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角牟礼城と日出生城

九月三日 卯の三つ刻(6:00) 角牟礼城下


朝、第三軍は角牟礼城と日出生城にそれぞれ降伏の使者を送った。


それと同時に蒲池隊は森川の上流に向け移動、西牟田隊は日出生城へ向かう。軍を二分したので兵力はそれぞれ国人衆が二千、陸軍が一個連隊と一個大隊に二個中隊の千五百、合計三千五百だ。第一軍から第五軍まで、基本的に装備は変わらない。


しかし、国人衆の装備については火縄銃の鉄砲隊もあり、騎馬隊の数や槍隊の数もまちまちである。兵数も違えば装備も違う。比率が均等ではないのだ。小佐々本家からの支援もあり少しずつ改善はされているが、まだ完全に統一はされていない。


『発 笠木山信号所 宛 総軍司令部並びに前線司令部 メ マツヤマゼウ カンラク フツカヤハンヨリ ウノミツドキ(06:00) メ 二日 申三つ刻(04:00)』


昨日二日の午四つ刻(12:30)、日田城に入城し他の支城とのやり取りをしている時に届いた報である。当然この情報は降伏した日田郡の将には秘匿された。大将の蒲池鑑盛が急がねばならぬと言ったのは、それが理由だ。


万が一大友方優勢の報が漏れれば、再び造反しかねない。情報は秘匿していても、いつ漏れるかわからない。そうなる前にこちらの戦場での戦況を有利にすすめ、城を落とさねばならなかった。


隊を二つに分ける。砲撃隊は無論陸軍が主体となるが、便宜上ここでは陸軍隊と呼ぶ事にする。陸軍隊は渡河後北上する。街道はいいが、河原などは台車では運べない。よって人力で運ぶのだが砲本体で三百四十六貫(約1,298kg)ある。


台車の重さも入れると三百五十三貫(約1,324kg)だ。それを人力で運ぶ。砲一門につき運用兵員と、その他含めて十名で編成されているのが、それだけでは明らかに無理だ。


そのため付近の山から長さ一間半と二間ほどの木を切って、台車の縦と横にくくりつける。担げる人数を増やして、台座のついた台車を担いでいくのだ。左右に棒があり前後に伸びている。


なんとも無様な格好だが、道は勾配があっても車輪を使って大砲を移動できるという前提を、根底から考え直さなければならない。今まで小佐々は大砲の運用は艦砲が主体であった。


または城や堡塁に固定の砲なら、問題なかったかもしれない。しかし野戦砲としての運用は、勾配を考慮しても平な道に限定されてはかなり厳しいものがある。早急に改善が必要な課題であろう。


分隊長も分隊士も関係なく担ぐ。一門が一個分隊だ。一人あたり十三貫と五百七十匁(50.9kg)だから持てない事はないが、それでも長距離だとかなりの重労働だ。皆で息をあわせ休憩を挟みつつ移動する。


目的地まで十五町(1.5km)だが、少し早めに歩けば四半刻(30分)でつく距離である。しかし砲を担いでとなれば、その四倍の一刻(2時間)以上かかった。本隊との連絡のため、五町(500m)ごとに信号小隊をおく。


本隊はそのまま渡河し、西進して水の手が確認できる平野と山の境目付近まで移動。距離があくので信号員は随時移動した。


ここまではなにもない。何も起きていない。


陸軍隊は先行して角牟礼城北西側の山に斥候を出した。本陣を置いていた森村から豊後国までの街道沿いだ。街道を挟んで角埋山の向かいの山だが、背後からの伏兵を防ぐためである。


目の前の川は平地から勾配が出てきたためか、段差があり岩がごろごろしている。背後からの攻撃さえ気をつければ、前方からの敵は鉄砲の的である。とてもではないがこの川を走り抜けるなど出来はしない。


岩から滑り落ちないか、転ばないか気をつけるので精一杯だろう。


背後の山に伏兵はいなかった。広範囲にわたって、それこそ午三つ刻(12:00)の降伏の期限まで、もうあと四半刻というときまで敵の存在は確認できなかった。斥候を撤収させ部隊を統合する。


『発 笠木山信号所 宛 総軍司令部 メ モジゼウ カンラク フツカトリヒトツドキ(17:00) メ 三日 寅一つ刻(03:00)』


巳の四つ刻(10:30)に届いた報だ。無論本隊にも、日出生城へ向かった別働隊にも届いている。陸軍兵には日田郡の兵は含まれないので秘匿の必要はなかったが、わざわざ自軍の士気を下げる事もない。小田大佐は黙って上着にしまった。


周囲の警戒を怠らず、兵に休息をとらせる。


■午三つ刻(12:00)

『発 陸軍隊指令 宛 第三軍指令 メ コウフクノ シラセ アリヤ ナシヤ メ 』


『発 第三軍指令 宛 陸軍隊指令 メ シラセ ナシ コウゲキ カイシ セヨ メ』


よし、と小田大佐は言葉を噛み締め、全軍に攻撃命令を出す。これで勝利だ、と。


「降伏の知らせなし!これより攻撃を開始する。目標、前方の角牟礼城本丸!撃ち方始め!」

大佐の号令に基づき、各砲の分隊長が、号令を出す。


「よーい、てええ!」

と、一斉に撃ち始めるまさにその時であった。


ばばばばーん。ばあーん。ばんばん。ばばばばばば。


前方より無数の発砲があった。いったいどこから撃っているのだ!?

(伏せ!!)

そう号令した後に頭の中をその言葉が駆け巡った。

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