エピローグ 【魔女は世界の守護者であって専属メイドではありません】
裏切りの魔女と言う名の異界の神からの襲撃を乗り切った俺は朝に目を覚ます。
「すぅ~。すぅ~」
今日もベッドには裸のティーナが居て、俺の腕の中で穏やかな寝息を立てて眠っていた。
暫くはティーナの身体を撫でたりして楽しんでいたのだが……。
「ん……んぅ?」
やがてティーナの目が開かれて目を覚ます。
「おはよう……ございます、旦那様」
「おはよ」
そうして寝ぼけ眼で挨拶してくるティーナに挨拶を返して――今日も1日が始まる。
午前中は庭で魔術の授業や護身術の訓練に費やして、午後からは冒険者ギルドに向かってティーナのランクを上げる為に依頼を受けた。
まぁ、今日も森でゴブリン退治だったけど。
ちなみに異界の神によって森は潰されたが、俺が魔女の力を使って元に戻しておいたので騒ぎも起こっていない。
そうして依頼を終えた後は家に帰ってティーナと2人でお風呂に入って――途中でチョメチョメしながら身体を洗ってから上がり、その後は夕食を食べて、2人でベッドに就寝。
勿論、素直に寝ることなくチョメチョメしてから眠りに就く。
そういう1日のルーティーンを済ませた後に……。
「まだまだ元気そうね。気分はどうかしら?」
魔女に戻って家を抜け出した私は秘密の隠れ家の地下にやって来ていた。
「……最悪だよ」
鎖と言う名の封印に雁字搦めに縛られて拘束されたまま答えたのは――異界の神と呼ばれた少女だった。
「超越存在だという神を自称していたから期待していたけど、そんなにエネルギーが豊富って訳でもないのね」
異界の神からエネルギーを奪って世界力に変換し、それを星に還元してみたのだが――期待していた程には星のエネルギーは回復しなかった。
19%強だったエネルギーが26%まで増えただけだった。
まぁ、今も現在進行形でエネルギーを奪っている最中だけど。
「ありえないよ。神を拘束してエネルギーを奪うなんて、君には常識ってものがないのかい?」
「神と言ってもただエネルギーが多いだけのポンコツじゃない。私はそれを星のバッテリー代わりにしているだけよ。期待外れでしたけどね」
「くっ。勝手に期待した癖に、勝手に失望して……自分勝手だとは思わないのか?」
「え? ブーメランを投げるのがお上手ですねって言って欲しいの?」
「…………」
人に勝手に期待して勝手に失望するのは、こいつの得意技じゃない。
「まぁ、その拘束は最低でも1000年は解けないから、その後にでも抜け出して勝手にすれば良いと思うわ」
封魂結界を応用して異界の神専用に組み上げた対神魔法だ。
いくら神でも、この拘束は簡単には解けない。
「こんなところでエネルギーを奪われながら1000年も!」
異界の神は絶望したような顔をするが、全く可哀想だと思えない。
寧ろ、もっと凄い罰を与えても良いのではないかと思う。
「こういう時は、こう言えば良いのかしら? てめぇは私を怒らせた」
「……君、怒ってたっけ?」
「ただのネタです」
別に異界の神の敗因は私を怒らせたことじゃないし、怒りで新しい力に覚醒したとかでもない。
本当にただのネタだ。
◇◇◇
「異界の神……ねぇ」
今日はティーナを連れて先生の家を訪問し、今回の事件の詳細を語っていた。
「思ったよりエネルギーを補充出来ませんでしたが、今後1000年は星のバッテリー代わりになってもらうので少しは余裕が出来そうですよ」
「……あんたは相変わらず怖いねぇ」
「魔女として当然のことをしたまでです」
星の守護者である魔女としては当然の行動である。
「他の魔女達もあんたに触発されてさっさと動き出したし、少しは世界が良い方向へと動き始めるかもね」
「そうだといいですねぇ」
言うほど簡単に良い方向なんて向かないと思うけど。
というか他の魔女が動き出したのは私に見つかって星の意思で動く人形にされるのは嫌だから、それを避ける為に働き始めたというのが真相だ。
サボっている魔女を私が見つけたら問答無用で人形にしてしまうからね。
「あぁ~。綺麗な家は快適だねぇ」
「…………」
ここに1人例外がいるけど。
毎回、私が来る度に掃除と料理をさせられるとか、どういう生活力をしているんだか。
「先生も専属メイドを雇ったらどうですか?」
「メンドイ。それに、あんたがいるから必要ないだろ」
「…………」
私は先生の専属メイドじゃないんですけど。
(でも私って超絶美少女だからメイド服も似合うかもしれないわね)
メイドになる気はないけど、専用のメイド服は作ってみようかな。
※これにて第1章は終了となります。
第2章を投稿するかは現在執筆している状況に寄ります。気を長くしてお待ちください。




