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66. 桔梗とギアナin 王都

「ギアナよ。リーカ教団について調べるのだ」

「え?桔梗さん?どうやって?」

「お主の持っておるソラの分体を通してお主に声を届けておる」


 昨晩、酒場で情報収集していたら、急に桔梗さんから連絡があった。

 私は今リーカ教団について調べているところ。


 そもそも、教団の司祭という人物が、冒険者ギルド近くの酒場で怪しい男と密談しているところを目撃したし、なんなら、冒険者ギルドマスターが警戒していた。


 そのことはすでに桔梗さんに伝えている。

 何やら、王女様の病気は魔素の過剰な蓄積によるもので、複雑な呪いによって引き起こされているとのこと。そして、怪しい人物は3人、宰相のジャファルとメイドのマーサ、そしてリーカ教団の司祭という男。実際、王女の病を魔法のランプのせいにし、季節外れの降雨の儀式を勧めたのもリーカ教団の司祭らしい。


 桔梗さんは宰相ジャファルを調べるので、リーカ教団の司祭を私が調べることになった。

 そう言う訳で、私は今リーカ教団の司祭の尾行をしている。


 そして、ここは中央の広場。三創神の像が立っている。

 その像の前にリーカ教団の司祭が立ち、教義を説き始めた。


「皆さん、私はリーカ教団の司祭です。この世界は魔素に満ちています。魔素は全ての物の根源であり、生物にとって欠かせない物です。しかし、過剰な魔素の蓄積は体を蝕み病を引き起こします。バドゥール王女もその病の床に伏しておられます」


 静かながら、よく通る声で歩く人たちへ訴えかけている。


「その魔素は各地の龍脈から出てきますが、その量が今急激に増えているのです。世界の魔素が増えることで魔物も活性化しています。今、世界は崩壊・滅亡に向かっています。全能神リーカ様は、この世界の滅亡を憂い神子を使わされました。それが、リーカ教教祖のアラカラム様です。アラカラム様はおっしゃられました。滅亡に向かう世界で生き残る術を知っていると。魔素から身を守術を知っていると」


 ここで大きく手を空へ広げる司祭


「リーカ教団は魔素の蓄積による病を癒す薬を、奇跡をリーカ教を信じる方へ提供できます。皆様、世界の滅亡を生きるために、我らとともにアラカラム様の元へ集いましょう」


 数人、足を止めて聞いている。そうか、リーカ教団によって救われた人たちの中でリーカ教団を信じ始めている人がいるとドルグルが言っていた。確かに、魔物が活性化しているのは本当。でも、それが世界の滅亡につながる意味もわからないわ。


 それに、過剰な魔素の蓄積による病が流行った時に都合よくリーカ教団が薬を持って現れると言うのは、都合が良すぎると思うわ。


 一通りの布教活動がすんだのか、司祭の側に誰かが近寄っていく。


 あの顔は、街のごろつきの中でも下っ端として有名なネスオだわ。

 あまりにも下っ端が板についており、比肩するものがいないということで有名な男。

 そんな男がなぜリーカ教団の司祭に・・・。これは跡をつける価値がありそうね。



 ◆◇◆◇◆



 聖女ということで王宮に招かれた我は、ある程度王宮内を自由に歩き回れる。

 さて、リーカ教団とやらはギアナに任せたから、我は宰相について調べることにした。侍女のマーサのことは直接話したことで大体わかった。しかし、宰相ともなるとなかなかに調べるのが難しい。そう思っていたのだが・・・


「聖女様ではありませんか。どうかなさったのですか?」


 まさかの本人の方が話しかけてくるとは。

 疲れるが、聖女っぽく振る舞うとするか。


「ジャファル宰相どの、王女様はいつから病になられたのですか?」


「おお、そうですな。それが病気の快癒の手がかりになるかもしれませんからな。当然ですな。バドゥール様はだいたい2ヶ月ほど前から体調が悪くなられました。熱が続き徐々に衰弱されて・・・。街の教会で発熱に効く薬を入手し、バドゥール様へ飲ませたのですが、病状は悪化する一方で・・・」


 バドゥールのことを心配している様子は演技ではなさそうだ。


「実は、街の中でも王女様と同じ症状の者が現れておったのです。その者たちの病を癒したのがリーカ教団の司祭様だったのです」


 バドゥールと同じ症状の者を癒したとなれば、その人物を探させるのは当然か。


「その司祭は、バドゥール王女の病を治すことはできなかったのですね?」


「ええ、バドゥール様の容体は良くなりませんでした。その時、司祭様が宮殿に伝わる魔法のランプが原因だとおっしゃられました。魔法のランプで降雨の儀式をしろと。バドゥール様は降雨の儀式は街の人たちの生命線と反対なされたのですが、王と相談し降雨の儀式を実施することにしたのです」


 一介の冒険者である我にこんなに簡単に事情を話して良いのだろうかと思ってしまうが、今は都合が良いのでこのまま会話を続けよう。


「そうなのですね。しかし、なぜ降雨の儀式をすることがバドゥール様を救うことになるのでしょうか?」


「魔法のランプは魔素を集める神器なのです。降雨の儀式を行った後、周囲の魔素をより多く集める性質があるのです。それによってバドゥール様を救えるのではないかと・・・」


「しかし、それはアラジンという冒険者によって邪魔されたと?」


「ええ、その通りです。ロケートの魔法で砂漠のダンジョンに魔法のランプがあることはわかったのですが、王国の騎士団ではダンジョンに到達することもできず・・・」


「それで、アキラに魔法のランプ探しを依頼したと」


「そうなのです。不甲斐ないばかりです」


 どうやら、この宰相は、バドゥールの病が呪いにより人為的に起こされていることを知らないようだな。さらに、他の者たちの証言とも食い違っていないとくれば、この宰相が犯人ではないと考えておいても良いであろう。


 怪しきは、リーカ教団の司祭だろうか・・・

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