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THE FIFTH WORLD  作者: シロタカ
Episode.1

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004 project

 発端は、一ヶ月前に突然届いたメッセージ。


 差出人は、国際仮想統一機関。

 

 颯とアリスが準決勝で激突した異世界バトルGPの仕掛け人。脳科学を専門とする私設研究所を母体として発展した国際組織であり、現在はUNと協定を結んだ専門機関でもある。


 国家群にとっては、『第二の現実』を支配する〈Power Four〉へのカウンターとしても機能しており、それだけ影響力の大きな組織である。


 とはいえ、一般人からすれば、ニュースでよく見かけるので名前を知っている程度の認識だろう。HAYATE《ハヤテ》やALICE《アリス》のようなトッププレイヤーだろうと、普段から関わり合いがあるわけではない。


 そんな組織からいきなり届いたメッセージであるから、ハヤテはなんとなく不穏な気配を感じたものだ。


 呼吸を整えてから開封してみれば、実際、天地がひっくり返るような衝撃を受けた。



 ――〈THE FIFTH WORLD〉プロジェクト。



 国際仮想統一機関はかつて、ひとつの理想を世界に向けて語っていた。


 四つに分断されている仮想世界〈Power Four〉をひとつに束ねるという『仮想世界統合計画』。もしも実現したならば、それは確かに、世界中の国境をなくすにも等しい大偉業だった。


 ただ、当然のように、企業からの猛反対により計画は頓挫した。『第二の現実』の支配者として君臨している四大企業が、神の座を捨て去るなんてありえないことだった。


 それでも、国際仮想統一機関は諦めなかったらしい。


 長い年月をかけて、水面下で準備は進められていた。歓喜と熱狂の異世界バトルGPすらも、下準備に過ぎなかったというわけである。


 あれだけの大イベントがプロローグに過ぎず、国際仮想統一機関が真に描き出そうとしている本編は、まさにこれから動き出そうとしていた。


 かつて目指したものは、〈Power Four〉の統合。


 国際仮想統一機関は考え方を根本から変えたらしい。新たなるプロジェクトの名前には、その意志がはっきりと示されていた。分断された仮想世界を繋ぎ合わせるのではなく、貪欲に、強欲に、丸ごと飲み込んでやろうと云わんばかりに。


 颯に届いたメッセージには、こう書かれていた。



 ――五番目の仮想世界〈THE FIFTH WORLD〉のβテストに招待します。



 長らく続く〈Power Four〉の支配は完璧であり、四つの仮想世界は揺るぎないものである。今さら、新しいVRMMOが流行する余地はまったくないと云われており、実際、新作が開発されるという噂は久しくなかった。


 国際仮想統一機関は、自分たちの新しいゲームで、正面から堂々と〈Power Four〉に挑まんとしていた。


 新しい仮想世界〈THE FIFTH WORLD〉、最大の特徴は、異世界バトルGPがそうであったように、〈Power Four〉と完全な互換性を持ったVRMMOであるということだった。


 βテストでも、これまでのレベルやスキル、アイテムを失うことなく、〈Power Four〉のキャラクターをそのまま引き継いでゲームスタートできると説明されていた。


 極秘に進められていたプロジェクトが、世界に向けて大々的に発表されるのは間もなくのことであり、βテストの一般募集に先駆ける形で、〈Power Four〉を代表するトッププレイヤーたちには招待状が届けられていた。


 βテストは、三年間という異例の長期スケジュールで行われる。


 招待状を受け取ったトッププレイヤーは、選択を迫られていた。


 颯もまた、人生の大きな岐路に立たされていた。

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