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ラベンダーと猫  作者: 来海アカネ


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5/5

消えた季節

世界の平均温度が下がった



今年の夏はエアコンも扇風機もいらないらしい



そうかそうか



夏が来なくなったのだ



寒い夏



半袖の服は捨てた



必要ないから



日傘も日焼け止めも捨てた



必要ないから



よかったよかった



もう暑い中外に出なくていいのだから



汗も日焼けも気にしなくていいのだから



人々は、暑くないのに



夏は夏だと言い張る



いいじゃない



もう夏じゃないんだから



無理に夏を感じなくたって





窓を開けても



夏の匂いはしなくなった



蝉の声も聞こえなくなった



道路で干からびたミミズも見なくなった



こうやって幻になるんだね



あったかい家の中と八月のカレンダー



私は



胸がちくりと痛んだ



何でだろう



暑さなんて大嫌いなはずなのに



ああそうか



嫌いの中に少しの好きが隠れていた



嫌いだから少しの好きが色濃く浮き出ていた



今更気づいてごめんね



そこまで嫌いじゃなかったみたい



いつか買った手持ち花火



パッケージに大きく書かれた「夏」の文字



申し訳程度の夏の抜け殻



押し入れにしまっておくから



たまには帰っておいでよ




















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