エピローグ
本日で完結です
いまや“レチノール国一番のおしどり夫婦”と言えば、俺たちの事だ。
あの日結ばれた俺たちは、それから離れ離れだった時間を取り戻そうとするかの如く、濃密な時間を過ごしている。
人生とはいつ突然の別れに見舞われるかなど分からないのだ。昨日元気よく挨拶を交わした恋人と明日も変わらず一緒の時間を過ごせるとは限らない。引き裂かれたり、死に別れたりする事などいくらでも有り得る。
ふたりは離れている時間など1秒たりとも許せないとばかりに常に一緒にいる。離れるのは厠へ行くとき位なものだ。いや、終わるまで扉の前で待っているから、離れてはいない。
訳が分からないのは家人達だろう。ゲリエル侯爵は夫人をあれだけ蔑ろにしていたのに、ある日突然に溺愛し始めたのだ。当主自ら「ツェツェアーリはずっと探していた、私の最愛だ」と説明したとたん、顔色を青白くさせた者は数人ではなかった。その後は、緊張感を持って俺に傅いてくれている。
俺は大人だから家人達に嫌味など言わない。過去は奇麗さっぱり洗い流して、和やかに対応してやったから徐々に心を許してくれて、今では笑い話として過去の事も話せる様になった。
領兵の訓練に顔を出すようになった俺は、ルスとふたりで領兵の戦闘能力向上に努めている。領兵達に「悪魔!」とか「血も涙もねぇ!」とかよく叫ばれているが、心外だ。苛めだとか仕返しだとかそんなんじゃないぞ!ほんとだぞ!
そしてイーリー嬢は最初「どんな手管でアルを篭絡したの!? 」と激しく罵ってきたが、ルスがふたりの前世の事を暴露した。
俺とルスは前世からの仲だと聞かされたイーリー嬢は、しおしおと萎れて大人しくなった。
彼女にとってルスの言葉は絶対らしく、前世の話を眉唾と笑い飛ばす事無く信じたらしい。そして、彼女は親の決めた相手と結婚した。政略結婚だが、仲よくやっている様だ。
俺たちが結ばれて1年後に待望の第一子、息子が生まれた。その後も1年半から2年おきに次々と子供ができ、息子、娘、娘、息子、息子、娘、息子と、あっと言う間に7人兄弟にまでなった。
性別には拘らず、それぞれの個性を伸ばすような教育をしている。息子は三男以外は騎士を目指しているが、三男は文官肌だ。娘は長女が騎士を目指しており、二女と三女はお洒落に目が無い。みんなそれぞれ将来が楽しみだ。
そして今、私のお腹の中に新しい命が芽生えた。
「ルス、今度は男の子かな?女の子かな?ルスはどっちが良い?」
「どちらでも。どちらにせよ可愛い我が子には違いないもの。ツェリ、愛しているわ」
「俺も。ルス、愛している。来世でも、来来世でも、俺たちはずっと一緒に居よう」
「ええ、約束ね。絶対に私を見つけてね」
レチノール国とパミドロル帝国との関係も概ね良好で、ダルベート大陸は暫しの平和を甘受している。この平和が長く続いてくれる事を願うばかりだ。
完
ここまでお読みいただきありがとうございました
これにて完結となります
お粗末様でした
次は、『おふたりさま~』が完結してから、また新しいお話を書く予定です




