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ある受付嬢の非公開日誌  作者: 荒野ヒロ
七月から九月の終わりまで

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○○○年 八月 二十七日(前編)

お読み頂きありがとうございます。


いつだったかに話した別の物語に書いた主人公についてのお話です。

少年の成長物語なので、読みたいと思った方がいれば投稿したいと思います。

 今日は風が強い日だ、窓をガタガタと揺らすやかましい風が、この暑い季節の終わりを告げるような涼しい風を運んできた。


 この風が何らかの知らせだったのか、午後に私は、ある少年の話題で持ち切りになっている仕事場を訪れることになる。


 ただ今日は──午後からのみの仕事の日、この時間は買ったまま読んでいなかった「積ん読」していた本を読むことにしたの。

 本の内容? ある冒険者の──本当の意味での「冒険」をおこなっている冒険者が書いている考古学的な本よ、彼はその若さで、多くの遺跡を発見し、たった一人で探索して古代の神話や魔法や、それらの文明に関わる遺産などを調べて、戦士ギルドや魔術師ギルドに、その遺産を提供している素晴らしい人物よ。


(え? 百合向けの本じゃないのかって? ユリムケノホン……分からないわ。あなた、いったい何を言っているの?)


 午後になってギルドに行くと、同僚たちの間で話題になっている少年のことを耳にした。何のことかと思いメネレアに尋ねてみると「ギルドに加入して間もない少年が、刃爪熊を倒して」来たのだと聞かされた。


 刃爪熊は青銅階級から依頼を受けられる狂暴な獣だ。銅階級の少年が戦うなんて、無謀にもほどがある──だが、一つの想像が頭の中に浮かび上がり、メネレアがまるで、その内容を読み取ったみたいに。


「たぶんメイマックの冒険者訓練所を卒業した少年なんではないでしょうか、なんて言うか……物腰とか発言とかが、普通の冒険者とは違う感じなんですよね」

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