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決着後

勝利宣言がされるとすぐに救護班が舞台に上がってきた。気を失っているエインは担架で医務室まで運ばれていった。リュウガは回復魔法をかけてもらい、傷をいやしてもらっていた。

「今から勝利者インタビューをしていきたいと思います。それでは、リュウガ君今の気持ちを聞かせてください。」

「嬉しいという気持ちと、悔しいという気持ちが半々くらいあります。」

リュウガはインタビューに淡々と答えていき、最後の質問となった。

「これで最後になりますが、最後の攻防はどのようなことが起きていたのでしょう?私の目では追うことができなかったので、教えていただけますか?」

この会場にいる誰もが気になっていることを最後の質問として先生は持ってきた。

「最後の攻防ですか、あれは紙一重でした。タイミングがずれていたらおそらく負けていたのは俺でしたから。」

「タイミングというのは……?」

「俺の攻撃が避けられたとき……」

リュウガは最後の攻防について話し出す。刀の間合いを完全に見切ったエインは刃先が届かないぎりぎりの距離で避け、防御も何もない横っ腹に向かって拳をふるってきた。

避けられたことを理解した瞬間リュウガはすぐに刃先を反転させ、二撃目を繰り出そうとしていた。しかし、拳の方が早く届くと感じ取ったリュウガは、素早く刀に魔力を流し込んだ。

拳が届くところに申し訳程度のシールドを展開し、それが割られると同時に刀を振り上げ、気刃を発動させた。

気刃が届いたのかどうかを確認する間もなく、リュウガは舞台の壁に激突し、全身に衝撃が走る。受け身も取れず、そのまま地面に落下する。すでに体は限界を迎えており、エインが来るかもしれない状況であるがすぐに起き上がることができないでいた。

「……何とか立ち上がってみたら、エインが倒れていた。という感じです。もし、あれが当たっていなかったらここに居たのはエインでした。」

「そ、そうですか。そんなことが起きてたんですね。で、ではこれでインタビューを終わります。」

インタビューを終えたリュウガは医務室へと向かっていった。

「あいつら本当に同級生なの……か?」

「天才ってやつなのか。」

一年生は自分たちとは格の違う二人の戦いを見て驚愕し、そして自分たちの今の力のなさを痛感していた。

「これは、面白くなりそうだ。」

「そうだな。あいつらが〈神〉を宿したらどうなるのか、楽しみだな。」

「もしかしたら、もう宿せるかもしれないぜ。」

この会場に来ている二年生は、新たな強者が現れたことを喜び、そしてさらに強くならなければと気を引き締めなおした。


「彼もそうだったけど、君たちはもう少し自分の体を大切にしなさい。」

医務室へと来たリュウガは、体を隅々まで検査されていた。

「彼もまあひどかったけど、君も大概だよ。全身の骨にひびが入ってるは、肋骨に至っては右側が折れてるはで、一年生同士の試合でここまで酷い怪我をしたのは君たちくらいだよ。」

愚痴をたれつつ、リュウガの怪我を治すために魔力を流し続ける。

エインの怪我はリュウガよりも深刻なもので、致命傷とまではいかないものの、一歩間違えれば重症になる刀傷が多くあった。

「生身の人間に向かって本気で刀を振るうとか、殺気立ちすぎじゃない?」

「いや、まあ普段の試合だったら逆刃刀を使うんですけど、エインとの試合だけは、本気で戦いたかったんです。」

「本気で、ねえ。」

ため息交じりに少し遠い目をする。

「今の傷は私が治せるくらいの傷だからいいけど、腕を斬り落としたりとかしたら私はどうしようもないから気を付けてよ。」

「わかりました。」

「ホントかなぁ~?私、何回言っても聞かない子を知ってるから信用できないんだよね。特に君みたいに強い子は。」

医務室の先生こと、ノルニール・アルバ・アグニスはこの学園が設立されてからこの学園の医療関係の中核を担ってきた人である。そのため多くの学生を見てきた。そして、無茶をする生徒も多く見てきた。

「君みたいな顔をしている子は絶対無茶するから信用できないんだよ。無茶の代償として今後の人生が変わっちゃうなんてざらにあるんだから。」

「そうなったとしても、どうにかします。」

「そうなったとして持って、やっぱり無茶する気なんだね……」

心配しすぎともいえるがこの学園の生徒はこれくらい言わないとすぐに無茶をすることをノルニールは知ってる。

「ま、この学園内での戦闘なら無茶してもなんとかなるけど、外での戦闘は十分注意してよ?ここみたいに結界が張られてるわけじゃないから。」

「外での戦闘経験の方が多いので、怪我については十分気を付けますよ。」

ノルニールはリュウガの顔をじっと見つめ、そして「良し」とだけ言って、リュウガの体から手を離した。

「これで一通りは直したから。でも、さっきみたいな戦闘は避けてね。体自体はすぐには治らないから。」

「わかりました。」

お礼を言って医務室を出たリュウガはフォティアたちとすれ違った。

「今すれ違ったのって……」

「リュウガ君だね。」

「意外とピンピンしてるな、あんなボロボロだったのに。」

「医務室の先生が治してくれたんじゃない?あの先生、結構な腕利きだって聞いたよ。」

医務室の前まで来た四人は扉をノックし、中に入る。

「君たちは?」

「エインの様子を見に。」

「ああ、そうかならそこで寝てるよ。」

ノルニールが指さした先のベットでエインが寝ていた。

「様子を見に来たってことは、君たちは彼の友達なのかい?」

「あ、はい。」

「なら当分起きないと思うよ。身体的ダメージもあるけど、それ以上に魔力を大量消費してるから。」

「エインって魔力枯渇するんだな。」

ガウダのいうことにほかの三人も頷く。

エインの姿を確認した四人はノルニールに挨拶をしてから医務室を出ていった。

終焉の先の物語~The demise story~を読んでいただきありがとうございます。ブックマークもしていただけるとありがたいです。

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