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リインカーネイターVSリグレッサー  作者: Mizuki
アーク1 - 入学試験

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3/53

バタフライ効果

私は、優しい風だけを連れて歩いていた。まるでその風が、私を自分なりに嘲笑っているかのように。

「はぁぁ〜……どうしてこうなったの?」

私は指先を上げ、柔らかなピンクがかった赤い髪の毛先を弄んだ。

「こんなはずじゃないでしょ? どこで間違えたの?」

そう。私の最初のプロットは、完全に失敗した。

あの赤髪の少年が去った後、その場は突然静まり返った。王子が舞台に立つどころか、彼が……NPC? に辱められるのを見たせいで、皆が散ってしまったのだ。分からない。私は彼が誰なのか、まったく分からなかった。

王子の顔は鈍く沈んでいた。彼は一言も発さず、二人のNPCが互いに謝罪を交わした直後、そのまま歩き去ってしまった。私の方を一度も見なかった。あんなふうに恥をかかされたら、ひどく機嫌が悪くなるのも当然だ。

正直、次に何をすればいいのか分からなかった。台本通りなら、学院に入った瞬間に自己紹介を済ませているはずだったのに。

バタフライエフェクトは確かに起きていた。でも、いつ……あるいは、私が何をしたからこんなことになったの? プロットを乱すようなことをした覚えはない。

「私が、花を見て一瞬立ち止まったから……?」

私は頭を振り、重くのしかかる考えを追い払おうとした。けれど無駄だった。受験者の海に囲まれながら学院の廊下を歩く間も、その考えはずっと頭から離れなかった。

どん。

「あ、ごめんなさい。」

考えすぎていたせいで、私は別の受験者にぶつかってしまった。幸い、彼は軽く頷いただけで、騒ぎ立てることもなく去っていった。

ぱん。

私は自分の頬を叩き、ぼんやりした意識を引き戻した。

起きたことは起きたこと。まだ修正できるはずだ。合格して、授業で王子と知り合えばいい。今は集中しなければならない。第一試験はもうすぐ始まるのだから。

チーン……チーン……

「もう、最悪!」

第一の鐘が大きく鳴り、筆記試験がまもなく始まることを告げた。私を含む受験者たちは、割り当てられた筆記試験室を探すため、足を速め始めた。

私の足は、扉の上にユニコーンの紋章が掲げられた部屋の前で止まった。

私は強く頷いた。ここが私の部屋だ。

入った瞬間、私は数組の鋭い視線に迎えられた。威圧しようとしているのが明らかだった。けれど私はそれを無視し、窓際の空いた机へ真っ直ぐ歩いた。

部屋の隅にある大きな振り子時計を見た。まだ七時四十五分。筆記試験開始まで十五分ある。

私は片手で頭を支え、窓の外の景色をぼんやりと見つめた。そしてまた、気づかないうちに思考へ沈んでいった。

プレイヤー……特に私みたいな女の子に好印象を与えるはずだった王子が、覚えもないNPCに辱められるなんて、どうにも奇妙だった。

私はすべてのルート、すべてのエンディング、すべてのキャラクター……隠し要素まで暗記していた。やり込みすぎて、すべてを最後まで達成した証の「狂った女」実績を最初に取ったほどだ。私の目をすり抜けるはずがない。

私はため息を吐き、机に突っ伏した。

周囲の人間が、私について囁き合っているのがかすかに聞こえた。でも心がぐちゃぐちゃで、反応する気力すら湧かなかった。そもそも、物語に大きな影響を持たない彼らみたいなNPCに返す意味もない。

チーン……チーン……

第二の鐘がついに鳴った。私が顔を上げた瞬間、美しいエルフがすでに私たちの前で胡坐をかいて座っているのが見えた。私は少しだけ肩を震わせたが、すぐに平静を取り戻した。

「エヴリン。それが私の名です。」

彼女はずり落ちた丸眼鏡を直しながら自己紹介した。

「五時間。カンニングをすれば失格です。」

そうきっぱり付け加えたが、表情は完全に無だった。

うぐ……このエルフ、ものすごく腹立つ。幸い、彼女は学生生活の間ずっと私の教師になるわけではない。そもそも物語に名前すら出てこない。うん……さっきの少年と同じだ。

ぱちん。

エルフが指を鳴らした。すると紙が綿毛のようにふわりと舞い落ち、参加者一人一人の机へ優雅に着地した。何度見ても、この世界の魔法の仕組みには感心させられる。

「始めなさい。」

私はすぐにトートバッグへ手を伸ばし、ペンを取り出した。紙を掴み、そこに書かれたすべての問題に答える準備をする。心も頭もまだ混乱していたが、十七年分の努力を無駄にするわけにはいかなかった。

何があっても合格しなければならない。バッドエンドに辿り着かないために!


****


「ふわぁぁ〜……よかった……」

家の屋敷へ戻った瞬間、私はベルベットのシーツが敷かれた柔らかなベッドへ身を投げ出した。眠気がじわじわと忍び寄り、疲労が全身を襲った。けれどどれだけ目を閉じようとしても、眠りに落ちることができなかった。

私は長く息を吐き、隣で開いたままの窓を見つめた。夕日が沈みかけ、空を黄金の橙色に染めている。

「うぐ……まだ試験は二つ終わっただけなのに。体が潰れそう。明日の第三試験、どうやって乗り越えるのよ……」

ゲームでは、試験イベントはただのブロック並べミニゲームだった。短時間でクリアすれば即合格。あまりにも簡単すぎて、よほどの荒らし……当時の私みたいな好奇心旺盛なプレイヤーでもなければ、失敗しようがないレベルだ。そう、それで私はあの頃「狂った女」実績を取った。

第一試験は、今日受けた筆記試験。四百問の四択問題と百問の短答問題を、五時間以内に解かなければならなかった。内容も魔法だけではない。政治学、一般常識、医学など、ありとあらゆる分野が混ざっていた。

狂ったように勉強し、さらに進んだ一般知識を持つ私にとっては、本来なら簡単だった。けれど朝の出来事で心が揺さぶられ、簡単なはずの問題にさえ答えづらくなってしまった。そのせいで、時間切れ寸前になったほどだ。

「合格できる……?」

結果発表は三日後。ちょうど最終試験が行われる日だった。

そして第二試験。それはただの、マナ量を測る一般的な魔法試験だった。つまり……私が毎週見ていた量産アニメそのまま。

ほら、特別な部屋に連れて行かれて、魔法のオーブに手を置くやつ。黒かったオーブが眩しく光り出して、それから的に向けて魔法の威力を試す。

まあ、幸いその試験はまったく乱されなかった。筆記試験を終えた後で、集中が完全に切り替わっていたからだろう。私は間違いなく最高ランクを取ったと思う。見せたパフォーマンスは平均を大きく上回っていたし、試験用の水晶は最も眩しい色で輝いた。つまり、私のマナと魔法の潜在能力は最高だったということだ。

それでも……思考は引き戻される。朝の出来事へと。私が想像していたように、世界が私中心に回っているわけではないのだと、改めて思い知らされた事件へと。

「現実の世界は……私が思っていたほど簡単じゃない。」

私は少し体を横に向けた。疲労で痺れた手を、握ったり開いたりする。けれど本当に疲れ切っているのは、心と魂の方だった。

亡き母の顔が、ふいに脳裏に浮かんだ。まるで天国から、ここは現実であってゲームではないのだと告げてくるように。

私は苦く笑った。十七年もここで生きてきたのに、滑稽だ。父がいて、母がいて……母は亡くなってしまったけれど、それでも私は新しい、現実の人生を持っている。それなのに私は、まだ甘かった。

コンコン……

ノックの音に、私は振り向き、背筋を正した。聞くまでもない。扉の向こうが誰かは分かっている。ずっと私に仕えてきた忠実なメイド、アデリンに違いない。

「レディ、私です。夕食がもうすぐ整います。」

「少し待って。先にお風呂に入りたいの。」

「かしこまりました。」

私は立ち上がり、着ていた服を一枚ずつ脱ぎ、浴室へ向かった。

浴室は遠くない。部屋の隅へ数歩進んだだけだった。そこは扉で区切られており、外側には特殊な魔法が刻まれていた。浴室から音や匂いが漏れないようにするため、そして許可されていない者を遮断するためのものだ。

私は蛇口に触れ、そこへ少しマナを流し込んだ。魔法が起動した証として、小さな魔法陣が浮かび上がる。すると温かな湯が流れ出し、浴槽を満たしていった。濃い湯気が周囲の空気を覆う。

満ちたところで、私は蛇口を止め、液体石鹸を取り出して注ぎ入れた。かき混ぜる必要もなく、数秒でチューリップの香りを含んだ濃い泡が浴室いっぱいに広がった。

私はまず足先を浸し、それから全身を沈めた。浴槽の縁へ背中を預け、頭だけを残して身を沈める。

「あぁぁ〜……最高……これが人生よ。」

私は泡で体を洗い始めた。主成分である薬草と花の香りが、私を落ち着かせてくれる。それは肌が敏感な私にとって、自然の治療にもなっていた。

いつも通り、私は入浴でメイドを呼ぶのがあまり好きではなかった。前の世界でも、今の世界でも、私は他人に過度に頼らず自立するよう教えられてきたからだ。

私は虚ろな目で天井を見つめた。

「私は……失敗できない。」

本当のところ、このゲームは多くの人が想像するようなものではなかった。美しいキャラクターたちの裏に、女性向けに攻撃的な宣伝を打ち出すその裏に、多くの人々の運命を背負った複雑な物語があった。

バッドエンドとは、帝国が内戦、独裁、あるいはそれに類するものへ落ちていくことを意味する。そして私? バッドエンドになれば、私の運命も同じだ。父が最後の瞬間にレオ王子側へ寝返ったことで、私は処刑される。腐敗した帝国を、貴族だけを優遇する帝国を、革命しようとする側へ。

狂ってる?

そうよ!

私は開発者を呪いたかった!

それが、このゲームの苦い現実だった。庶民の運命は直接説明されていない。けれど、彼らの運命も同じくらい悲惨だろうと私は確信していた。戦争と反乱が起きれば、歴史がいつも記録するものは同じだ。

それは……

「……数え切れない犠牲者。」

私は頭を振り、最悪の可能性を考えすぎないようにした。深呼吸して自分を落ち着かせる。

「時々……知性と共感って、それ自体が呪いよね。」

私は唇を噛んだ。もしこのゲームが本当にただの普通の恋愛ゲームだったら……いや、もし私が何も見えない普通の少女だったら、きっと重荷を背負うこともなく、何も考えずに済んだだろう。

でも現実は違う。私は知りすぎている。画面の上では語られなかったことを。戦争、裏切り、死。私も、父も、レオも、そして庶民も。私たちは皆、止めようのない運命の奔流に呑み込まれていく。

私は全身を浴槽へ沈め、温かな湯が荒れた思考を鎮めてくれることを願った。

ところで……私は彼のことを思い出してしまった。

そう……今朝の、琥珀色の瞳の少年。なぜか彼は、瞬間接着剤みたいに頭にこびりついて離れない。ものすごく鬱陶しい。

彼は台本を壊しただけじゃない。それに……さっき向けられたあの嫌悪の視線……あれは私に向けられていた気がする。私は何をしたの? 今までの人生で……前世も含めて、あんな視線を向けられたことなんて一度もない。私たちは知り合いですらないのに。なら……

ばしゃっ……

頭を上げた瞬間、水が床へこぼれた。けれどその時、欠けていたパズルのピースが、脳内でかちりと嵌まった。

「まさか……彼も、私と同じ転生者……?」

私は目を見開いた。頭の中で繋がっていく糸が見えた。現代フィクションに感謝すべきかもしれない。文章としてはゴミだったり、恥知らずな引き延ばしがあったりしても、その発想が今の状況への手がかりを与えてくれたのだから。

私は薄い唇に、ずるい笑みを広げた。

「明日……運が良ければ……確かめないと。」



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