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61. サンド=ラグ


まずは、読者の皆さんに感謝を!

皆さんが読んでくれているのでここまで続けられています。

まだまだ続きますので、お付き合いいただきたくよろしくお願いします。


フォロー、いいね&評価してもらえるととても嬉しいです。

応援よろしくお願いします。

 今、俺たちの目の前には、巨大な蠍がハサミを開いてすごい威嚇をしてきている。



「アキラ、わかっていると思うが、尻尾の毒針に気をつけろ」

「ガンザスは右から、俺は左に回る」

「OK」


 この巨大蠍はファティッシュスコーピオンという魔物だ。ちなみに、巨大なハサミを茹でるとプリップリで非常にうまいらしい。


 砂漠の昼間は暑さのせいで移動できないため、夜は積極的に移動する時間だ。

 そんな中で出会った魔物がファティシュスコーピオンである。


 ガンザスが右から威嚇しているうちに、隠密スキルで気配を殺して忍者刀に魔素を纏わせて切り付ける。

 狙うのはもちろん毒針のある尾だ。

 固い甲殻に守られているため、なかなか攻撃が通らない。

 師匠と桔梗の制約のせいで魔素のコントロールが難しい。


「師匠、リミッターを外したいんだけど」

「ダメじゃ。修行にならぬではないか」


 ですよね〜。


 一度で切れなければ、何度も切り付けるのみ。

 大きな体のため、本体の速度はそんなに出ないようだが、尾の攻撃だけは早い。

 その尾を目掛けて忍者刀を叩きつける。


 ファティッシュスコーピオンの尾のヘイトが俺だけに向いている。

 ガンザスの剣もファティッシュスコーピオンを捉えているのだが、甲殻に弾かれてなんの痛痒もないみたいだ。すなわち、ガンザスは無視してもいいと判断したのだろう。

 蠍のくせに。


「アキラ、すまない。俺の攻撃は通らないようだ。他の攻撃を試すから、尾をなんとかしてくれ」


 言われなくても、そのつもりだ。

 ハサミを振り回し、避けたところに毒針が飛んでくる。


「危なっ」


 くそ、桔梗の制限のせいで思考加速も弱まっているのか。

 これは、魔素のコントロールをもっと精密にしないとダメだ。

 切り付ける場所も同じところを何度も攻撃しなければならないのだ。避けるのもままならない状態でできるのか?

 いや、やるしかない。


「アキラ、頑張るのじゃ〜」


 師匠が呑気に応援してくる。


 右のハサミ、左のハサミを避ける。

 ここだ。

 ファティッシュスコーピオンの毒針が迫る。

 そこにカウンターで忍者刀で切り付ける。


 ガギィンという金属同士がぶつかるような音が響く。


「ちっ、まだか」


 左のハサミを避けて、またカウンターを入れる。

 どうやらこの個体は左のハサミから毒針攻撃をするクセがあるようだ。


 右、左、尾 → カウンター

 左、右、左、尾 → カウンター

 右、左・・・


「おおおお」


 上からくる尾に対応しようとしたところ、体を回転させての薙ぎ払い。

 上空へ飛び上がり尾を避ける。


 左から尾の流れを覚えさせて慣れたところに別の挙動を叩き込む。

 このファティッシュスコーピオンは戦い慣れている。

 飛び上がって身動きの取れない俺に、下から毒針が迫る。


 避けられない。


 葉隠流忍法 空壁

 空気を魔素で固めて足場し、それを蹴って軌道を躱す。

 こちらが避けられないと思って振り切った尾が所在なさげに固まっている。

 ここ!


 忍者刀に纏わせている魔素をさらに研ぎ澄まして何度もカウンターを入れた部位に叩き込む。


 ガ、パシュ。


 振り切った忍者刀で尾の先端、すなわち毒針が宙を舞う。


「よし、奴の最大の武器は奪った。ガンザス、準備はできてる?」


「ああ、こっちは準備万端だ」


 ガンザスが持っているのは、サランラップの芯のようなものに紐がついた物体。

 どう見てもダイナマイト。


 え、爆弾で吹っ飛ばすの?


 ガンザスが導火線に火をつけて5本いっぺんい投げつける。


「ちょまっ」


 ドォン×5


 耳がぁぁぁ。


 ファティッシュスコーピオンも衝撃で目を回しているようだ。

 そして、ダイナマイトの衝撃で、背中の甲殻にひびが入った。


 だが、このチャンスを逃すことはない。


 飛び上がって、空壁を起動して空中で足に魔素を溜めて一気に解放する駿脚。

 奴の背のひびに忍者刀を突き刺す。


 キィィィィィ


 ファティッシュスコーピオンの断末魔。

 こっちもうるさい。

 が、勝つことはできた。


「さすが初日でAランク。ファティッシュスコーピオンは、2人で倒せるような魔物じゃないんだがな」


 ファティッシュスコーピオンをソラちゃんの神空間に収納収納。

 大事な食料だからね。素材としても優秀らしいし。


「いや、ほんとに便利なスライムだな」

「手を出すなよ」

「こう見えても元近衛騎士団長なんでな、そんなことはしないさ」


 ここは周りには砂しかない夜の砂漠。

 風で砂がサラサラと動いていく。


 ビビビビビビビ。


 風とは違う。細かな振動が足に伝わる。



 バババババババ


 あれ、これ近付いてきてない?


 ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥ


 ドブァア


 先ほどの爆発音は遠くまで響いたのだろう。

 このモンスターは地中で音に反応して襲ってくる。


 直径3メートル。5メートルほど砂漠から頭を出した巨大トンネル。

 その先端には、サメを思わせる歯が奥に向かって並んでいる。

 飲み込んだ獲物を奥へ奥への運ぶための刃だ。

 この砂漠の王。言うなれば巨大な肉食のミミズ。


 サンド=ラグ


 それがこの巨大モンスターの名前だ。


「おいおいおい、なんでこいつが出てくるんだよ」

「そりゃあんだけ音を立てれば襲ってくるだろうよ」

「いや、砂漠は広いんだぜ。こんなに早く襲ってくるってことは、すぐ近くにいたんだ」


 なるほど、遠くから襲ってくる場合、爆音の場所から移動していればいいわけで。なんなら、そっちを囮に逃げるなんてこともできそうだ。


「ここはラクダを一頭囮にして逃げるぞ」

「いや、無理っぽい。なんだか俺狙われてる」


「ふむ、桔梗のやつがお主に掛けたのは制限だけではないようじゃな。魔物を惹きつけるような呪がかかっておる」



 桔梗ーーーー。あのブラックドラゴン後でぶん殴る。



 通りで滅多に出会わないファティッシュスコーピオンに襲われて、さらにレアなサンド=ラグにお目にかかるわけだ。


「ガンザス。覚悟を決めろ。奴を倒すぞ」

「役には立たないが、ま、付き合ってやるよ」


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