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……うん、味は悪くない、味は。


  「ちょっと!これは雪くんのために買って来たの!よくあるシュチュエーションで端から食べるやつ!ゆっくりと折れないよう慎重に近づいてってお互いの鼻息が当たるくらいの距離まで近づき目と目が合うその瞬間に……」


  恥ずかしくなるなら初めから言わなきゃ良いのに……てかそのために買って来たのかよ……。


  「へ〜、もぐもぐ……そうなんだ〜ユンあの人変だね?」


 一体どの口が言うのだろう。


 鏡って知ってる?一回見てみよっか。


  「はっ!」


  すると憤っていた志保は我に返りポッキーを俺に押し付けて来た。


  「べ、別に全然違うのだけれど……いいから早く食べなさい!チョコレートが溶けちゃうのだけれど!作ってくれた工場の人に申し訳ないと思わないのかしら?」


  「は、はい!」


  俺も美代と同様に一本取り出して食べると無言で笑顔を見せた。


  「ふん!今更そんな笑顔見せたって遅いんだから!」


  そう言って志保は頬を赤らめるとそっぽを向いた。


  くそ!可愛いじゃねえか!ほんと素直じゃねえんだから。


  俺はポッキーをポキポキと口へ頬張った、ちょっとビターで苦いけど苦さの中にもしっかりと甘みがあって誰かさんみたいだった。


  ちょっと苦すぎるのが玉に瑕だけど。


 ……あれ?上手い事言ったつもりだったんだけど?


  「皆さん仲が本当に、よろしいんですね〜羨ましいです」


  おっとここでホワイトチョコのような甘く純白に染まりきったユンのお出ましだ。


  きっとパンツもじゅんぱ……ゲフン!ゲフン!これ以上は俺の想像力が足りない。


  ふと周りからの視線が痛いことに気がついた。


  「また高橋が志保様達と仲良くしてるよ……あいつまじでムカつくよな?まじで小指とか挟んで内出血して欲しい」


  「志保お姉様は高貴なお方なのに……あんな凡俗と戯れるなんて!口にチョコレートついてる美代様も素敵!」


  いやいや!だから違いますって!そこの男子も睨みつけて来るなよ!あとなんだよ凡俗って、みんな同じようなもんだろ。


  心の中で文句は言いつつもキリがないので無視することにした。


  「美代もお菓子持って来たけど……食べる?」


  そう言って美代は袋の中に入っている大量のお菓子を見せて来た。


  「すごい量だな……」


  布袋の中には大量のお菓子が入っていて種類もかなり豊富だ。


  グミからスナックまでなんでも入っていて流石どこぞのお金持ちだと再認識させられた。


  「でも……雪くんのはこっち」


  美代は新たにカバンの中から大きめの箱を取り出すと俺に渡して来た。


  「はい!」


  「お、おう、ありがとう」


  てか、これなんで、ラッピングされてるの?俺だけ別ってところが怖い……。


  美代の笑顔を見るに何か仕掛けがある気もするが今は何か志保とへんな空気だから気にしないでおこう。


  俺は恐る恐る紐をほどくと中にはハート型のチョコレートが入っていた。


  「美代の気持ちだよ……受け取って欲しい……な?」


  おい、首をかしげるのやめろ、それ俺が弱いの知ってるだろ……てかハート型のチョコレートってバレンタインかよ……。

 

  するとユンは美代のチョコをまじまじと見つめると呆気にとられていた。


  「まぁ……これをお一人で作ったのですか?」


  リアクションとる時もいちいち口の前に手を添えたり気品さ溢れるユンに感心してしまう。


  これがきっと理想の女の子なんだろうなぁ……。


  まぁ深く考えないでおこう、怖いし思春期の男の子が死ぬの怖いな〜感情が消えるって想像も出来ないなぁ〜って考えるのと一緒。


 地球が亡くなったら人口が0になったら見たいな事を考えても仕方ない。


 世界滅亡より目の前の二人の方が怖いしな。


  「雪くんには、美代の愛が伝わるように隠し味も入れておいたから……食べて見て」


  え!怖い!怖い!なんか興奮するクスリとかじゃないよね!?


  3人とも俺のことをジッと見ていた……これは逃れられない……。


  俺は思い切ってかぶりついた。


  ……うん、味は悪くない、味は。


  ただこのチョコ若干溶けてるような?あと甘酸っぱいような?まぁこれが隠し味なのは間違いない。


  俺は食べ終わると美代はすごい喜んでいたが俺が質問をすると、顔を豹変させ、照れ隠しなのかもじもじし始めた。


  「で?隠し味ってなんだったの?」


  「そ、それは……美代のだ・え・き♡」


  は?嘘だろ……。


  「は?ちょっと!」


  「まぁ!」


  全部食べちゃったよ!……うおぉ!!!!


  俺はどうして良いか分からずとりあえず志保の方を見ると美代に突っかかろうとしていた。


  「あなたね!……ついにやってはいけない事をしてしまったみたいね!あの時の約束忘れたのかしら!?まぁいいわ!破ったのはそっちからなの分かってるんでしょうね!?」


  手にはさっき用意してたポッキーの箱がぐちゃぐちゃに握りつぶされていた。


  うわぁ〜俺もああなるのかなぁ〜。


  「う〜ん、美代はやっちゃいけない事なんてしてない気がする〜それより味はどうだった雪くん?美味しかった?美代の味がした?」


  「きっと愛情たっぷりの美味しいチョコだったですよね?はわわ〜!凄いですよ!」


  なんでユンは余裕なの!?口に手を当てながら笑ってないで助けてよ!


  「雪くん、答えなくて良いのよこいつに冥土の土産なんて必要ないわ……あとこれしっかり口は濯ぎなさい小腸までしっかりと洗浄するのよ」


  そう言ってカバンから天然水のペットボトルを出すとキャップを少し緩めてから渡して来た。


  え?何この気持ち……ちょっとした優しさが俺の心に深く刺さるんですけど……。


  だがそれもつかの間。


  志保は怒りで謎のオーラを纏っているのが見えた、下に落ちているボロボロのポッキーの箱を見て俺は身震いした。


  これは……終わりましたわぁ〜。


  それと同時にやっと高速道路に入った。

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