第22話 岩山の戦い始まる
アウレールがブルーノたちに合流する。その頃、エゴン少佐の軍は岩山の道の入り口に集結を終える。エゴン少佐は、装甲車を1台斥候に出す。
装甲車は200メートルほどの両側が崖の道をゆっくりと進む。乗員は崖の上にも注意を払う。両側が切り立った崖になっているため待ち伏せするのに最適な場所である。
装甲車は無事に岩山の道を走り抜ける。乗員は緊張の糸が切れホッとする。その時、装甲車にロケット砲が命中する。
「敵襲だ。」「動けー」
兵の1人が装甲車の機銃に取りつく、しかし四方から銃撃が始まり、機銃に取りついた兵は撃たれて倒れる。
装甲車に2発目のロケット砲が撃ち込まれる。生き残った兵は燃える装甲車から飛び出すがみんな銃撃に巻き込まれ倒れる。
これを見ていたエゴン少佐は、戦車5両を岩山の道に突入させるとともにガント2機を突入させる。
ガントは崖を足場にジャンプしながら岩山の道を突っ切る。アウレールは、ガントをライフルで狙うが狙いをつけられず、岩山の道を通してしまう。
彼は、ワルカの盾に装備されているビームバルカン砲を使う手があったが無差別に殺してしまうようで使うことをためらったのである。
彼は無線でガントのパイロットたちに呼びかける。
「殺したくありません。引き返してください。」「トール1、聞いたか子供の声だぜ。」「トール2,ここは戦場だ。分かっているな。」
「分かっているよ、トール1。坊やおじさんたちは戦いに来たんだ。殺すのが嫌ならさっさと帰りな。」「俺はエリアを守る。」
アウレールは覚悟を決める。彼はガントを狙ってライフルを撃ちがかわされる。ガントは2機連携して左右からワルカに機銃を浴びせる。
しかし、ワルカの装甲には傷一つつかない。
「どうなっているんだ。トール1。」「ダメージが無いな。関節を狙うぞ。」
アウレールは逃げるふりをしてガントをブルーノたちから切り離す。そして、盾の防御スクリーンを展開する。
ガントのパイロットは、ワルカが何かバリアのようなものを展開したことに気づく。
「トール2、機体の性能は向こうが上だ。気を付けろ。」「パイロットは子供で腕は二流だ。このまま攻め続ければ俺たちの勝ちさ。」
一方、ブルーノたちは、戦車の侵入を阻もうと先頭の戦車に火力を集中するが戦車に押し切られる。
5両の戦車は岩山の道の出口を占拠する。クルトの指示で隠してあった3両の自走砲が砲撃を始める。砲弾は1両の戦車を大破させる。
残りの戦車は自走砲に対して砲撃を始める。さらにエゴン少佐は装甲車3両を突入させ、戦車が占領した出口に送り込み、兵に自警団に対して銃撃を始める。
自警団も銃撃を続けるが軍の兵は戦車を盾にしているので効果が薄い。ブルーノがクルトに言う。
「このままじゃ、じり貧だぞ。一旦引いて立て直すか。」「まだです。ワルカとガントの戦いに勝敗がついていません。勝った方がこの場の勝利者になりますよ。」
アウレールは、戦車が突入して来てブルーノたちが不利になっているのが見えている。加勢したいが、彼はガント2機の相手で手いっぱいである。