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VOL.50 空気清浄器
206X年、人類は絶滅の危機に瀕していた。
自らの享楽のために、自然を破壊し尽くし、それが故に、工場から垂れ流される排煙がのさばり、空気がどんどんと薄れると共に有害になっていった。
今や、世界人工の6割が肺がんになっているという、末期的症状を呈していた。
だが、そうなっても、工場を停止することは誰もできないでいた。
巨大な利権、生活水準の維持.
そんなくだらないもののために、人類は進んで滅び去ろうとしていた。
そこに、救世主が現れた。
その人物は、人類史上ともいえる天才的な科学者だった。
全地球規模に広がる汚染された空気を新鮮なものに変えるという、空気清浄器を作ったのだ。
科学者の作った機械は完璧だった。
みるみるうちに汚染された空気が吸い取られ、数十年振りに新鮮な空気が蘇った。
人々は救われた。
しかし、その機械には欠陥があった。
作った本人も知らなかったことだが、その機械は、汚染された空気を過去に飛ばし、代わりに過去の空気を現代へ送り込んでいた。
一種のタイムマシンだったのだ。
そのために恐竜は絶滅し、今の人類が栄える礎を築いた。
人間は、自分たちが誕生する前の生き物まで絶滅させていたのだ。
なんとも、恐ろしい生き物である。




