それで?なんで俺たちはファミレスに連れてこられたんだ?
そして今に至る。
さっきまでの期待を返してくれ!
思わず机を叩きそうになるがなんとか抑えた。
チリーンと鳴り響くベルの音と共に店員が近づき店の中へと案内していく、窓の外には自転車や車が走っていて歩行者のほとんどが暑い日差しをなんとか遮ろうとタオルを巻いたり日傘をさしていた。
正面にいる神崎姉妹は仲良くメニューに指を刺しあってどれにするか迷っているみたいだ。
いやまぁどうせこんなオチだとは思ってましたよ?けどね?期待せずにはいられないのですよ。
「美結姉ってダイエットしてるんじゃないの〜?まぁ僕はいくら食べても太らないけどさ〜ほら見て〜僕のウエスト細いでしょ?二人もそう思わない?」
(あ、僕っ子なんだ)
(僕っ子でござるな〜)
なんか俺と円堂くんの心の声がハモった気がする。
「こ、こら!別にダイエットなんてしてないわよ!制服もおろしなさい……そ、それよりあなたの注文した和風おろしハンバーグ……美味しそうね」
「そうでしょ〜?一口くらいならあげてもいいよー」
「ほ、本当!?じゃあ私のも一口あげるわ」
俺と円堂くんはそんなやりとりをあっけなく見ていた。
はぁ……まぁ美少女二人の百合展開に期待するしかないか。
「まさか雪殿は変な事を考えてたんでは?拙者はそんな事微塵も考えてなかったでござるが」
「な、何を言うんだ円堂くん!君こそさっきまで我々はまだ未成年だからなんて言っていたじゃないか!」
「そ、それは……お、お酒の話でありますよ!」
「嘘つけ!」
どうしてお酒の話になったんだ!
……これ以上彼を攻め続けるのも時間の無駄なのでもう触れないことにした。
すると神崎姉妹は不思議そうにこちらを見てきた。
「なんの話をしているの?」
「な、なんでもないよ!なぁ?円堂くん!」
「そ、そうでござるなぁ!拙者はゲーム以外は興味ないのでござる!」
何を嘘ついてるんだ〜このムッツリとかつっこまないでおこう。
「お待たせしました〜」
各々が頼んだ品がテーブルに並ぶ。
最近のファミレスは注文した商品が一斉に届くから気が利いて助かるよね。
油の跳ねる音が響く。
確かにハンバーグが一番食欲をそそる。
それにこの肉肉しい香り。
まさに暴力的だ。
「それじゃ早速食べましょうか」
俺たちはその後もとりとめのない会話を続けながら食事をした。
てかなんで俺たちはこんなファミレスで食事してんだ〜とか色々疑問点はあるが……。
「僕たちがなんで二人をファミレスに連れてきたか気にならないの?」
俺と円堂くんは顔を見合わせ。
「そりゃまぁ」
「気になるでござるな」
すると妹の佳奈がハンバーグを一口サイズに切り姉の真由にあ〜んをしていた。
羨ましい。
どっちかで良いから変わってほしい。
俺がしてもされても最高のシチュエーションだ。
「雪殿……拙者達もやるでござるか?」
「やらねぇよ!大体男同士のあ〜んとか誰が見たいんだよ!」
「そんなの差別でござる!拙者達は生きている!拙者達は自由だ!」
だめだ円堂くんとは会話が成立しない。
「それで?なんで俺たちはファミレスに連れてこられたんだ?」
真由が紙ナプキンで口元のソースを拭うと。
「それはですね……奉仕活動の件もあるけど何より私達がクラス委員長になってクラスを一致団結させようとしているのに貴方達との会話が一切なかったのよ」
「それで僕が流石に夏休み前には交流した方が良いよね〜って前々から話してたんだけどなかなか機会がなくてさ〜」
なるほどつまり俺と円堂くんと会話する動機が欲しかったところ円堂くんを見張っててゲームしているところがバレたと。
「……拙者達はなんか除け者にされているんでござるな……まぁ自業自得でござるが」
「……円堂くん、良かったら一口食べる?」
もちろんあ〜んはしないけど。
「そういえば真由姉、志保さんが付き合い始めたって話知ってる?」
……なっ!
俺は口に含んでいたメロンソーダを吹き出した。
「だ、大丈夫でござるか?」
「う、うん……それより佳奈さんその話は確かなの?」
俺がそう聞くと「ははぁ〜ん」と言って耳元で真由さんに何かを告げると顔を赤くし「な、なるほど……」と何かを納得したようだった。
俺は吹き出したメロンソーダを紙で拭き取ると真由が軽く咳払いをした。
「ま、まぁそういう事もあるわよね、うん……良かったら雪くんデザート食べて、私が奢るわよ」
「まぁ相手があのイケメンくんじゃねぇ〜申し訳ないけど雪くんじゃ相手にならないだろうし〜」
「こ、こら!そんな事言うんじゃないの!」
口元を隠してニヤニヤ笑う神崎姉妹。
……俺はやっぱり女が嫌いだ!
「ほら雪殿……あ〜ん」
いらねぇよ!




