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ある受付嬢の非公開日誌  作者: 荒野ヒロ
七月から九月の終わりまで

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30/45

○○○年 九月 五日

 あの少年が街を去ったらしい。そうよ、それでいいのよ。

 こんな小さな街の、周辺にこれといって冒険する場所がないような所に、いつまでもいるべきじゃないわ。あれだけの才能と度胸を持つ少年ですもの、もっと相応ふさわしい活躍の場があるはずよ。


 そして私たち戦士ギルドの受付嬢や事務員は、いつもの退屈な日常に戻るの……寂しいけど、仕方ないわ。


 でも最近は、この街も少し風向きが変わってきたように感じる。新しい店ができたり、小麦や大麦を加工する工場も大きな物になったそうよ。


 ギルドに登録している冴えない銅や青銅階級の連中も、ここのところ積極的に討伐や、採取任務を行っているみたい。

 きっと、あの少年が残していったものがあったのね。くすぶっていた冒険者たちにも新しい風が吹いたのかしら。


 私も……そうね。また違ったものを見に、何か新しいことをしなければならない、そんな風に思い始めている。

 私も若い頃は(今でもまだ二十代だけれど)無茶をしたものだった。いつからだろう? こんな風にれてしまったのは、もっと違う未来を見て、生きて行くべきなんじゃないの?


 心の中でそんなことを言う私がいる。──そんな気がする。


 私は小さな街の戦士ギルドで働く受付嬢……


 でも、最近の私は──冒険に、冒険者に──


 あこがれをいだいている。


           ー ある受付嬢の非公開日誌 完 ー

最後までお読みくださった方に感謝を、感想や評価を頂けるとありがたいです。


一旦ここで話を終えることとしました。 再三出て来た少年やウェシュナート・ザウなどの登場人物が出る物語との整合性を考えながらの構成を取らないといけないので大変なのです。 

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