第15話 氷のドリンク誕生!?
バァン!!!
「また扉が乱暴に開いた!?」
私はカウンターの奥で新作のカクテルを仕込んでいたが、店の扉が勢いよく開き、フードを被った魔術ギルドの男たちがぞろぞろと入ってきた。
「くっくっく…何度妨害しても、お前たちは動じないとは…」
「まぁねぇ、むしろアンタたちのおかげで新商品が増えてるし?」
私は肩をすくめながら、カウンターの上のグラスを拭く。
「フン、今日はそう簡単にはいかんぞ……!!」
魔術ギルドの男たちが不敵に笑い、杖を一斉に構えた。
「我らが氷魔法の極致を喰らえ!!!」
一瞬の出来事だった。カウンターの奥の酒樽、棚に並ぶボトル、注ぎ終えたばかりのジョッキまで……すべてのドリンクが一瞬にして氷漬けになったのだ!!!
「……は?」
フォルクがジョッキを持ち上げる。
「……おい、これ……」
ゴツゴツと凍った液体がカチンカチンに固まっている。
ドラコもグラスを覗き込み、しっぽをバタバタさせた。
「全部凍ってんじゃねーか!!?」
店内がざわめく。
「リリィ!! 俺のエールが…俺のエールが飲めねぇぇぇ!!!」
「ワインまで氷の塊になってる!!?」
「ウイスキーすら凍るって、どんな魔法使ったんだよ!!!」
客たちが大騒ぎするなか、魔術ギルドの男たちは勝ち誇ったように腕を組む。
「これでこの店は終わりだ!!!」
「この状態じゃ、誰も酒を飲めないだろう!!」
私はカウンターに肘をつき、氷漬けになったグラスをじっと見つめる。
「……ふぅん、なるほどねぇ。」
「くっくっく……どうだ、これが魔術ギルドの本気だ!!!」
「ま、確かにこのままじゃ飲めないけど……」
私はゆっくりと立ち上がり、ニヤリと笑った。
「こうなったら……“アイスカクテル”で勝負よ!!!」
私はカウンターの奥から、特製のスパイスリキュールを取り出した。氷漬けになったグラスに、カンカンに熱したラム酒を少しずつ注ぐ。すると、氷がじわじわと溶けながら、リキュールと混ざり合い、淡く黄金色の輝きを帯び始めた。
「 氷ごと楽しめる『フローズン・ミスティック』の完成よ!!!」
「おぉぉぉ!!?」
フォルクが目を見開き、魔術ギルドの男たちも一斉にカウンターを覗き込む。
「な、何だこれは……!!?」
私はグラスの中心がほのかに溶け、濃厚なラムの香りが立ち上るのを見せつける。
「これは、氷がゆっくりと溶けながら変化するカクテル! 最初はシャリっとした冷たさ、次第にラムのコクが広がり、最後にはとろけるような甘さになるの!」
私はグラスを傾け、客の一人に手渡した。
「さぁ、一口どう?」
客が恐る恐る口をつける――
「……っっっ!!?」
「う、うまぁぁぁぁぁい!!!!」
「まるで雪解けのような、優しい甘さと深い香り……!!」
「時間が経つごとに味が変化していく……これはヤバい!!!」
「おい、俺にもくれ!!」
「リリィ、やりやがったな!!!」
店内の客たちが一斉に盛り上がり、新メニュー『フローズン・ミスティック』が大好評となる。
魔術ギルドの男が、ぐぬぬと悔しそうに拳を握る。
「くそっ……またしても妨害を逆手に取られた……!!」
「この店は、どうしてこうも妨害が全て新商品の開発に繋がるんだ!?」
私はウインクしながらグラスを掲げる。
「それが、酔いどれ小屋の流儀よ♪」
魔術ギルドの男は、何も言えずに頭を抱え、バァン!! と扉を開けて去っていった。
「リリィ! これ、定番メニューにしてくれよ!!」
「もちろん! 魔術ギルドの氷妨害がある限り、いつでも提供するわ!!」
「やっぱり酔いどれ小屋は最高だぜ!!!」
こうして、魔術ギルドの妨害はまたもや酔いどれ小屋の新メニュー開発という形で終焉を迎えたのだった――。
─
月明かりの届かぬ夜、黒い影たちが密かに語らう。
「…本格的に我々も介入すべきかもしれんな。」
揺れる気配が、一つの問いを投げかける。
「そういえば、先日手に入れた巨大なドラゴンを攻撃手段とする話があったが…進展はどうだ?」
低い笑い声が闇の中に滲む。
「順調だ。もし魔術ギルドが役に立たぬ場合も、次の手はある。抜かりはない。」
風が冷たく吹き抜ける中、影たちはゆっくりと姿を消した。
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