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神に選ばれし英雄の異世界物語  作者: 甘味神宝
五大英雄ともう1人の英雄
36/86

前英雄物語 再開

種族について・マル

魂をそのままにしたような姿を持つ丸い種族。

無限の可能性を持ち、環境により異なる進化をする。様々な成長をし、その結果、環境、自分の思いなどにより、マルは魚や鳥、人型などに成長し、それぞれで集まり、生活するようになる。

しかし、寿命がなかったため、生きている限り無限に成長するようになってしまっていた。



前回のあらすじ

前英雄と現英雄が集結し、ルークスの封印を解き、魔方陣に足を踏み込んだ。

移動した先で待っていたのは緑あふれる世界だった。


****


「なんだ、ここは」


 魔方陣より移動した先に着いたレイが発した最初の言葉がそれだった。

 目の前には樹木が生い茂っており、日の光までもがあった。緑あふれる一面の世界だった。


「お前はどういう世界を想像していたんだ?」

「何か……もっとこうドロドロしたものを」

「ルークスは光の神だ。そんな世界であるはずがないだろう。それにしてもおかしいな」

「何が?」

「封印したときはもっとシンプルに作っていたはずだった。こんな自然が溢れているなら、この世界はルークスの支配下であり、異世界に近いものになっているだろう」


 シュガーはそう説明し、次はラヴァに話しかけた。


「ラヴァ」

「ん、なんだ? シュガー」

「これを」

「気が利くな」


 ラヴァに渡されたのは黒いリボンだった。彼女は腰まである赤い髪を上にあげ、リボンでまとめ、ポニーテールにした。


「これで良し」

「あと、これを」


 シュガーはエクレールから受け取った包みをラヴァに渡した。


「次は何だ?」

「500年前に約束したものだ」

「そんなことまで覚えていたのか」

「空を飛んで、辺りの様子を見てくる。ラヴァたちは待機してくれ」

「なら、僕も行くね☆」


 ティアとシュガーは空へと飛びだった。

 ラヴァは受け取った包みを開けた。それは弁当箱であり、サンドイッチが入っていた。その場で座り込み、それを食べていく。レイは彼女に500年前の戦いについて、聞いた。


「あの、ラヴァさん」

「なんだ」

「500年前、アリスさんと戦った時はどんなふうに戦ったんですか?」

「アリスには天人のブロギオン、竜人のペテルギウス、人のシリウスの3人の使徒がいたんだ。ブロギオンには夢人のピラトと魔人のギオンが、ペテルギウスには天人のシュテルと霊人のセレネが、シリウスには獣人のシュガーと狂武人のアイランが戦ったんだ」

「ラヴァさんは?」

「ラヴァは勇者のナイアと共にルークスの神核を破壊しに行っていた」


 神核という言葉をレイは初めて聞き、そのことを聞いた。


「神核とは?」

「この世界の神は神核が元になっていて、その核から出る神力で神は形どっている。そのため、神を倒しても神核がある限りは何度でも復活することができる。それを防ぐためにも壊しに行き、壊すことに成功したんだが、別の核があったんだ」


 レイとラヴァの話を聞いていたルキスはその別の核について、覚えがあり、それを口にした。


「もしかして、別の核ってアリスが分けてもらった核?」

「そうだ。神が使徒ではなく、核を分け神核者を作るのはその核から復活できる可能性を増やすためでもある」

「つまりは神核を壊せば解決ということですよね?」

「シュガーが何を考えているのかが分からないが、おそらくな。まあ、弱点は互いに分かっているから、そう簡単に破壊できるとは思えないが」


 レイたちが話しているとシュガーとティアが空から戻ってきた。


「どうだった? シュガー」

「とんでないものがあった。おそらく、そこにアリスがいる。ジル、竜になってくれ」

「分かった」


 ジルの体が光ると人から竜になった。シュガーの右手に竜の紋章が浮かび上がり、竜力を込めていく。すると竜力はジルへと流れ、成長し、体が大きくなっていった。金色の鱗は日の光が反射することで綺麗に輝いていた。

 彼女はシュガーたちが乗りやすいように体を低くした。


「これがシュガーのフィデス?」

「そうだ」


 レイの質問に答え、竜の背へと乗っていく。翼を羽ばたかせ、空へと飛び立ち、地上から離れていく。

 樹木の上へ行き、空に行く。遠くには空を飛んでいる船があった。


「あれは何?」

「俺も見たことがないが、おそらくアリスの神装の1つだろう。乗り込むぞ」

「あれを打ち落とせばいいのでは?」

「それもそうだな。ラヴァ」

「分かった」


 アスカの提案にシュガーは賛同し、ラヴァの名前を呼んだ。彼女はシュガーの意図を読み、2人はジルの背から降り、横に移動した。


「3人で攻撃する」

「分かった」


 2人はそう返事し、攻撃の準備へと移っていく。シュガーは両手の手の平に魔力を圧縮し、ラヴァは火のマナを操り、炎を出し、それを球状に圧縮していき、ジルは息を大きく吸いこむとともに雷のマナを取り込んでいく。

 そして、それぞれが船に向かって攻撃を放った。


「ドラゴ・ルギートゥス」

「火炎砲」

「サンダーブレス」


 シュガーは竜を模した両手の平から圧縮した魔力を撃ち出し、ラヴァは炎のレーザーを撃ち放し、ジルの口からは雷のブレスが吐かれ、船に襲い掛かる。結果、船を傷つけることをできなかった。


「やはり、無理か」

「直接、アリスをどうにかするしかないな。乗り込むぞ」

「行くわよ」


 ラヴァがそう呼びかけるとジルはそのまま船の甲板を目指し、進んでいく。


「おい、ラヴァたちを置いていくな!」


 シュガーとラヴァは慌てて、ジルの後ろを追いかけていった。

 船へたどり着くとそこには扉があった。


「扉があるな」

「扉があるなら、開けるだけだ!」


 ラヴァはケンカキックで扉を破り開けた。部屋の中に入るとそこは天井も壁も床も白い部屋で一番奥には扉があった。その扉の前には7人の天使が立っていた。その中の1人にミカエルがいた。


「お待ちしていました、シュガー様」

「シュガーはあの人たちに知っているの?」

「知った顔は4人いるが、ほかは知らないな」


 ミカエルの口から、シュガーの名前が出るとレイは彼に知り合いかどうかを聞いた。


「テスラ様がお会いになりたいのはシュガー様だけなので、ほかの方は私たちがお相手しましょう」


 シュガーとジルを除いた全員がその場から一瞬で消えた。


「どうするの?」

「前に進むしかない。みんな、覚悟して来たはずだ」


 彼らは扉の前に行き、慎重に開ける。その部屋には……。


「久しぶりね、シュガー」

「アリス……」


 アリスがいた。部屋の中心には長テーブルがあり、上座にアリスが座っており、そばには鞘と柄が赤い刀があった。


「懐かしい顔もあれば、知らない顔もある。とりあえず、紅茶でもどうかしら?」


****


 レイたちは天使と共にそれぞれの別々の空間に送られていた。

 セレネはティアと共に移動させられていた。目の前には女性の天使がおり、左手には鞭を持っていた。


「初めまして。私はイェグディエルと申します。最後に言い残すことはありますか?」

「私の名前はセレネと言います。最後に言い残すことですね。この空間はどれぐらい頑丈ですか?」

「そっとやちょっとでは壊れないですね。私を倒すことはできない限り、ここから出れません。ここはさっきいた場所は異世界のように離れていますので」

「それは安心しました。ティア、最初から全力で行きます」

「分かったよ☆ お姉ちゃん☆」


 セレネはティアの頭の上に手を乗せた。するとティアの体が光り始めた。


「何です? これは」

「私たち、カテーナに入る英雄はエインヘリヤルとは違い、神魂をフィデスで使役している対象に取り込ませることで対象の自己確立をさせ、ヘタイロスと呼ばれるパートナーにします。そして、ヘタイロスと一体化することで英雄としての力を発揮できます」


 ティアは水色の粒子となり、体に取り込まれていくとセレネの体は水の波に包まれていく。剣で斬られ、水は地面に落ちていった。

 彼女の羽織っていた白衣は青くなり、ロングスカートはミニスカートに、上着はタンクトップになっており、露出が増え、大胆になっていた。剣身には7つの星が刻まれていた。


「力を貸してください、神装エア」


 セレネが持つ剣の形状が変化していく。柄は丸みを帯び、金色になり、剣身は青くかがやっていた。


「この一撃で終わらせます」


 刃から水が溢れ、刃を中心に水は螺旋状に回転していく。それをイェグディエルにむけて、放った。その攻撃は大洪水を思わせるような水の斬撃だった。


天と地を裂く大洪水エヌマ・エリッシュ


 剣から放たれる世界を滅びかねない大洪水の前には天使は無力だった。天使はこの世から消え、洪水は壁を貫き、どこまで進行していく。


****


 ラヴァの目の前には男性の天使がいた。


「ラヴァの相手はお前か」

「私の名前はウリエル。500年前はシュガー様と戦いました」

「それで負けたのか。負け犬ごときに手こずるラヴァではない。お前にシュガーに負けた理由をおしえてやろう。それがラヴァに負ける理由にもなる」

「ほう、楽しみです。何を教えてもらえるんですか?」

「格の差をだ」


 互いに炎を出し、ぶつけ合う。身を焦がす戦いが始まった。


****


 ルキスの目の前に見た目が中性的な天使が立っていた。体の大きさはルキスと同じぐらいで男の子にも女の子にも見えた。

 天使はルキスに自己紹介した。


「ボクはラファエル」

「ボクの名前はルキス・ペリペティア」

「乗り気じゃないけど、戦おうか」


 ラファエルは水を呼び出し、鞭のように扱い、ルキスに狙いを定めた。彼は神装 雷霆(ケラウノス)で雷を纏い、それを避けた。

 雷霆(ケラウノス)は雷を纏うことで肉体を活性化させたり、その雷を放つことができる神装である。その状態でも速いが、放った雷を道として使うことで雷速移動することができる。

 しかし、この神装を使うことで強制的に雷の変換性質になるため、魔術やフィデスに使う力も雷に変換させるため、この神装を使っている時は他の力が使えないという弱点がある。

 ルキスは雷速移動をするために雷を相手に放った。


「危ないなー」


 水の壁を作ることでその攻撃を防いだ。


「なら、これだ」


 次は雷をただ放つのでなく、収束させることで貫通力を上げた。水の鞭を雷にぶつけるが、意を介さずに水の鞭を貫き、ラファエルに直線的に向かう。次々と水の鞭を雷にぶつけていくが、それでも相手に向かって行くが、貫くたびに雷は小さくなり、威力は下がっていた。

 ラファエルに攻撃が届くころには小さな雷になっており、手の平で容易に受け止められた。


「ずいぶんと可愛い攻撃だね。次はこっちからだよ」


 水の鞭をルキスに襲い掛かる。ある程度避けたら、雷霆(ケラウノス)を解除した。

 肉体を活性化させるには雷を常に纏う必要があった。それは常にルキスが持つエネルギーを雷に変換していることになるため、燃費が悪く、短時間しか使えなかった。ルキスはエネルギー切れを避けるために解除した。

 水の鞭がルキスの足を払うように襲い掛かり、彼はジャンプで避けてしまった。空中では移動できない。その隙を狙われ、3本の水の鞭が襲い掛かる。ルキスはフィデス 磁力(ガウス)を発動させ、鉄球を高速で回転させることで対抗しようとしたが、間に合わなかった。


「これで終わったね」


 ラファエルが終わったことを確信するが、ルキスの姿を見て、それは変わった。水の鞭に当たったはずのルキスが濡れるどころか、無傷でいた。


「どうやって、避けた?」

(水の鞭が勝手に避けただけ。もしかして……)


 磁力を纏っている左手を床にある水に近づけると左手から逃げるように水は外側に向かい、ドーナツのような穴ができた。


(よし、これならいける。あの技ができる)


 ルキスは最後の攻撃の準備をした。


「なに? あれは」


 その様子を見ていたラファエルだったが、ルキスが何をしたいのかが分からなかった。

 彼は左腕に3つの鉄球を連続で並べていた。右手にも1球握られていた。左腕をラファエルに向け、真直ぐに伸ばした。


「これで終わりだよ」

(この距離なら、さっきの雷と同じように水の鞭で防げる)


 ルキスは右手で持っている鉄球を左肩に乗せ、手を放つと鉄球は並べられている3つの鉄球へ磁力で強く引かれ、肩側に近い鉄球へとぶつかった。


「ガウスキャノン!」


 ぶつかった瞬間、反対側の鉄球がぶつけた速さの2倍以上の速さで文字通り弾丸以上の威力と速さで放たれた。

 なぜ、これほどの威力と鉄球同士をぶつけて、それ以上の速さが出たのか。それはガウス加速器が関係しており、磁石と鉄球の距離が重要になってくる。

 ルキスは3つの鉄球の内、一番左側の鉄球に磁力を纏わせ、磁石にすることでほかの2球を引き合わせていた。

 仮に鉄球と磁石を引き合わせるときに100の力を生じるとしよう。引きわせるときに100の力を生ずるなら、引き離すときにも100の力を生ずることになる。しかし、磁石には2つの鉄球があり、1番右側の鉄球は磁石と距離があるため磁力が弱まり、30の力で取れるとする。

 左肩から発射された鉄球が磁石に引き合わせるときに100の力が生じる。鉄球は30の力で取れるため、余った70の力は速さに転換されるので加速されるということである。


「なんだ、これ!」


 あまりの速さで水の鞭は1本しか前に出すことができなかった。しかし、それは意味をなさなかった。なぜなら、磁力を帯びた鉄球の前に水は反発し、水自身が避けたからであった。なぜ、水が避けたのか。それは鉄球が持つ磁力と水が持つ反磁性が反応したからである。水は磁石を近づけると反発する。

 鉄球はラファエルの右肩に当たり、右肩どころか上半身の右側の骨を粉々に粉砕し、背を地面につけるように倒れた。ルキスは雷霆(ケラウノス)を使い、ラファエルのそばに雷速移動した。それを見ていたラファエルが口を開いた。


「止めを刺したら?」

「ラファエルだったよね? 君は平和を目指していたんだよね?」

「そうだねー。シュガーとは道を違えたけどね」

「シュガーの知り合いなら、共に歩めないかな? テスラのやり方はいくら何でもひどい。やり直そうよ」

「テスラ様の指示が……」

「やりたいようにやる。これが大切だよ。聞かせて、君の本心を」

「やりたいようにやる……か。それを初めてやろうか」

「でも、戦いとはいえ、大怪我させてごめんね」

「僕は回復術が使えるから、時間さえかければ治せるよ。君のその左腕もね」


 ルキスの左腕はガウスキャノンの影響で痛んでいた。2人は傷をいやし、共に歩むことにした。


****


 シュガーとジルはアリスの誘いに乗り、椅子に座り、紅茶を飲んでいた。


「味はどう?」

「おいしいな。ジルはどうだ?」

「こんなことをしている場合じゃあないでしょう! シュガー、アンタ戦いなさいよ」

「それもそうだ。アリス、やめる気はないのか?」

「ないわ」

「それがお前の本心かは分からない。だからこそ、本心を聞かせてもらう」


 シュガーは紅茶を飲み終わり、ティーカップを置くとほぼ同時に刀を抜きながら、長テーブルの上を走り、アリスに駆け寄った。彼女も柄が赤い刀を抜き、シュガーの剣を受け止めた。


「本心を聞くと同時にその刀も返してもらおう」

「取れるものなら、取ってみなさい」


 英雄2人が激突する。


 今、500年前の戦いが再び始まった。

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