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もちろん参加しない。


  「それじゃ、みんな青春しろよ!先生も残り短い20代をエンジョイしてくるから……」


  先生の声はだんだんかすれていき、最後の方は聞き取れなかった。


  大丈夫ですよ、先生はまだまだ若いです!


  先生はクラスの女子何人かに慰められた後そのまま職員室に戻って行った。


  志保と美代は相変わらずクラスの人気者で夏休み予定は空いてるのかとか課題の難しいところを教えて欲しいなど常に周りには人盛りが出来ていた。


  ……円堂くんと連絡交換するか。


  一瞬美代がこっちを見た気もするけど多分気のせいだろう。


  「雪殿!さっそく連絡交換をしましょうぞよ!」


  円堂くんの携帯には大量のストラップがくっついていた。


  重そう……。


  俺はポケットから携帯電話を取り出すとある異変に気がついた。


  「あれ?」


  そう言えば志保の連絡先は持ってないのか。


 美代とはこの前交換したけど。


 ただ俺たちは一応幼馴染らしい。


 つまり小学校は一緒なのは分かるが中学は俺が引っ越したから違う。


 けどあの二人がメンヘラやヤンデレでなければ引っ越す必要はなかったはず。


 それにこんな平均点な偏差値の高校にあの二人が居るのも変な話だ。


 その辺の辻褄もどうなっているのか気になる。


  「どうかしましたか?雪殿?」


 今考えても仕方ないことか。


  「いや……なんでもないよ」


  そう言って連絡先を交換する。


 アイコンが某ロボットアニメだ。


 これはまた話が弾みそうだ。


  「やはりカンダムの性能よりもニュータイプの存在が大きかったと言えますなぁ」


  「俺は正直彼が軍曹ってのが納得いかないね」


  「拙者の見立てでは……」


  「あの?2人とも少し良いかしら?」


  俺と円堂くんの前にはこのクラスの委員長、神崎真由とその補佐の美結がいた。

 

  ぱっと見ではどちらが美結で真由なのかは分からないが噂ではおっとりしているのが佳奈、真面目で誠実なのが真由らしい。


 ってこの間美代がそう言ってた。


  「真由姉さんは楽しそうに話してる2人に混ざりたかったみたいだよ」


  「こら!ちょっと佳奈!」

 

  真由は頬を赤らめ俺らの事を見ると軽く咳払いし話を続けた。


  「おほん!……私はクラス委員長の真由、こっちはその補佐をしてる佳奈、私の妹よ」


  「そりゃもちろん知ってるでござるが、それで拙者と雪殿に何の用で?」

 

  「……あなたさっき終業式の時にゲームしてたでしょ?ちゃんと見てたわよ」


 「僕たち姉妹はしっかり見てたよ〜」


  「げっ!」


 あちゃ〜。


 さっき志保が言ってたのはこう言う事か。


  「そんな訳で真由姉さんと私からお説教のプレゼントです、この後時間ありますよね?」


 「い、いえ!拙者達はこれから大事な用事がありまして……そうであるな!雪殿!」


 「う、うん!そうだった!それじゃ行こうか〜」


 俺らは姿勢を低くしながら教室の扉まで歩くと。


 「待ちなさい、それがどんな用事で何をするのか二人の意見が合えば問題ないけどもし取ってつけたような言い訳だったら夏休み中しっかり反省してもらうために奉仕活動やボランティア活動にも参加してもらうことになるけど大丈夫?」


 「二人ともその覚悟があるのかな?真由姉は言ったことは本当にやってもらうからね〜せっかくの楽しい夏休みの時間が減っちゃうね〜」


 くそっ!扉の前を塞がれた!


 あわよくばこのまま逃げ切れば夏休みまで会うことはない。


 [どうする?円堂くん?]


 俺はアイコンタクトを送る。


 [雪殿!これはチャンスでござる!拙者達みたいな女性に一切関わりがない人間が合法的に関係を作れる一世一代のビッグチャンス!逃す手はありませんぞ!]


 彼は一体何を言ってるのだろう。


 「拙者達が間違っていたでござる……心を入れ替えそのご奉仕……じゃなかったボランティア活動手伝うでござるよ!」


 今ご奉仕って言った?


 円堂くんのテンションに神崎姉妹はやや引き攣っていた。


 「そ、そう……ならいいわ、それで高橋くんはどうするの?貴方は一応何もしてない訳だし別に参加しなくても大丈夫なのだけれど」


 もちろん参加しない。


 円堂くんとの夏休みの思い出が減ってしまうのは非常に残念だが俺の夏休み計画はすでに妹とエミで埋まってるのだ。


 と言う訳で円堂くんには申し訳ないけど。


 「いや〜俺は……」


 「雪殿!ちょっとこっちに来るでござる!」


 俺は円堂くんに引っ張られ神崎姉妹に声が届かない範囲まで連れてかれる。


 「雪殿!今なんで断ろうとしたのでござるか!さっきも言った通りこれは一世一代のチャンスでござるよ!?」


 「いや、俺は別にいいよ、円堂くん一人で行けばハーレムになれるし俺いない方が良いでしょ?」


 「何を言ってるでござるか!?拙者が一人で女性と会話できる訳ないであろう!頼むでござる!拙者の聞いた情報によると高校大学のうちに彼女作っておかないと社会人になってからでは難しいと聞いたでござる!」


 へ〜。


 円堂くんも大変だなぁ。


 「でもやっぱ俺は……」


 「拙者の予想では!多分夏休みに数回集まるだけでござるよ!それにもしかしたら真面目な志保殿や美代殿も来るかもしれないでござる」


 なるほど。


 「分かったよ円堂くん、そこまで言うなら俺も参加するよ」


 「さすが雪殿!……と言う訳で拙者達二人ともご奉仕するでござるよ!」


 もうご奉仕って言っちゃってるじゃん。


 「てか神崎姉妹と何か接点あるの?」


  「愚問ですな、拙者は雪殿以外とはこのクラスでほとんど話したことがありませぬ、なんせほとんどゲーム三昧でした故」


  あ、やっぱそうだよね。


 でもなんか嬉しい。


  すると真由はばつが悪そうな顔で「良いかしら」と訪ねてきた。


  「まぁそういう事なので今から行きますわよ」


  え?どこに?


  俺は円堂くんと顔を見合わせると首をお互い傾げ理解できていないようだった。


  「もちろん男女が2人ずついるんだから……あ・そ・こしかないでしょ〜?」


  両手を合わせてウインクしてくる佳奈の姿は童貞なら誰でもイチコロでやられてしまいそうな可愛さを感じさせた。


  「こ、これはもしや!ゆ、雪殿!しかし我々はまだ未成年!いいのですかな!?こんな簡単に卒業できてしまっても!?


  「お、落ち着け円堂くん!これは罠だ!孔明の罠に違いない!」


 「つまりこれは……ハニートラップって事でござるな……だがこの円堂 智樹!罠だと分かっていても行かねばならないでござる!」


 「待て!早まるな!」


 と言いつつも俺の身体は素直に神崎姉妹の後について行ってた。


  俺は唾を飲み2人の後を追う。

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