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【完結】虐げられた死神令嬢ですが、陽気な騎士団長に溺愛されて幸せになりました。〜一方、私を捨てた元婚約者は知らない間に破滅してました〜  作者: ぷきゅのすけ
第二部 死神令嬢、毎日が楽しい

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43・マグノリア大宴会です

「すごい⋯⋯っ! 夕暮れの空に、色とりどりの照明が映えてとても美しいですね⋯⋯!」




馬車に乗って『マグノリア大宴会』の会場であるマグノリア騎士団の砦へ到着したプロメ様は、そう言って目を輝かせた。


彼女の言う通り、砦には黄色や桃色や水色や紫色の照明が膨大に飾られており、騎士団の基地というより歓楽で賑わう不夜城となっている。



しかも、砦内には軽食が売られた屋台が数多く並んでおり、香ばしいソースや甘い焼き菓子の香りが漂ってくるではないか。


そんな砦内は、我々以外にも家族連れで賑わっており、子供達の笑顔が不夜城をより明るくしていた。



不夜城の賑わいに表情を緩めるプロメ様達へ、モクレン様がにっこりと笑いながら話しかける。




「皆様、いかがですか? 砦を彩るこの色とりどりの照明は、我々で開発した新しい物質を使用しているのです!」


「新しい物質⋯⋯?」




モクレン様の話に、プロメ様が興味深いと言った様子で聞き返す。


そんなプロメ様へ、モクレン様は



「これだけじゃありませんよ」



と言って、礼服のポケットからスマホを取り出し、


「のじゃ先輩、レンゲくん、頼むわ」


と話しかけた。



片手に持った金属板で離れた場所にいる相手と会話してみせたモクレン様に、プロメ様達は目を見開いた⋯⋯⋯⋯その瞬間!




『のーじゃハッハッハッハッハッハッ!!! 新時代の歌姫が聴かせてくれるわ!!!』




砦中からサラサ先輩の鈴を転がすような声が聞こえたかと思えば!


聞いたことが無い音をたくさん使った全く新しい曲と共に、サラサ先輩の『良い感じの声量による美しい歌声』が砦中に響き渡ったではないか!


そして、普段は見張り台として使われる最上階の見通しの良い広場を、一際眩い照明達が輝かせた!



その光輝く舞台には、サラサ先輩が白髪のツインテールをなびかせ桃色の上着を翻し、踊りながら歌っている。

その背後の壇上では、レンゲ様が色々な魔道具が融合したようなオルガンの前に立ち、細々《こまごま》した魔道具を操作していた。



ド派手な催しに言葉を無くすプロメ様達の前へモクレン様は立つと、満面の笑みを浮かべて両手を広げ、言うのだった。




「どうです!? 彩色豊かな照明、この離れた場所から音を届けるスピーカー、様々な音を流す電動オルガン⋯⋯いや、ディージェイブースってレンゲくん言ってたっけ? まあ良いや、これらは全て、我が国の魔法科学による魔道具なのです!」




不夜城となった砦の色鮮やかな光を背に、モクレン様は両手を広げて流暢に言葉を続けた。




「我々で開発した新しい物質があれば!! 我が国の魔法科学は大きく変わる!!! プルトハデス国は世界最強の文明大国へと進化を遂げ、莫大な利益を生むことでしょう!!」




魔法のような色とりどりの光りを浴びながら、白い歯を見せて笑うモクレン様と目が合った。


どんな照明にも負けない眩しい紫の瞳は『いや〜ギリギリ間に合ったね〜』と語っているようだ。



そんなモクレン様を眺めながら、私はこのマグノリア大宴会の準備期間を思い出していた。




◆◆◆




「せっかく来てくれたんだから、何かこう⋯⋯思い出になるド派手なことがしたいもんだね」




時は少し遡る。


数日前。食堂にて。


モクレン様の発言に、レンゲ様が続いた。




「ド派手なこと? ⋯⋯やっぱ祭り? フェス? そんなら⋯⋯野外の音楽フェスとか? ほら、売れてる歌手がたくさん集まって野外ステージで歌うあれ」




レンゲ様がそう答えると、モクレン様は



「すげえイイ線行ってるけど、売れてる歌手呼ぶ金がねえのよ⋯⋯。婆ちゃんは凄腕の歌手だけど、ジャンルはバラードとかしっとりしたジャズとかだからフェスって感じじゃないし」



と疲れたような声を出す。



そんな時だ。




「のーじゃハッハッハッハッハッ!! 歌手ならここにおるではないか!! ホオノキ嬢ちゃんと声量調整の稽古をしたわらわに任せるのじゃ!!!」




サラサ先輩がドヤァと胸を張る。


その自信満々な態度に、モクレン様も



「まあ⋯⋯稽古つけてた婆ちゃんが、長い時間のじゃの歌聞いても生きてんだから大丈夫そうだわな」



と一息つく。

ホオノキ様は、命がけでサラサ先輩の声量調整の稽古を付けてくださったのだ。ありがたい。



レンゲ様も安心した顔で、



「そんなら、実家オーヤマのお得意様で音楽やってる人に作曲を頼んでみるよ」



と頼もしいことを言った。



この流れで、サラサ先輩による野外音楽フェス行うことになったのだが。一つ疑問点が残った。




「モクレン様。レアメタルの話はいつするのですか?」




プロメ様は魔動結晶が新たな価値を生むのでは? と予想して、このプルトハデス国へ来たのだ。



一方、我々は、魔動結晶と金属を溶かして作り出したレアメタルを増産するため、フォティオン王国中の鉱山を持つプロメ様から鉱石資源を輸入したいと言う目的がある。



その鍵となるレアメタルの話はいつするのだろうと不思議に思っていると、モクレン様はニヤリと笑った。




「レアメタルをお披露目するのは⋯⋯音楽フェスだよ」




モクレン様はそう言って、レンゲ様を見た。




「音楽フェスには、レアメタルを使って性能をぶち上げた魔道具を大量に使う。⋯⋯そうすりゃまるで、夢みたいな光景になるだろうね。この国最大の魅力である魔法科学の可能性を、存分に楽しんでもらおうじゃないの」




確かに、音楽フェスとやらでレアメタルを使った最新の魔道具を披露できたら、その価値を長々と説明せずとも一発でわかってもらえるだろう。



私がそう思っていると、レンゲ様は



「まあ⋯⋯音楽機材とかは、廃棄場にある聖ペルセフォネ王国から引き受けた魔道具ゴミを拾って改造すればイケると思われ⋯⋯⋯⋯だけど」



と、言葉を濁した。




「いくらサラサ氏の歌が騒音じゃなくなったとはいえ、数時間サラサ氏だけの野外フェスってのは⋯⋯ねえ。もう一つ目玉があれば良いと思われ」


「だよな〜。もう一種類、なんか欲しいもんだよな〜」




レンゲ様とモクレン様がそう会話する中、サラサ先輩が


「案ずるな! わらわが数時間どころかこの世の終わりまで歌ってやるぞ!」


と言ったが、お二人はそれを流して考え込んでいる。



確かに、野外フェスの他に、もう一つ大きな催しものが欲しいところだ。


我々には一体何ができようか。

マグノリア地方の最大の魅力は何かと、今までのことを思い出す。



私がマグノリア地方に来てから、一番魅力的に感じたのはモクレン様であるが、それと同じくらい魅力的なものがあるではないか。




「食事⋯⋯美味しい食事は、マグノリア地方の最大の強みかと存じます」


「!! 食事!! ⋯⋯そうだよ、食事だよ食事!!! ツミキちゃん、良いとこ付くじゃ〜ん!」




モクレン様は指をパチンと鳴らし、何かを閃いたと言わんばかりに目を輝かせた。




「軽食を売る屋台がたくさんあれば客も来るだろ? そしたら客目当てで色んな業者が商売しに来るわけじゃん! そうすりゃ金が集まるし、歌手を呼ぶのは無理でも、⋯⋯⋯⋯『ヒーロー』は呼べるんじゃねえかな」


「ヒーロー⋯⋯ですか?」




モクレン様の考えが分からず首を傾げた私の隣で、サラサ先輩は



「例えヒーローだろうとわらわの舞台は誰も譲らん! 全員爆音波でぶっ飛ばしてやる!」



とまるで文鳥のように怒り出す。



そんなサラサ先輩を横目に、レンゲ様は「ちょっと良い?」と挙手をする。




「食べ物の屋台をたくさん出すとして、その材料はどうするの? 今は収穫の時期じゃないし、この貧乏なマグノリア地方に、そんな余力ある?」




レンゲ様の現実的な考えは最もだ。


軽食の屋台をたくさん出すためには、莫大な食料資源が必要である。




「田畑の作物は絶賛成長中ですからね。⋯⋯一体どうしたら」




私がそう言った瞬間。




「のーじゃハッハッハッハッハッハッ!!! 存分に喜べ人の子らよ!!! 根源の大樹の化身であるわらわが、自然の加護で畑の収穫速度を早めてやるのじゃ! 勿論、畑に損傷は残らぬから安心せえ!!!」




サラサ先輩が椅子の上に立って高笑いをした。


確かに、サラサ先輩は歌に乗せた自然の加護を大地に与え、驚異的な速さで木々を成長させたのだ。


サラサ先輩がいれば、収穫速度を極限まで早めて大量の作物を確保するのも可能だろう。


そう思ったのだが。



レンゲ様は「さっきから否定ばっかでゴメンだけど」と前置きしてから



「いくら損傷が無いからって、そんな荒技に農家さんが大事な畑を貸してくれるかなあ。死毒の森だらけのこの国で、畑は命綱だし」



と首を傾げる。


レンゲ様の指摘の通りだ⋯⋯と、私とサラサ先輩は悩んでしまい、言葉に迷った。


だが。




「レンゲくん、相変わらず良い着眼点じゃないの。⋯⋯畑問題なら、俺達はとっくの昔に解決してるんだよ。⋯⋯⋯⋯ツミキちゃんのお蔭で」


「? 私⋯⋯ですか?」




突然名前が上がり、私は疑問符を浮かべながらモクレン様へ聞き返す。


すると、モクレン様は不敵に笑った。




「そうだよ。⋯⋯俺等には、ツミキちゃんが魔獣を駆除して、死毒の森から取り戻してくれた大地があるでしょ? それを開拓して畑にしちまえば、問題解決よ」




私達は数日前、マグノリア地方の安全確保を目的に、近辺の死毒の森を切り開いたのだ。


しかも、取り戻した大地には中継基地を何個も作ってあるので、開拓する下準備は済んでいる。


その大地を開拓し、サラサ先輩の力で肥沃な畑へ成長させるのは容易いことだろう。


だが。




「モクレン様⋯⋯大地を畑へ開拓するとなると、とんでもない労力が必要となりますが⋯⋯それは」


「その点については⋯⋯⋯⋯レンゲくぅ〜ん♡」




モクレン様にせがまれたレンゲ様は


「マジかよ」


と溜息を吐きながら呟いた。




「まあ、廃棄場には聖ペルセフォネ王国の魔道具ゴミが色んな種類捨ててあるから、農業機械くらいはすぐ作れると思うよ。でも、ボク一人で開発ってのは無理ゲーだから、何人か応援ちょうだい」


「当然。印刷所に連絡して、そこの機械を作った魔道具工場に繋いでもらうから」




モクレン様の提案に、レンゲ様は「りょ」とだけ答えた。



そんな返事を受けたモクレン様は、「あとは⋯⋯会場だよな⋯⋯」と悩み始めた。




「色んな人を集められて、広い土地があって、音楽フェスが出来る建物もあって、そんで出来れば防犯対策もしっかり出来て、そしてタダで使える場所。⋯⋯そんなご都合主義な箱があれば⋯⋯」




とても難しい条件に、モクレン様とレンゲ様とサラサ先輩は渋い顔をした。


案出しに加勢したいが、私がマグノリア地方で知る場所と言えば、この屋敷と死毒の森と牧場とマグノリア騎士団の砦くらいで⋯⋯




「砦⋯⋯」




私がマグノリア騎士団の皆様に戦い方を教えた時を思い出す。


砦には、広い訓練場もある。

見張りが出来る屋上もある。

騎士団の砦なので防犯は完璧。

モクレン様が団長なので、使用料はタダ。



しかも。




「騎士団の砦を使えば、騎士の皆様も参加しやすいですし、そのご家族やご友人も来てくれるかもしれません。⋯⋯そうなれば、人が人を呼び、会場も賑わうかと存じます」




私が提案すると、モクレン様は



「それだ〜〜〜〜〜ッ!!!」



と声を張り上げた。




「ツミキちゃんありがとう!!! 砦は職場って意識しか無かったわ⋯⋯! そうだよ、あそこを一時的に改造すりゃ、良い感じになるんじゃねえの!?」




こう言う流れで、我々はマグノリア大宴会を計画したのだった。








◇◇◇


良い感じにお付き合いありがとうございます!


ちょっとでも

「面白い!」

「先が気になる!」

「サラサの歌、ボ〜エ〜じゃなくなったんか!」

「なんか文化祭っぽくて懐かしい。エモいぜ」と


思って頂けましたら、下記の星☆☆☆☆☆から★★★★★5評価を入れてくださると嬉しいです!(私のモチベーションが上がります!)

ブクマとべた褒めレビューとご感想とリアクションをお待ちしておりますぞ!



それでは、何卒宜しくお願い致します~!!!

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