英雄集結
英雄・ノードゥスについて
フィデスに目覚めた英雄が到達する第2段階。
リトスの中にいる神との対話をすることで神の象徴である神装を具現化することができる。
神によって性格が違うため、協力的な神もいれば、力を貸してくれない神もいる。そのため、英雄によっても格差が出てくる。
この段階に入った英雄は神装を具現化し、第3段階であるエインヘリヤルに入るためにリトスの中にいる神魂の具現化を目指すことになる。
前回のあらすじ
デネブラエの南部を荒らす魔人と対決したレイたち。レイが戦い、優勢の時にシュガーが突如現れ、魔人に止めを刺す。そして、レイたちが道標を回収され、姿を眩ませた。
現英雄たちはアモルとリアマの言葉でシュガーの向かうところを把握し、そこへと向かう。
前英雄たちはシュテルの屋敷に集まり、これからの事を話し合う。
前英雄物語は再開を始めた。
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レイと魔人が戦っているころ、ミラとルリはアモルとアスラと合流していた。ルリのことを紹介しているとそこにシュガーが現れた。
「お前たちの道標をもらおう」
アモルとミラが持つ道標を奪われ、瞬間移動でその場から消えた。しばらくするとレイたちがやって来た。そして、別の宿屋へと向かった。
朝を迎えることで慌ただしかった夜も少しは落ち着きを取り戻していた。アモルはレイに昨夜のことを話した。
「これから、どうするかだよね」
「シュガーを追うしかない」
レイの言葉にリアマはそう言う。しかし、それには問題があった。
「問題はシュガーがどこに行く場所が分からないことだね」
「それなら、シュガーたちが作ったリベルダースのどこかじゃない?」
「正確な場所が分からないと」
レイがそう言うとリアマがフレアの時に会った樹人の言葉を思い出した。
「ある樹人がケーラという場所で英雄に会ったと言っていた。そこではないか?」
「ケーラと言えば、ルークスにそう呼ばれている森がありますね。そこには中に入れない祠があります」
「そこだ。すぐに向かうぞ」
「出発する前にみんなに聞きたいことがある。シュガーに会って、どうしたい?」
リアマが出発を促すとレイがそう発言し、足を止めさせた。
「僕はシュガーに会って、その目的を手伝ってあげたいと思っている。シュガーはおそらく昔の仲間を倒すのでなく、助けたいと思っているはず。なら、倒すのではなく、助けてあげたい」
レイの言葉にアモルが反応する。
「もし、彼が邪悪な目的を持っていたらとしたら、レイはどうしますか?」
「仲間として、止める。僕の英雄の力は倒すのではなく、仲間を助けるために得た力だから」
「そうですね。シュガーは自身の手で決着をつけたいと思っていると思います。なら、私もレイと同じように助けてあげたいと思います。自身の手で行い、その結果が受け入れがたいものでもいつかは受け入れてくれると思います」
「みんなはどうかな?」
レイがそう聞くと反対する者はいなかった。
「行こう、みんな」
英雄たちはケーラの森へと向かって行く。
****
ルークスに建っているシュテルの屋敷に五大英雄とその関係者が集まっていた。
屋敷の主である天人 極光の英雄シュテル・グランツ。
異世界から来た存在で現英雄である獣人 反逆の英雄シュガー
五大英雄の中で最も幼き霊人 心頼の英雄セレネ・エレオン
劇団ギルド リースス・レーニスのギルド長である魔人 守護の英雄ギオン・テアトロ
魔神の魂を喰らった狂武人 武舞の英雄アイラン
封印されていたため、人知れない角人 壊滅の英雄イディナローク・モノケロース
シュガーの横にはフィデスであり、相棒の竜人ジルニトラが。セレネの横には彼女の妹であるミーティア・エレオンがいた。
彼らは食事を取り、食後の紅茶を飲んでいた。
「懐かしいですね。こうして、集まるのは」
「しかし、あの2人がいない」
ギオンは懐かしむように言い、シュガーは寂しそうに言った。
そこには6人の英雄がいたが、夢人の英雄ピラトと人の英雄アリスの姿がなかった。
「それももうすぐ終わろうとしている。500年前から始まった因縁が終わる」
「シュガー、これからの計画を話してちょうだい」
「明後日が満月の日だ。封印は満月の時に解けないため、明後日の朝にここを出発して、ケーラの森に向かう。中に入るのは俺とジル、セレネにティア、イディナだ」
「……私は?」
中に入る人選をシュガーが発表するが、そこにアイランの名前が含まれておらず、彼女は疑問に思い尋ねた。
「アイランは相手が人型なら強いが、大型の魔獣になると大規模の技がないから苦戦するだろう。大規模な技を持つ英雄で行く」
「……分かった」
「どのような結果になろうが、必ず終わらせる」
「ちょっといいですか?」
ギオンが口を開く。
「なんだ? ギオン」
「勇者はどうなっていますか? あれは厄介ですよ。もし、邪魔をするようであれば、私が相手をしますが」
「デネブラエで勇者の従者であるミストに会ったが、近くにはなぜか英雄しかいなかった。そのことから、勇者を選んでいる最中なんだろう。勇者は仲間にしたかったが」
「そうですか」
英雄の話し合いは終わり、各々その場から離れた。
シュガーはセレネとイディナと一緒に自分の部屋にいた。イディナは本棚を見ていた。
「シュガーよ。お主の本棚には画集がないのか」
「芸術にはあまり興味がないからな」
「今の芸術がどうなっているのかを把握しなければならないのに」
「書庫に行けば、あると思うが」
「そうか。なら、後で読みに行こう。それにしてもこのメンバーで行くのか」
「何か心配事があるんですか? イディナさん」
セレネが彼女にそう聞いた。
「はっきり言うとセレネに強いというイメージがないな」
「カテーナに入ったセレネは神装も手に入り、強いぞ」
シュガーがセレネに対し、フォローする。
「どれくらいの強さだ?」
「シュテルと俺がまとめて一撃で倒せるぐらいだ」
「それは強いな!」
「ただし、そのあまりに強い威力は周りに被害が及ぶ。そういうことから、使わないことに越したことはない神装だ」
「その神装の名前はなんていうのだ?」
「エア……神装エアです」
セレネはどこか懐かしむように、感謝するようにその名を教えた。
同じ頃、ジル、ティア、スノウ、リリィはシュテルの部屋にいた。ジルはシュガーの姉であるシュテルに自己紹介していた。
「初めまして、シュテルさん。アタシの名前は竜人のジルニトラでシュガーの相棒です」
「私のことはシュテルお姉ちゃんって、呼んで」
「シュテルさんは私の姉になるの?」
「あの子がお姉ちゃんって、呼んでくれないからよ。呼んでほしいのに」
(私の時にも同じようなことを言っていた気がする)
シュテルとジルの話を聞き、リリィは昔のことを思い出しながらそう思っていた。
「失礼します」
コンコンと叩かれ、ドアが開いていく。入ってきたのはエクレールであり、その手には皿が持っており、リンゴが乗っていた。
「シュガーからジルはリンゴが好きって聞いていたから、準備させたわ」
「ありがとう、シュテルさん」
ジルは手にフォークを持ち、リンゴに突き刺した。それを口に運び、食べていく。程よい硬さであり、噛んでいくごとに果汁があふれ、甘さと酸味を感じさせる。
「おいしいです」
「それは良かったわ」
スノウたちも一緒に食べていく。リンゴはあっという間に無くなっていった。
「ごちそうさまでした」
「どういたしまして。それでジル」
「なに? シュテルさん」
「シュガーを、あの子を頼むわね」
「任せてください。シュガーには迷惑を掛けてしまうかもだけど、アタシはシュガーの相棒だから、支えて見せます」
「それはよかった」
シュテルの顔には安堵した表情が浮かんでいた。
イディナは書庫に行き、シュガーの部屋にはシュガーとセレネしかいなかった。
「ミカエルに会った。憶測でしかないが、アリスも第3段階であるカテーナに入っているだろう」
「アリスも私たちと同じ領域に……」
「……誰かがこちらに来ている」
シュガーは近づいてくる足音を聞きとれていた。足音はドアの前で止まり、ノックもなしに開いた。
入ってきたのは金に輝く髪、朱色に強い黄みがかかった猩猩緋の瞳。それはかつてケーラの森でアモルと話したルシフェルであった。
「久しぶり、シュガー」
「ルシフェルか。よく分かったな」
「シュガーから道標の気配が感じ取れたし、それで場所も分かったわ」
「セレネ、こいつも連れていく」
「私は構いませんが」
「500年ぶりに主と妹に会うのね。楽しみだわ」
シュガーの言葉を聞き、ルシフェルはそう呟いた。
****
時間は過ぎていき、運命の日を迎えた。
屋敷から出る際にエクレールたちが見送りに来た。シュガーはスノウとリリィにそれぞれ手紙を渡した。
「師匠、これは何ですか?」
「リリィはイグニス王家に、スノウはアーク家に手紙を渡せば、俺がいなくとも後のことは何とかしてくれる。念のためだ」
「生きて帰ってくださいね……」
「もちろんだ」
「シュガー様、これを」
エクレールはシュガーにあるものが入った包みを渡した。
「ありがとう、エクレール。それでは行ってくる」
「貴方の帰りをいつまでも待っています。いってらっしゃいませ」
シュテルの屋敷を出発した6人の英雄たちはケーラの森へと足を運ぶ。森の中に入り、白い祠へと向かうとそこには現英雄であるレイたちと勇者アスカとその従者がいた。
「何しに来た?」
「みんなでシュガーを助けに来た」
「有難い話だが、俺たちの問題だ」
「英雄が起こした問題なら、僕たちにも関係なくないよ。仲間のことをほっとけないよ」
「そうか。お前たちはそう思ってくれているんだな。なら、力を貸してもらえるか?」
「もちろん」
シュガーの頼みをレイが快諾すると彼は見覚えのない森人のことを聞いた。
「だが、全員で行くわけではない。ところで後ろにいる森人は何だ?」
「私は勇者に選ばれた森人のアスカと言います」
「そうか。なら、こちらから指定するのはルキスとアスカだ。連れていくのは後2人だ」
シュガーはアスカが勇者であることを聞くとアスカとルキスを指定し、その理由をレイが尋ねた。
「なぜ、ルキスとアスカを指定するの?」
「それはルキスとアスカが神力結界に対抗できるからだ。ルキスの中にあるウィルスは神が作り、神力で作られたものだ。そのウィルスは神力で作られているため、神力以外を通さない神力結界に対抗できると考えている。アスカが持つ剣も神力結界に対抗できるからだ」
さらに質問を行うレイ。
「後、2人なのは?」
「全滅を避けるためだ。現英雄が戦うべき、真の敵がいる。その敵はいまだに分かっていないが、それに対抗するためだ」
「分かった。あと、1人はどうする?」
「私が行く」
レイが皆に聞くとミラが参加を表明した。
「俺が行きてーな」
「今回ばかりは譲れないな」
「なぜ、レイが行くことが決定しているんだ?」
アスラがミラに言うと強く言い返した。一方、リアマはレイの中で既に行くことが決まっていることを聞いた。
「言い出しっぺだし、唯一エインヘリヤルに入っているから。ということで決まったよ、シュガー。僕とミラが行くよ」
「分かった。今から、扉を開く」
シュガーは体から7つの道標を取り出す。それを見たルキスがあることに気付いた。
「そういえば、道標は全部8つって聞いたけど、最後の1つは?」
「俺の仲間だ」
シュガーの左手の中指にはめているルビーの指輪からラヴァが出てくる。7つの道標は赤、青、黄、緑、紫、黒、白の輝きをそれぞれ放ちながら、1つに融合していく。その光が収まったとき、1つの道標は金色に輝いていた。また、ルビーの指輪は壊れ、ラヴァの姿は妖精から精霊へと成長していた。彼女の髪と瞳は燃えているような赤色だった。服はシュガーと同様、上下とも黒かった。
最後の道標はラヴァであり、シュガーは彼女に声をかけた。
「待たせたな、ラヴァ」
「行くぞ、シュガー。ルークスを止めに」
彼は白い祠の扉に道標を差した。すると扉は開き、中には魔方陣が書いてあった。英雄たちは魔方陣に足を入れると光始め、それが収まったときにはその姿はなかった。
英雄たちは協力し、ついに封印を解き、ルークスを倒しに行く。
前英雄物語は終わりを告げようとしていた。




