呆然
第27話です。
先生の授業を聞きながら、ふと、翼の席に視線を向ける。
そこだけぽっかりと空間が空いている。
翼は朝から来ていない。
最近よく忙しそうにしていたし、何かあったんだろうか。
遊園地の時にもいなかったしな。
……遊園地か。
「もう1人……殺したい人がいる」
あの時の美羽の声がふいに蘇る。
肌の上を鳥肌が駆けた。
次は、誰を殺すんだ?
前に殺した人は、美羽を虐待していた。
じゃあ次は?
何のために?
思考に靄がかかって、上手く考えられない。
美羽は何を考えているんだろうか。
彼女と長く生活していたのに、全く知らない。
黒板を走るチョークの音が、やけに遠く聞こえた。
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昼休みになっても、お腹は空かなかった。
机に肘をつき、虚空をぼんやりと眺める。
美羽のところに戻りたい……でも、人は殺したくない。
殺した景色がよぎり、血の匂いが蘇ってきた。
「やめろ……」
思い出しちゃいけない。
深呼吸をして、想起をとどめる。
意識を切り替えるため、鞄から問題集を取り出した。
ページを開き、勉強へ意識を向ける。
数式を目で追い、無理やり思考を移していく。
しばらく手を動かし、解き進めていると、ふとペンが止まった。
「あれ?……違う」
シャーペンを置き、式を見直す。
「ああ。そっか不等号の向きが逆か」
普段ならこんなミスしないのに。
集中できていない。
やっぱり美羽に……いやダメだ。
僕は一人でも大丈夫。
美羽に頼らなくても大丈夫なんだ。
そう自分に言い聞かせ、もう一度シャーペンを握りなおした。
( ˘ω˘)スヤァ




