○○○年 八月 十九日
朝礼が行われたとき、ルゲールト戦士ギルド長のウォレスカー・メディオスが言った。
「定例通り明日私は会議のために、この街を離れるが、帰って来るまでのギルドの管理を副長のモウラスに任せる、皆も支えてやってくれ。以上だ」
副長……そういえば、そんなのもいたわね。存在が薄すぎてすっかりと忘れていたわ。
というか、どんな奴だったかしらとギルド長の横に立つ小男を見る。
うちのギルド長も、屈強な戦士の多いギルドの長らしからぬ線の細い男だけれど、この小男はいったい、どういった理由で副長などをやっているのだろう? 私は疑問に思ったことをメネレアに尋ねてみた。
「え? あぁ……それは、噂だけれど戦士ギルドに多額の献金を寄与したからだとか……まあ、あまり戦士ギルドの管理職に相応しいとは思われないですよね」
あの見た目だしね、と口にした私の背中を手の平で軽く打ち、メネレアは笑い出した。
うちの父親もギルドに献金しているらしいが、はっきり言って戦士ギルドに顔を出して欲しくない。
金稼ぎにうるさいベルツドラウ家の娘と知られたら、戦士ギルドで働く同僚たちから何と言われるか、分かったものではない。世間の連中が私の父親をどう思っているかなど、聞いたことはないけれど、きっと物語に出て来るような権力者に擦り寄る、小汚いおっさんだと思われてるに違いない。
素性ばれは避けたいところである……




