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75. 魔法のランプ4

「・・・・やった・・のか?勝ったのか?アキラ」


 ガンザスが盛大にフラグを立ててしまったその時、魔法のランプにヒビが入り、砕け散った。魔法のランプの中から、赤黒い魔素の塊が現れた。これはなんだ?禍々しい雰囲気を醸し出している。バチッ、バチッと黒い稲妻のようなものが走っている。ガンザスが立てたフラグからして、魔神ジーニがこのまま消えるとは思えない。なんだろう、嫌な予感がする。というか、嫌な予感しかしない。その証拠に、師匠がニマニマと笑っている。赤黒い魔素の塊がゆらめきガンザスの目の前に現れる。


「へ?」


 訳のわかっていないガンザスが間抜けな声をあげた瞬間、赤黒い魔素がガンザスの口の中に飛び込んだ。


「ぐ、ぐぅ。」


 ガンザスの体が赤黒い魔素に包まれている。


 「ふふふ、やはりこの体がしっくりくるわ」


 ガンザスの体が魔神ジーニに乗っ取られた。外見は魔神ジーニのものに変わっている。魔神ジーニが右手を軽く振る。すると一陣の風が吹き、俺の頬が切れた。真空波もしくは真空魔法。見えない攻撃が襲ってくる。


 「いいわ。この嫉妬に満ちた体。力が漲ってくるわ」


 ガンザスが嫉妬に満ちている?意味がわからない。


 「彼は、ずーっとアラジンのことが好きだったのよ。それは兄弟として?親友として?1人の男として?それはわからないけれど、自分はずーっとアラジンのそばにいられると思ってたの。冒険者になったのもアラジンのため。近衛騎士になったのも王女と結婚するアラジンのそばにいるため。その愛はいずれ嫉妬に変わっていったわ。本人も気づかないうちにね」


 ガンザス・・・・自分でも気づいていないであろう心情を全部吐露されている。なんか御愁傷様。しかし、ガンザスの嫉妬を吸収した魔神ジーニは先ほどよりも禍々しいオーラを放っている。まるで邪王炎殺黒龍波を放つ前の飛○のようだ。圧倒的な強者感。魔神ジーニが右の掌を突き出す。その瞬間、俺は壁に打ち付けられた。次は天井、床、壁へ。


「ぐはっ」


 念動か!?全く逆らえない。体が動かない。どうすればいい?今でも全力で魔素を循環させているのに、これ以上は、桔梗の制限のせいで出力を上げられない」


 「アキラよ。魔神ジーニから吸収した魔素を使うのじゃ」


 師匠がアドバイスしてくれる。ありがたいが、そもそも助けて欲しいです!


 「嫌じゃ。めんどうなのじゃ」


 えぇ!心を読まれた!?というか、そもそも壁や天井に打ち付けられ続けている最中なのだ。魔神ジーニの魔素を使うなんてできそうもない。さっきも酩酊感に襲われて気持ち悪くなったし・・・・。


 「やれやれ、少しだけじゃぞ」


 急に体が自由になった。魔神ジーニの魔素を少しだけ魔素の循環に取り込む。グゥ。気持ち悪い。


 「“嫉妬“は七大罪の中でも受け入れがたいものじゃ。しかし誰しもが持っておる。それを受け入れよ」


 嫉妬の魔素?七大罪の魔素?よくわからないが、この気持ち悪さは俺が嫉妬の魔素を拒絶しているからだということか。俺が誰かを嫉妬していることを認めればいいということか?しかし、この世界に来てから誰かに嫉妬するようなことはなかったと思う。そのような暇もなかったし。では、転生前??


 ・・・・・


 あ、向こうの世界で死ぬ前に「リア充どもめ、爆ぜろ!」と思っていたな。あれも嫉妬か。そう思うと嫉妬は俺にとってとても親しみのある感情だ。むしろ友。そう思った瞬間、気持ち悪さがなくなり、魔神ジーニから吸収した魔素がしっくりとなじむ。体を循環する魔素に嫉妬の魔素が混じり、力が溢れてくる。


 「うむ、悪くない。行け、アキラよ」


 どうしても師匠は俺を戦わせたいらしい。


 「それじゃ、行きますかね」

 

 とはいえ、先ほどまでは肉弾戦メインの戦いをしていた魔神ジーニが、魔法メインの戦い方をしてくるのはどういうことなのか?


 『告。魔神ジーニは魔法のランプの制約から解放されています。そのため、十全に魔法を使うことが可能となっています』


 メーティスさん。ありがとう。ということは、今の魔神ジーニが最終形態ということだ。これ以上強くなられたら洒落にならない。魔神ジーニが、こちらに手を向けてくる。また魔素で壁に叩きつけられるかと思っていたが、今度は耐えられる。魔神ジーニは一瞬意外な顔をしたが、ニヤリと笑って、風魔法を放ってくる。見えない刃が迫ってくるのを感じる。気配を頼りに躱す。後ろの石柱が切り裂かれる。俺は、気配を頼りに躱しながら魔神ジーニに近づく。近づけば近づくほど、魔法の密度が上がり、躱すことが難しくなる。あと2mのところで、躱し損ねて左肩が切り裂かれる。

 

 「痛てぇ」


 気にしている場合ではないが、痛いものは痛い。体の魔素の循環をコントロールして傷を塞ぐ。

 

 「葉隠流忍術 空弾」


 俺は、空気を固めた弾を相手に向かって放つ。魔神ジーニの真空波にぶつかり、相殺される。空弾を連発して、真空波を相殺しながら、ようやく魔神ジーニに肉薄する。肉体を得たためか、今度は魔素を分散して逃げるようなことはない。右手のストレートを叩き込む。魔神ジーニが左手で受け止める。


 「よくできました。」


 魔神ジーニが朗らかに告げる。その後、電撃が流れる。


 「ぐががが」


 雷遁によく似た黒い雷が俺を焦がす。右手を振り払って、左手を叩き込む。右肩で防がれた。しかし、魔神ジーニが少し嫌な顔をする。当たりさえすれば、攻撃は通る。今度は、魔神ジーニが俺を振り払い距離を取った。魔神ジーニの両手に黒い稲妻を纏った魔素の球体が現れる。


 「そろそろ、死になさい」


 魔神ジーニが両手の雷球を間断なく連続して放つ。超高速で雷球が迫ってくる。避ける隙がない・・・・。俺は、最大限魔素を放出して雷球を受ける。


 「ぐぅぅ」


 なんとか凌いだが、次は耐えられる気がしない。この状態で近づくのは難しい。ならば、遠距離攻撃可能なレンズに交換する。


 換装 卯月(50−400mm)

 起動(アクティベート)


 アサルトライフルになった卯月に魔素を注ぎ込み放つ。魔神ジーニは簡単に躱してしまう。このままでは、勝てない。何かきっかけがあれば・・・・


 ドドドドドド


 天井から変な音が聞こえる。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 天井にヒビが入り・・・・・天井が崩れる。


 「はーはっはは!アキラよ。待たせたな!我、参上じゃ」


七大罪

・傲慢

・強欲

・色欲

・嫉妬

・暴食

・憤怒

・怠惰

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