


「…そんなことないよ」

私は前を向いたまま答える。

「―――咲とやり直せばいいのに。」

「え?」

「母さんに聞いたよ。二人で浴衣着て、花火大会に行ったんだろ?」


――――ハルくんは何にもわかってない…


「つまらない喧嘩で別れたんなら…仲直りしなよ?俺、協力するし…」


――――ほんと、何にもわかってない…



「私と…サクちゃんが付き合っても…何も思わないの?」

私が苛立ちながら、言うと、ハルくんが聞き返す。

「“何も?”って…」


「愛してるって…言ってくれたのに」

ハルくんに怒りをぶつけるように口から言葉が出てしまう。


「茗子、どうしたんだよ、急に…」

ハルくんが困惑する。


「急じゃない…急じゃなくて…」

気持ちがこみ上げてきて、涙が溢れてくる…。


「茗子、落ち着いて?」

私が勢いで、告白しようとすると、私の口にハルくんの手が触れる。


「駄目だよ…俺達は上手くいかない…」


―――――言わせても、もらえなかった。


「好きなだけじゃ、上手くいかないんだ…」


「ハルくん…」


「もし、何年か後に会って、お互いもっと大人になって…その時に恋におちたら、きっと上手くいくよ俺達は…」


「何それ…」

納得いかなくて、ハルくんを睨む。


「茗子…ごめん…」


でも…ハルくんがあまりにつらそうに言うから…、

私は何も言えなくなった。



なんだか、私より、つらそうだったから…。

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