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69. 砂塵の墓所 地下1階層

 爽やかな砂漠の朝がきた。


 朝食をすませ、必要な荷物をガンザスがまとめている。

 俺はというと、ソラちゃんがまとめて持ってくれるから問題なし。


 それでは、魔物が跳梁跋扈する砂塵の墓所へ突入だ。

 入り口の両脇には何かの像があった痕跡があるが、砂で削られて得体の知れないものに変わっている。そして、半分ほど砂に埋まっている。入り口は扉があった形跡がある。しかし、それも長い年月によってか、魔物によってなのかわからないがボロボロに壊されている。


 さて、ダンジョンというのは、普通の洞窟と特性が異なる。

 ダンジョンにはコアがある。ダンジョンコアは魔素の制御装置であり、そのコアの意思によって魔物が発生するとされている。そして、長い年月を経たダンジョンの中では、魔物が発生し殺し合い強いものが生き残る。つまり、2000年から3000年経ったダンジョンの中なんて察してあまりあるほどやばいということだ。


 それらを全ておいておいても、この古代遺跡感撮影せねばなるまい。

 撮影者 起動 

 モード α

 換装 睦月(20−40mm)


 焦点距離を35mmに合わせて、F値を8まで絞り込む。絞ることで、全体がピントの合っている写真になるようにした。そして、水平・垂直を合わせる。立ったままだと若干見下ろすような形になるので、視線を下げてダンジョンの入り口が中央下半分になるようにする。広角レンズはどうしてもパースによる歪みが出てしまうので、被写体と正対し、水平垂直をきっちり取ることで写真が安定する。


 その後、焦点距離を20mmに合わせて地面スレスレから見上げるように撮影する。見上げるように撮影することで、ダンジョンの大きさがより大きく強調される。歪むがダンジョンの恐ろしさが表現できているのではないだろうか?


 ウヒョー。楽しい〜!

 はっ!!いかんいかん。目的(じぶん)を見失っていた。


「さぁ、ダンジョンに行こうか」

「いや、今更格好つけてもダメだろ」


 砂塵の墓所の入り口を入るとすぐに地下に続く階段になっていた。

 何が出てきてもいいように、俺は撮影者を起動したまま突入する。

 シャッターチャンスを逃してなるものか!


 まぁ、ぶっちゃけ強い魔物にこっちの刃物は通らないということが嫌というほどわかったので、いきなり撮影して武器化することに注力すべきだと思ったのだ。道中も撮影できそうだしな。


「葉隠流忍術 狐火」


 これで道中の明るさも確保だ。


「アキラ。ダンジョンの中は罠がたくさんある。落とし穴や毒矢の罠なんてのもある。本来なら、盗賊に先行してもらって罠を見分けるんだが・・・・」


 罠にハマるといきなり全滅もありうるからな。

 どうにか罠の判別ができないものか・・・


『告。マスターが撮影すれば問題ありません。』


 ん?どういうことですかメーティスさん。


『罠はダンジョンコアの魔素によって動いています。ですので、撮影後魔素表示すれば、ぶっちゃけ全部わかります。』


 メメメ、メーティスさん? ぶっちゃけちゃっていいんでしょうか?


『問題ありません。』


 最近、ようやくわかってきた。撮影者はチートだ。

 魔素を見るということがこの世界では非常に効果的だ。魔素の動きを再現することであらゆる魔法を使えるようになる。 スキルスロットは、体を流れる魔素の流れを再現することで体術も使えるようになる。俺の場合は スキルスロットでの反復練習で葉隠流体術を習得した。練習はそれは壮絶を極めたけどな!


「ガンザス。どうやら、罠は俺のスキルで見破ることができそうだ」


「なんというか。お前はどうなってんだよ。ガキの頃のアラジンだってここまでじゃなかったぜ」


 ガンザスはちょいちょいアラジンを引き合いに出す。


 地下1階層に到着した。そこで、一枚撮影する。

 魔素表示をONにする。

 おお、目の前に落とし穴があるじゃん。

 床に魔素の漏れている四角い枠が見える。


 で、これどうやって解除するんだ?

 うーん。この壁のボタンっぽいものが怪しいか?

 やたら魔素が集まってるし。


 押したらボンとかならないよな?

 あれ?撮影者最強じゃね?とか思った側からメッキが剥がれていくぞ?

 あくまでも罠があることがわかるのであって、解除方法は自分次第か!

 ほんっとにこの世界優しくない。


 ガンザスと師匠とソラちゃんに下がってもらって、俺は魔素で体の防御を固める。

 ポチッとな。ボタン押す。

 何も起こらないな。


 魔素の枠が消えている。どうやら解除に成功したみたいだ。

 撮影者で動画撮影しながら奥に進む。


 次の曲がり角から魔素が溢れている。この感じは魔獣っぽいな。

 ガシャガシャと音がする。ダンジョンの通路は人が2人並んで立ったら一杯になるほどの幅だ。そのダンジョンの通路の奥からガシャガシャという金属の擦れる音がするとすると相手はダンジョンに付き物の骸骨。そうスケルトンだ。


 そう思っていた時期が俺にもありました。


 目の前に現れたのは、右手に骸骨を持って引きずっているデーモン。

 ここ、地下1階層だよね?デーモンとか出ていいの?

 絶対、普通の武器じゃ無理だよね?


「おい、アキラ。デーモンが出たぞ。逃げた方がいいと思うのは俺だけか?」

「ガンザス。俺も激しく同意する」


「なんじゃ。デーモンなぞ倒せばいいではないか」


「いやいやいや、師匠。デーモンですよ。大抵ボス前にでるような魔物ですよ」


 あ、目が合った。


「グオォォォォ」


 デーモンが叫び声をあげて骸骨をぶん投げてきた。


「ガンザス、これ逃げるの無理だぞ」

「ああ、アキラ。そうみたいだな」


 目の前に飛んできた骸骨をガンザスが切り伏せる。

「俺ができるのはつゆ払いぐらいだからな」


 デーモンの前に火の玉が現れる。魔物は無詠唱で魔法を使ってくる。

 デーモンのファイヤーボールがこちらに飛んでくる。


 こんな狭い通路じゃ回避もできない。


「葉隠流忍術 氷遁」


 ファイヤーボールと氷遁は熱を操作するという意味では同じ魔法だ。

 温度が下がれば炎も消える。


 換装 如月(35−150mm)


 デーモンも人型だから、如月が最適と判断した。


 85mmの開放F2.5で撮影する。


 残り撮影枚数5枚です。

 意外とデーモンが弱い。サンド=ラグが強すぎたのかもしれないが・・・・


「ガンザス、後5枚だ。時間を稼いでくれ」

「おう、わかった」


 やはりというべきか、ガンザスのロングソードはデーモンを傷つけることができない。ガンザスは武器に魔素を纏わせることができないようだ。それでも、デーモンの気を逸らすことはできている。俺は、隙をみて撮影する。


 やはり、アルティメットカウントは出せないか・・・・

 それでも5枚は簡単に貯まった。


 起動(アクティベート)如月(35−150mm) 


 忍者刀になった如月を構えて、ガンザスと前衛を変わる。

 デーモンの動きが一瞬止まった隙に如月を一閃する。


 デーモンのガードした左腕を切り飛ばす。


「グォ」


 切れないと思っていた腕が切り飛ばされてデーモンが驚いている。


 デーモンが右手を空間に突っ込み斧を取り出す。


「これは空間魔法!」


 アイテムボックスは人間では一つが限界でそのたのスキルが使えないと聞いていたが、魔物は違うらしい。


 デーモンは大斧を片手一本で軽々と振り回してこちらを攻撃してくる。

 しかし、この程度、ダーシュの修行に比べれば屁でもない。


「葉隠流抜刀術 風花」


 風花は瞬脚と高速抜刀を連動させた技だ。デーモンの右脇腹から左肩を袈裟懸けに切り裂く。デーモンはその場に崩れ落ち、チリの様に消えていく。


『ダンジョンで生まれた魔物は死んだ場合、魔素に分解されダンジョンに吸収されます。』


 なるほど、ダンジョンの魔物と外の魔物は全然別物と考えた方が良さそうだな。


「やったな。アキラ」

「ああ、ガンザス。サンキュー」


 その後、3体ほどデーモンを倒して、俺たちは地下2階層へ続く階段の前に着いた。

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