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まなざしの向こう岸  作者: 十二滝わたる
3/15

高原の遊び

 ヨシアは可愛いけど、ヨシアと一緒に遊ぶのはちょっと疲れる。

 今日は天気が良かったから、長屋の前にお母さんがむしろを引いてくれたのでママごとをしたけ。

 ここが玄関でここが寝室、そしてここが台所。そんな風に決めるけど、ヨシアは靴も脱がずに寝室から上がり込むし、草を石で叩いて作ったおかずを本当に食べてしまう。

 暫くすると厭きてきてどっかに行ってしまう。放っておくとどこに行くか分からないから、結局、ヨシアを後を追いかけていき、ヨシアの好きな遊びに付き合うこととなる。

 ヨシアは虫や蛙が好きで、むしゃと手で捕まえては「きゃっ」と声出して嫌がる私を面白がって見せにくる。

 時には大きな蛇だってむんずと掴んではブンブン振り回して地面に叩きつけて殺してしまう。

 そのくせ、夕方に見つけた蛍はただボーッと見つめているだけで、私が捕まえてヨシアの掌に乗せてやると「熱い」と言って逃がしてしまうのだ。

 ヨシアの丘の上の家では兎を飼っていた。夏は茶色に冬は白く色が変わる不思議な兎だ。

 ある時、餌をやっていると兎が小屋から逃げ出した。いつもはモソモソしている兎のくせに、その逃げ出すスピードの速さに「あっ」と声を上げて驚いていると、いつもはおっとりしているヨシアが、突然に兎の倍のスピードでダッシュして、簡単に両耳を掴んで戻ってきた。

 兎よりもヨシアの動物的な動きに驚いていると「ノーちゃん、逃がして駄目だよ」とお母さん口調で説教してくる。

 不思議なヨシアとの不思議な遊びは、朝から晩まで、春夏秋冬、続いて行くんだと思った。


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