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第一章 28

「認められてた? リンが。どういう意味だ?」


 アンリードには、よく分からなかった。

 リンはハッカーだが、納得がいかなかった。


 自分からハッカーだと言っていたのか。

 それとも、こいつらみたいな素人に実力を見せつけていたのか。

 警察も一目置くとかも……。


 もし、そうだとしたらこれ以上ないくらい、

 ……嫌味な奴だな。

 とも。


 そんなことを考えている間に、香波が続けた。


『リンさんは、その技術を使って学校で起こった事件を、解決したんです。

 その時にリンさんがハッカーだった過去も、分かったんです。

 それにその後、リンさんが事件に関わって少年院に入って、

 そのために退学したって……そう聞いてます』


 一気に話し終えると、香波は、一息ついた。


「リンが? ハッカーだって言ったのか、それとも変わり者か?」


『リンさんは、そんなつもりなかったと思います。

 ハッカーだったって、無理に聞き出したみたいになったし。

 それに、リンさん、最初はとぼけてたから』


「まあ、自分から宣言する奴はいないだろう?

 それより、……リンが高校に行っていたとはね」


「どうしたんだ、アン。

 リンが高校に行っていたのが、珍しいか?」


「ああ、だってリンから、学生のイメージってわかないし、

 第一アイツが集団になじむとは考えにくい。

 ……孤立しそうじゃないか?」


「でも、あれでしっかり学生してたんじゃないか?

 少しだけなら」


「そうだな。

 だからやめた、ってのもあるんだろう? 

 何しろ、その頃には世界中を相手にしてたんだから……」


 そこまで言って、ヘイクワースはアンリードの話すのを止めた。


「そこまでにしろ。アン、言いすぎだ」

「……あ、そうだな」


 そんな二人の会話を、ずっと聞いていた弥生は、


『……あの、すみません。リンさんって、何したんですか?』


「いや、君達には関係ない。

 ……そんなことより、リンとはいつ話したんだ? 

 リンがトイレに行った後には、状況が一変した。

 それと関係あるんだろ?」


 ヘイクワースは、平然と言ってのけ、反対に学生達は、一瞬怯んだ。


「やっぱり、何か知ってるんだろ。

 リンに何をした? 

 俺達は君達なんかに付き合う暇はない。

 なのに、リンから何かしたとは思えない!」


 その学生達に畳み掛けるように、アンリードは大きめの声をかけた。

 半分脅し気味に。


 すると、学生達は、怯えた感じになったが、その中の一人、孝春が、


『俺達、何もしてません。

 本当に偶然リンさんに会ったんです』


 この言葉に早く反応したのは、弘だった。


『違います。俺達がリンさんに強引に来てもらったんです。……』


『よせよ、弘。

 それ以上何も言うな。いいな、俺達は……』


「やっぱり、何かしたんだな? 

 リンが、進んでお前らなんかの言うことを聞くとは思えない。

 お前らみたいのに関わろうなんて、絶対ない。

 何をした、リンに何をした? 

 少なくとも、お前らに関わらなかったら、あんな状態になるはずない。

 お前らのせいで、リンは……!」


 アンリードが手を上げないのが不思議なくらい、興奮しているのを抑えている。 

 ヘイクワースは、それを感じ、


「なんで、こんな状況になっているのか、知る限りでいい。

 教えてくれないか? 

 それに、この中に、カ・ナ・ミって子いるか?」


『! 香波は、私です』


 ずっと話していなかった香波が、

 自分の名前が出て来て、驚きながら声をだした。


「君がカナミ? そう、君。リンの知り合い?」


 ヘイクワースは、出来るだけ落ち着いた言い方を心掛けた。

 それに香波がつられて、


『はい。でも、それが何か?』


「ああ、君を見つけたんだな? 

 ここに着いた時、リンが口にしたんだ。

 カナミって。

 正直驚いた。

 俺達は部外者との関わるのは、一切禁止なんだ。

 なのに、いきなり車の窓開けて、声なんかかけるから。

 ……そうか、君だったんだ。

 ……納得したよ」


 それを受けて、アンリードが、


「何を納得してんだよ! 

 ヘイク。リンをあんな状況に追い込んだのは、こいつらなんだぞ!」


 これ以上ないくらい興奮しているアンリードとは、


 ほぼ反対の態度のヘイクワースに納得がいかなかった。


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