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呆然

第27話です。

先生の授業を聞きながら、ふと、翼の席に視線を向ける。


そこだけぽっかりと空間が空いている。


翼は朝から来ていない。


最近よく忙しそうにしていたし、何かあったんだろうか。


遊園地の時にもいなかったしな。


……遊園地か。




「もう1人……殺したい人がいる」


あの時の美羽の声がふいに蘇る。


肌の上を鳥肌が駆けた。


次は、誰を殺すんだ?


前に殺した人は、美羽を虐待していた。


じゃあ次は?


何のために?




思考に靄がかかって、上手く考えられない。




美羽は何を考えているんだろうか。


彼女と長く生活していたのに、全く知らない。




黒板を走るチョークの音が、やけに遠く聞こえた。




******



昼休みになっても、お腹は空かなかった。


机に肘をつき、虚空をぼんやりと眺める。


美羽のところに戻りたい……でも、人は殺したくない。


殺した景色がよぎり、血の匂いが蘇ってきた。


「やめろ……」


思い出しちゃいけない。




深呼吸をして、想起をとどめる。


意識を切り替えるため、鞄から問題集を取り出した。


ページを開き、勉強へ意識を向ける。


数式を目で追い、無理やり思考を移していく。


しばらく手を動かし、解き進めていると、ふとペンが止まった。


「あれ?……違う」


シャーペンを置き、式を見直す。


「ああ。そっか不等号の向きが逆か」


普段ならこんなミスしないのに。


集中できていない。



やっぱり美羽に……いやダメだ。




僕は一人でも大丈夫。

美羽に頼らなくても大丈夫なんだ。


そう自分に言い聞かせ、もう一度シャーペンを握りなおした。

( ˘ω˘)スヤァ

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