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Memory 天災の記憶
こっちの世界に来てから、天災ってものに巻き込まれることは少ないように思う。大抵の災害は魔道具や魔法で抑えられてしまうし、それを超えた影響や被害にも魔法で対処できるからっていうのもあるんだろうな。
だからこそか。転移する数年前の大災害が記憶の端に残り続けているのは。
オレ自身は安全圏からしか見ていないから実情は想像するしかない。映像は事実なんだろうが、それでさえ恣意の入る余地はあっただろうからな。
それでも、伝えられる現実は酷いものだったとしか言いようのないことは確かだ。消えてしまったものはあまりにも多過ぎたし、衝撃的だった。本当に、たった少しの時間でそうなってしまったんだよな。
ただ同時に、人の叡智は自然には通じないのだろうかというのも疑問に思ったのを覚えている。明らかに自然と関係ないこともあったしな。
もうオレはその云々に関わることはできない。そもそも、その場にいてできたことなんて無いだろう。災いを止めることも、おそらく誰かを救うことも。
それでも、この世界でならできることはある。そのための力も持っている。なら、全力を尽くそう。守りたいと思う人達のために。




