悲しいことになる可能性
ある球団のデータ収集部隊はざわついていた。
今シーズンからライバル球団に、ものすごいパワーの外国人選手が加わったのだ。ホームランを量産している。
その飛距離はすさまじかった。ドーム球場ならば、ボールは壁か天井に当たるだろうが、屋外球場では、そうもいかない。
ホームランのボールは球場の外まで飛んでいく。他球場では実際に、それによる被害が出ていた。
データ収集部隊からの「報告」と「警告」に、球団はすぐさま動いた。明日からの試合、その外国人選手がいる球団と対戦するのだ。この屋外球場で。
これまでに集めたデータによると、ホームランの方向はレフトスタンド側に偏っているらしい。
なので、レフトスタンドのすぐ外側にある駐車エリアに、「たんこぶのついたドクロマーク」を描いていく。
――この場所は、場外ホームランが飛んでくる可能性があります。そうなった時、悲しいことになる可能性があります。
マークを描きながら、球団職員は頭の中で、お客さんたちのこんな会話を思い浮かべた。
「この場所だと、場外ホームランが飛んでくるかもしれないんだって」
「じゃあ、今日は別の場所に車をとめようか」
これで良し。ドクロマークが描いてあるのに、ここに車をとめる人は「自己責任」だ。
そして翌日の試合、やはりと言うべきか、その外国人選手による場外ホームランが飛び出した。
そのボールはものすごい勢いで、球場外の駐車エリアに落下する。
ただし、そこに車は一台もなかった。被害はゼロだ。お客さんたち、ご協力ありがとうございます。
ところが、ボールはドクロマークの上で力強くバウンド!
ドクロマークのない、車が密集している駐車エリアの方に飛んでいった。
このあと球場内に悲しいアナウンスが流れる。十台以上のナンバープレートが読み上げられた。
次回は「Tシャツ」のお話です。




