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インターハイ二戦目の前に ~咲目線~
「なんで俺が春と―――」
つい不満を口にしてしまう。
寄りによって、このタイミングで相部屋とか…いじめかよ…。
「今日は凄かったな…咲」
「兄貴ぶってるつもりかよ」
「俺はただ純粋に褒めてるんだけど?」
言いながら春がホテルのベッドに腰かける。
「最近イチイチ突っかかるな…何か言いたいことでもあんのか?」
春が言う。
「お前…茗子のこと、どう思ってる?」
「は?」
春が驚いて飲みかけてた水を溢しそうになる。
「咲?なに急に…」
「お前が茗子に優しくするから…」
「え…?」
――――だから俺は…いつまでたっても…茗子に見てもらえないんだろ。
俺が言葉を切って、うつ向いていると、
「咲…お前にもいずれ話そうと思ってたんだけど―――」
春は、静かに話し出した。