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prisoner of love

この世に神がいるのなら、彼はとにかく不公正だ。不公平だ。非人道的だ。けれど、それは、愛の裏返しでもある。だからこそ、試練を与えた。その試練が、彼女の場合―

乗り越えるに値しなかっただけの事。彼女にとっても、彼にとっても。ただ、それは。


無価値はなだけだった。

だから、彼はヤシロは、全てを否定した。

[闇]として、人類最強を遥かに凌ぐ、〈力〉を使って。人類最強の魔法など、当時の彼にとってはタダの虫けらだった。しかし、彼をもってしても殺せなかった人物がいた。それが、〈エヴァ・フローレンツ〉だったのだ。だから彼は、彼女に恋をした。

けれど、それは、単なる恋心ではなかった。

嫉妬だった。勝てないからこその嫉妬。強さへの嫉妬。


丁度、中間者が殺人鬼にした、あの感情そのものだった。何故、何故ー彼女だったのか。わからない。けれど、その答えを知る方法がある。

〈エヴァに直接聞く〉―それが、最善策であり、最悪の選択でもあった。


「エヴァ。帰ろう」

相対するのは、エヴァだった停滞者。ヤシロには、それがエヴァだと分かった。

「隊長、、、?」アドルフは彼の背後で銃を構えながら尋ねる。

「ガァ…!!」エヴァは、吠える。目の前の、黒き異形は、ヤシロに吼える。その咆哮は、エヴァの声そのものだった。

「帰るんだ。みんなの所へ」咆哮に怯む事なく近付いていく。一歩―また一歩と地面を踏みしめて歩み寄る。

「ヤシ、、、ロ、、、さん」声がする。


「エヴァ!!」叫ぶ。名を呼ぶ。


「無理です。私は帰れません。今戻っても私は殺される。だから、もう―いいんです」

涙が頬を伝う。目尻が赤くなる。その雫は顎を流れ、地面へと落ちていく。


「あぁ。でも、俺はお前を信じてる。大丈夫だ。お前も俺を信じてくれないか?護るから。俺が絶対に―守り抜くから」笑顔。泣いているエヴァと対極の表情で、手を差し伸べる。


「エヴァ。帰ろ―」刹那、電撃がヤシロに流れる。「があ"ぁ"!!」ヤシロはその場に倒れこむ。


「やはり、な。ヤシロ。弁明の余地をやろう。『これ』は『どういう』事なんだ?」彼の背後には、人類最強が、武器であるところの―。


「超高性能射出式スタンガン」―〈天獄〉を構えていた。






神は、なんて不公平なのだろう。

ヤシロは、立ち上がり、武器―〈鉄扇・火衣〉を構えた。その瞳には、光がなかった。漆黒の瞳は、紅く、紅く―。どこまでも滾っていた。


ヤシロ対人類最強。


開戦の瞬間だった。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


TO BE CONTINUED……

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