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まぁ深く突っ込まないでおこう


 いや、確かに助かったよ?


 二人がユンの家を知っているお陰でたどり着いたけどさ。


 なんで知ってるんですかね?


 二人の事だから素直に仲良くなってユンの家に招待された……とは思えない。


 さてはこいつら……。


 けど俺の防衛本能がこれ以上聞いてはいけないと信号を出してる。


 超点滅している赤信号だ。


 やめとこ。


 「結構大きい家なのね」


 「そうなのかなぁ?美代的にはそんな風に思えないけど……雪くん的にはどう?将来はこれくらいの家に住みたい?」


 いや、どう考えても大きいんだが……あと将来的にはってなに?


 まぁ深く突っ込まないでおこう。


 普通の一軒家なんて比にならないくらい大きい屋敷だ。


 公民館くらいはあるかもしれない。


 警備が万全に整っていて、SPみたいなのが屋敷の前に二人ほど居る。


 さて……素直に通してくれるとは思えない。


 腕を組み思考を巡らせる。


 「私は一般的な家庭で幸せを築きたいのよ、あなたみたいに何でもかんでも大きければ良いとか思ってないの、分かるかしら?」


 「うんうん、美代も欲しくて大きい訳じゃないんだけど〜神様が全部くれるの〜なんでも思った通りになるから退屈なんだよね〜」


 ……。


 ここはやはり裏口的なところから侵入して誰にもバレずにユンと会えればなんとかなるのでは?


 「ふふっ、あなた努力して手に入れるのと偶然的に手に入ったのでは幸福指数が桁違いなのを知らないのかしら?それに努力って素晴らしいのよ?経験を積んで他にも活かせるのだから」


 「え〜美代は努力した事ないから分からない〜志保は頑張ってて偉いね〜けど美代の方が志保より何処を比較しても優れてるよね?それって努力より才能の方が大事って事じゃないかなぁ?」


 ……。


 メールも既読すらつかない。


 もしかして本当に風邪とかひいたのか?


 今までメールが二日も返信がないなんて事はなかったのに。


 「分かったわ、とりあえずユンより先にあなたを処理しておく方を優先するべきだと、その無駄にでかい胸から削ぎ落としてやるわ」


 「ふふっ、あんま美代を舐めない方がいいよ?ついうっかり殺しちゃうなんて事よくあるからね?付き合い長くても容赦しないよ」


 ……。


 本当にこいつらは何しに来たんだ?


 もう場所も分かったし帰ってもらっても構わないんだけど。


 美代が俺に抱きついてくる。


 「ね〜ね〜雪く〜ん、あの人怖〜い美代の事助けて〜ほら……美代の体は柔らかくてか弱いでしょ?」


 そう言って至る所を俺の全身に押し当ててくる。


 確かに柔らかいけど……。


 「ごめん、二人とも……お願いがあるんだけど」


 ちょうど良いし。


 良い案が思いついた。


 ーーーー


 まずは俺一人でSP二人組の元まで行く。


 「ここは学生が来るような場所ではない、すぐにお引き取り願おう」


 まぁこうなる事は分かってた。


 やはり当初の予定通りに行くしかない。


 「いや、羽形ユンって人に会いたいんですけど」


 「お嬢様は諸事情で今会うことが出来ない、分かったらさっさといけ」


 この頑固そうなSPをなんとか突破しなくては。


 先生方!お願いします!


 俺はササっと身を引き二人をお呼びする。


 「おい貴様!なんの真似だ!」


 「これ以上美代の雪くんに近づいちゃダメだよ?叔父さんたちを御代の家の引地内にある山奥に埋める事だって出来るんだからね?」


 「これが終わったら婚姻届を書いてもらえるかもしれないのね……ふふっ、やる気が出てくるわね!こう言う時のためにカッターの刃は多めに持ち歩いてるのよ」


 美代は両手を合わせSP達に笑顔を。


 志保は体の至る所からカッターの刃が飛び出てくる。


 「おい!なんなんだこいつら!至急!応援を呼んでくれ!」


 SPが耳元に手を当てると素早く美代が片足を軸に二段蹴りをかます。


 あ!SPがちょうど邪魔でパンツが見えない……。


 くそ!どこまで邪魔するつもりなんだ!

 

 「こいつら!なんて運動神経なんだ!もう一人も見るからに身のこなしが普通の人と違うぞ!!何より身軽そうだし!」


 「あ?あなた今なんて言ったの?」


 「ププッ……そのおじさんはよく分かってるじゃない、いい事言ったから見逃してあげる」


 美代は口元に手を当て笑う。


 もちろん志保が許してくれるはずもない。


 なんなら俺も巻き添えくらいそうで怖いからさっさとこの場から離れよう。


 俺は鉄格子に手をかけよじ登る。


 まさかこんな泥棒みたいな事をする羽目になるとは。


 しかも高校生にもなって。


 手に力を入れ体を上へとあげる。


 そして綺麗に着地。


 足が痛い。


 「お、おい!応援はまだか!?……確かにまさか侵入者がこんな堂々と来るとは思えないのは分かるが事実なんだ!しかも高校生くらいの男女で!」


 「あら?あなた私の事を馬鹿にしておいてよくお友達と喋ってる余裕があるわね?……まぁいいのだけれど、どうせこれであなたの舌は使えなくなるのだから……最後の会話を楽しむことね」


 俺は心の中であのSPに敬礼した。


 これで志保と御代の相手もSP達の相手もしなくてすみそうだ。


 志保の胸に関しては触れてはいけないと深く心に刻み俺は屋敷の方へと向かった。


 後ろからは悲鳴がきこえる。

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