22. 印刷
22話目です。
読んでくれている方が増えました。
ありがとうございます。
ブックマークしていただいた方も増えてます。
とても嬉しいです。頑張って続き書きますね。
生ワルドゼリーとワルドシロップの新たな名前が決まった。
超高いけど値段も決まった。
「うーん」
「アキラくん、どうかした?」
「やっぱり、世界樹の宝石と世界樹の雫が高すぎて、村に人を集められないんじゃないかと・・・」
「確かに、一般庶民には手が出ないかも」
ギアナと一緒に悩む。
ちなみに、ドルフさん、フクさん、ガゾに師匠は唐揚げを食べつつのんびりとお茶を飲みながらこちらを生温かい目で見ている。
「そうだ、最初は高位の冒険者にターゲットを絞るのはどう?」
「冒険者?冒険者がいるのか」
「もちろんいるわ。高位の冒険者なら、世界樹の雫は喉から手が出るほど欲しい回復薬だと思うの!神の頂を超えてこの村に来るだけでも相応の実力がないと難しいし」
「なるほど、世界樹の雫はシロップじゃなくて、エクストラポーション以上の効能のある秘薬として宣伝するんだな」
「そう。そして世界樹の雫を手に入れるためにこの村に来ると、村に泊まることになるし、食事も必要になる」
「いいね。その分、村にお金が入ってくるってことだ。そのお金を使って交易を始めれば、村も豊かになる」
最初の一歩として、世界樹の雫を全面に押し出し、高位の冒険者が村に来ることを目指すことになった。
問題は、世界樹の雫のことを冒険者にどう広めるか?
この世界の情報伝達は口コミのみになる。そうすると口コミの信ぴょう性が重要になる。
神の頂を超えた先にある寂れた村にエクストラポーション以上の効能の秘薬が急に生まれたなど誰が信じるだろうか?実物を見ても信じられないかもしれない。
ギアナがトリプレットデザートに持っていけるのも数本。あまり多く持っていくとこの村に来る必要がなくなるからな。
発言力のある人に、世界樹の雫と世界樹の雫の写真を渡して広めてもらうのがベストなのでは?
「ギアナ、世界樹の雫を数本と写真を持ってトリプレットデザートで効能と価格とどこて手に入るか広めてもらえるか?」
「もちろん、私の所属する商業ギルドでギルドマスターに話してみる。だけど、写真ってのは何?」
「ふふふ、それはだね」
ユニークスキル撮影者発動
手元にカメラが現れる。ギアナを一枚撮影し、ギアナに見せる。
「わ、私が写ってる!?」
「そして・・・ソラちゃんお願い」
「アキラぁ。準備できたよぉ」
昨日ガゾのところで手に入れた青、赤、黄色の石を非常に細かく砕き、木も細かく砕いてソラに食べてもらう。
メーティスさんの解析鑑定で解析し、ソラちゃんの蓄えた魔素を使って木の繊維から紙を作る。そこに俺の魔力で青、赤、黄色の石から作った顔料を焼き付けていく。もちろん、色の配合や印刷する位置はメーティスさんにサポートしてもらっている。しかし、俺の魔力操作が未熟でドットが粗い。30dpiに満たないと思う。ちなみに、72dpiでHPなどに掲載されている小さな画像程度。その半分以下の荒さなので押して知るべしというやつだ。それでも昨日の夜に散々練習した成果だ。
ソラちゃんがプリンターよろしく、L判サイズ(89mm×127mm)くらいの写真を出力する。
漂白されていない生成りの紙に天然の岩から作った青・赤・黄色で印刷しているので、色の再現性なども低い。
「ギアナ、これどうかな?」
「アキラくん、すごいよ。本物そっくりだし、すごく細かいところまで再現してる。それに私超可愛い」
そういえば、自分で美少女って言っちゃう人だった。
撮影者を起動。焦点距離40mmでF11まで絞る。今回は、商品の細部がきっちり写っていることが大事なので、F値を大きくする。そして、世界樹の雫を撮影して、それを50枚ほど印刷。ギアナに渡す。
「あとは、冒険者が来た時の宿と食事処があれば、ひとまずの準備が整うんだけど」
「俺が村の空き家を改装して、食事処と宿屋を作ってやるよ」
さすが石工&大工のガゾだ。とても頼もしい。
「じゃあ、私が食事処で料理を作るよ」
フクさんが名乗りをあげた。
「それでは、宿の管理と食事処の手伝いは、村の誰かに頼んでおくよ」
さすが村長。ドルフさんが手配してくれることになった。
「うむ、話がまとまったようじゃな。それでは、修行じゃ」
「いや、ちょ、師匠。抱えないでぇ」
師匠の忍耐が限界に達したらしい。
赤い鳥居の前に連れて来られる。
毎度お馴染み、階段ダッシュの時間だ。
しかし、昨日の俺とは一味違う。俺は、初日にドルフさんとダーシュと一緒に登ったことを思い出した。
あの時、2人は自身の魔力で肉体を強化して登っていた。
昨日の訓練で魔力操作で駆け足くらいはできるようになっている。これを併用すれば、かなり時間を縮めることができるはずだ。待ってろよ。師匠!
本日の結果
1時間5分
体力が続く限り走り、その後に魔力で走る。その間に休憩し、回復したらまた走るを繰り返して40分ほど縮めることができた。本殿に着いたら、師匠が待っていた。
「ほう、魔力の強化も上手く使っているな。良いことじゃ。ほれ、ワルドを食べよ」
師匠が生のワルドを渡してくる。ソラちゃんに魔素をある程度抜いてもらいかぶりつく。
いや、ほんとうまいのよこれが。さすが世界樹の果実、最高の回復薬だね。
体が回復するとともに魔力も全回復する。
まだまだ日は高い。
次は、魔力操作の練習だ。
階段ダッシュで駆け足を使ったことで、足を動かすのはかなり慣れてきた。
全身に魔力を巡らせる。その魔力を使って腕を動かす。
ぎこちないが、腕を動かし腕立て伏せをする。
「その調子じゃ」
最後は、短剣の素振りだ。
短剣に魔力を吸い取られないように抵抗して素振りを続ける。
本日の結果。
500回
ふぅ。昨日の倍は続けられた。ソラちゃんの印刷を制御したことで、魔力制御の能力がかなり上がったみたいだ。
「この短期間でかなりの成長率じゃ。明日は、妾が武の手ほどきをしてやろう。今日は風呂に入って休むが良い」
魔力が空っぽの俺は、ワルドを一口食べて、温泉に向かう。
「なんか、この世界も悪くないなぁ」
温泉に使って星空を眺めながら呟く。東京では見られないほど多くの星が輝いている。もちろん、オリオン座のようなメジャーな星座も見つからない。つくづく異世界だと思う。ここに三脚があれば、星景撮影できるのに・・・
『岩などでカメラを固定することで、簡易的に撮影することが可能です。』
お、さすがメーティスさん。ちょっと撮ってみましょうか。
【撮影のすゝめ】(注意:あくまでも作者の主観です)
雰囲気重視のテーブルフォトと違って、宣材写真は、商品全体がきっちり写っている方が良いと思ってます。
なので、今回は焦点距離40mmでF11まで絞って撮影しています。本当は、50mmから100mmくらいの焦点距離の方が広角レンズの歪み(パース)が少なくなります。また、絞って撮影するため、シャッター速度が遅くなり、手ブレしやすくなります。なので三脚をしっかり使って撮影すると良いです。
ここでは、三脚もないので、ISO感度をあげて撮影しています。ISO感度を上げると画像がざらざらしてきます。
本当はよくないのですが、印刷がそもそもざらざらなので、気にしなくてもいいかなと思っています。




