見つかった
「おい!出入り口で女子高生くらいの女二人組が大暴れしてるぞ!目的はなんなんだ!?」
「話によるとユンお嬢様に会いに来たらしい!それに男の姿が見当たらないから既に屋敷内に侵入した可能性もある!」
その通りです。
俺は既にユンの家の中に忍び込んでいた。
「それより正面入り口の方がヤバいぞ!あいつら化け物だ!けどスッゲェ可愛ぞ!」
……SPなのにめっちゃ私情入ってない?
「まじかよ!?おい新人!屋敷内はお前に任せた!俺はその女子高生二人組の顔を見に……捕獲に行ってくる!」
「はい……」
なんと命知らずな……。
まぁ頑張って下さい。
それにしてもやっぱあの二人ってやばいんだな。
大の大人が大勢で抑えようとしても止まらないんだから。
新人のSPが行ったことを確認して俺は段ボールの中から出る。
某ゲームのキャラみたいに。
それにしても外観の通り中も馬鹿でかい。
部屋も沢山あるし探すのに一苦労しそうだ。
高い天井に長い廊下。
そして沢山の窓に沢山の部屋。
これを今から一つずつ開けて確認するとか無理ゲー。
その場で深く考え込んでいると。
ヤバい!また誰か来た。
俺は再びダンボールの中に隠れる。
「旦那様!何故お嬢様をあんなところに閉じ込めるのですか!?」
お、これはいい情報が手に入りそうだ。
その会話はだんだんとこちらに近づいてくる。
「私にも分からんのだよ……ただ神がそう告げたとしか……それにユンもそうしたいと言っていただろ?」
「ですが……もしかして今来ている侵入者と関係が?」
そして声はだんだんと遠くなっていく。
まじで重要そうだからこのまま着いていくしかない。
俺は某ゲームのキャラみたいにダンボールの中に入ったままゆっくりと動く。
「侵入者は女子高生二人組なのだろ?もしかしたら学校の友達の可能性もあるのか……丁重にお断りしたいのだが」
「いえ、それがかなりの乱暴者でして既に負傷者が何人も出ています」
おいおい、まじで死者だけは出さないでくれよ。
あの二人の事だからついうっかり何人か殺してもおかしくはないけど。
あいつら虫を殺す感覚で人も殺そうとするからな……。
「ふむ……それならユンの友達ではなさそうだな引き続きこの屋敷と外にある倉庫にだけは近づけさせないようにしてくれ」
「かしこまりました」
外にある倉庫……。
あの話の感じだとそこにユンが居るみたいだな。
よし行こう。
さささっと移動する。
あれ?
急に動かなくなった。
何かにぶつかってるのかな?
すると視界が良くなる。
目線の先には黒いサングラスをかけた人がこちらをじっと見ている。
あ、さっきの新人SP……。
見つかった。
「あの……ちょっとだけお話しいいですか?」
意外にもSPの方からそんな事を言われた。
「おい!もっと応援呼んでくれ!いよいよヤバいぞ!仲間同士で争い始めた!さっきより凶暴さが増して俺たちには目もくれなくなってるぞ!」
おいおいあの二人大丈夫なんだろうなぁ。
「一旦こちらに来てください、その格好では目立つので」
ーーーー
俺はSPに指示された場所に行き黒服とグラサンを付けさせられた。
確かにこれなら移動しながら会話しても問題なさそう。
ちなみにこの新人SPは女性だった。
「それでは高橋様本題に移らせてもらいます」
「はい」
「実は屋敷内で最近ある出来事がありまして……ユンお嬢様がしばらく元気を取り戻したと思ったら再び落ち込んでしまわれたのです」
あーあれかな?兄貴の件かな?
「そして私はユンお嬢様の身の回りのお世話をしているのですが机の中を掃除していたところ遺書のようなものが見つかりました」
「え!?なんで!?」
急すぎるだろ!?
俺も確かによく遺書は書くけど!
「それで私たち女性のSPがなんとかユンお嬢様が思い詰めてしまった理由を探していたのですが……どうも我々では皆目見当もつかなかったのです。そして男性のSP何人かに聞いたところ、年頃の女の子が思い詰めるのは大体恋愛だとおっしゃっていたので色々探し回った結果あなた様の名前が上がったのです」
「俺が原因ですか?」
なんかユンにした覚えはないけど。
強いて言うなら変な兄貴に変なアドバイスを送ったくらい。
「そこまで詳しく理解できたわけではないのですがユンお嬢様はあなたに何か特別な感情を抱いてるのではないのでしょうか?」
まじかー。
これってつまり俺の事が好きって事ですよね?
よし、今すぐユンを連れ出しあの二人のいないどこか遠い国で幸せに暮らそう。
そっかーまさかユンが俺の事をそんな風にね〜。
いや〜まぁ俺も思ってたんだよね〜。
「……あの……鼻の下が伸びてますけど」
サングラス越しにでも分かるくらい引かれてた。
「ん?おい!新人!二人で何してやがる!屋敷内はいいから外に行けって言われてたろ!しかも二人行動なんてSPでは正面玄関と調理場以外では基本禁止されてたろ!」
え!?そうなんですか!?
「すみません、うっかり忘れてました」
耳元で囁かれる。
この人もポンコツっぽい。
この屋敷のSPはロクなのがいない。
「行きますよ!さあついてきて下さい!」
俺は手を引かれ目の前にいた男性SPを突破する。
「あ!至急!こっちに侵入者だ!黒スーツを着てるから怪しいやつを見かけたら必ずサングラスを外すようにしろ!」
おいおい!大丈夫かよ!?
全力疾走する。
うん、俺の方が早い。
やっぱ普段から鍛えられてるからね。
「す、すみません!私はここまでのようです!」
「早過ぎない!?まだ100メートルも走ってないと思うけど!?」
既に女性SPは息を切らしている。
「突き当たりを右に曲がって裏口から出て下さい!そして庭園を抜ければ大きな倉庫があるのでそこにユンお嬢様が居ます!さぁ!早く行って下さい!」
カッコいい台詞なんだけど息がすごい切れてるからか顔がサングラス越しでもグシャグシャになってるのが分かる。
「わ、分かりました!」
俺は言われたとおり全速力で走った。




