水玉だったよなぁ
新緑の季節に差し掛かり淡い緑色の草花が鮮やかになびく。
僅かな風で心安らぐこの刹那を俺はゆっくりと噛み締めていた。
きっと幸せは短い間のみでしか存在しないから幸せであり幸福なのだろう。
不幸を知っているからこそ、その幸せに気が付けて自覚してその時間を楽しむ。
常に幸せな人間など存在しない、何故ならそいつはきっと自分が幸せであることに気がつかないから。
幸せ度なんてそいつの主観でしかなくて当人が持ってる概念次第なのだから、案外頭お花畑のやつは幸福で満たされているのかもしれない。
日陰が作り上げた濃い緑は太陽に当たることなくひっそりと息を潜めていた。
なんだか今の俺みたいだ。
そんな中、俺はと言うとベンチに1人、肘をかけながらボケーっと辺りを眺めていた。
美代と志保のガチ喧嘩を止めるのは本当に苦労した。
まだ首がちょっと痛い。
ユンにもとんでもないところ見せちゃったし多分ドン引きした。
……暇だなぁ〜3人とも材料を取りに行ってからまだ帰ってこない。
俺には食器や調理器具を洗うと言う使命が課せられていたが、それも全て終えてしまった。
スポンジってどっち使うか迷うんだよな、ざらつきある方使うか柔らかい方使うかで。
「ふぁ〜〜……」
俺は口に手を当てながらあくびをすると、ふと昔のことを思い出した。
ーーーー
「あなたは今、生涯、解けない呪いの絵を描いてしまったのです。彼女たちの性格はメンヘラかヤンデレと化し、あなたを困らせ続けるでしょう」
その記憶は今でも鮮明に思い出せる。
こんなにしっかりと脳裏に焼き付いている記憶は他にない……いや、美代と志保に脅された時の方が鮮明に覚えてるか。
あと妹の下着姿とか……水玉だったよなぁ。
当時の俺はメンヘラもヤンデレも理解していなかったが、今考えると恐ろしい呪いだ……と言うかなんでメンヘラとヤンデレなんだ?
まぁいいや。
薄々感じてはいるが……やはりこの呪いは解けないのだろう。
さらに鍵を手に入れなきゃ殺される可能性もあると……。
正直言って二人の呪いさえ解けちゃえば済む話なんだけどなぁ〜。
俺はタオルの上で干してあるフォークを持ち上げ太陽と重ねた、それと同時に水滴がゆっくりと垂れ落ちる。
鋭利な部分が太陽の光を集め一層白く光り輝いていた。
……は!これで刺されたら、死ぬ!
「ゆ〜きくん?」
「ごめんなさい!許してください!本当にお願いします!」
俺はいきなり抱きつかれてとっさに誤ってしまった。
「美代、急に抱きつくのよめよぉぉ!!くっ!」
すると俺は首を絞められ逆の手で俺の持っていたフォークを持ち上げると満面の笑みを浮かべた美代が今にも殺しにかかって来た。
「やめなきゃダメかな?雪くんは美代の雪くんだから何してもいいんだよね?美代のものじゃない雪くんなんていらないよ?さよなら」
この人さらっとお別れ宣言しやがった!
「お願いします!殺さないでください!」
苦しい!苦しいよ!胸が当たってるとかそんな事言ってる場合じゃないから!
だがこのまま死んだら安楽死の可能性が微レ存……。
私服越しでもわかるこの豊な胸の弾力!誰かさんに分けてあげたい。
「あ、おの〜雪さんが死んじゃいますから……その辺で……」
ユンは痛々しそうに俺を見ながら美代を止めてくれた。
毎回女性に助けられる俺って……羨ましいとか思った人はちょっとこっち来い。
「雪くん……ちょっとこっちに来てもらってもいいかしら?」
逆に俺が呼び出されてしまった……。
志保はそう言うと俺に手招きをした。
「ちょっと志保が呼んでるから行ってくる!ユン!美代の事は任せた!」
「は、はい!任されました!美代さん!恋バナ!恋バナしましょうよ!」
ユンありがとう!君のことは忘れない!
うおおおっ!!




