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VRMMOが日常となった世界で青春物語  作者: 金 銀太
第二章:天まで届く世界の樹
39/50

3話:いざ、出発

 対戦が終わり目を覚ます総司。


「どうだった?」


 対戦が終わった事に気づいたのであろう楓が尋ねてくる。

 総司は答える事は無かったが笑顔でピースサインを送ると楓はニコッとした。総司は視線を目の前に座る俊に移す。


「じゃ、約束通り盟友団のギルマスに相談してくれるよな?」


 総司の問いに目を覚ました俊は頬杖をつき「はぁ~」とため息をつくと答えた。


「わーったよ。だけど俺がするのは案内だけだぜ? 同盟の話は直接ゲーム部がやってくれ」

「あんがとな俊」


 総司は簡潔に言うとその会話を聞いていた楓も続けて俊ににこやかに言う。


「ありがとう中田君!」

「え!? いや~それほどでも~」


 楓にそう言われた俊はヘラヘラしながら、急いで帰宅準備を終え、立ち上る総司と楓もそれに続き3人は教室の出口に向かう。ちょうど出口を出たところで扉の隣立つ女生徒の姿が見えた。


「上手くいった?」


 それは優理香だった。総司はフッと笑い、俊の方に視線を向ける。


「案内してくれるってさ」

「そうなのね、よろしく中田さん」


 優理香は微笑を浮かべながら俊に言った。俊はやや照れながら、宣言する。


「よし! じゃあ今から案内するけど俺もゲーム部の部室行って良いか?」

「あれ? 案内するんだったら直接、ギルマスの人にあった方が早いんじゃね?」


 総司は疑問に思い問いかける。まだ放課後が始まったばかりだ、これだったら現実世界で盟友団のギルマスに会った方が早いと思われたのだ。

 俊は総司の問いかけに僅かに肩をあげ答えた。


「うちのギルマス基本良い人なんだけど変わってる人でね、同盟とかそういう組織の方針に関する話をするときは直接ゲーム内でしろ! って言うんだわ。だから直接リンクしてうちのギルドの安全地帯まで案内するよ」

「ふ~ん。じゃ、部室行くか」


 総司は楓と優理香に視線を送ると2人はそれに応じるように頷いた。

 優理香を加えた4人はゲーム部の部室に向かう。

 連絡通路を渡り――階段を登り――そしてゲーム部の部室がある4階の別棟につき、ゲーム部の部室への入り口である大きな鉄の扉を開く。


「絵里先輩~上手くいきました~」


 部室に入るなりそう言う総司に、ソファに腰掛けていた絵里先輩は野生のウサギのようにピョコと反応し、首をこちらに向け笑う。


「本当!? やったね!」


 彼女はササッと総司達の元へ移動する。


「会いに行くとしたらいつ頃になりそうかな?」

「今から案内してくれるみたいですよ」

「え?」


 絵里先輩は総司の後ろ側を除き込むように見ると総司の後ろに立っていた俊と目が合う。


「総司の親友、中田俊っす! 今回は水先案内人を務めさせてもらいます!」


 俊が一歩前に出て簡潔に自己紹介すると、絵里先輩は表情を明るくして。手を差し出す。


「私、恵美絵里! 中田君! よろしくね!」

「あ、はい。よろしくお願いします」


 俊はその手を握る。しかし、その視線は彼女の盛り上がる双丘に釘付けだった。


 挨拶も終わり、学校のワールドモードにリンクするため準備を始める5人。

 女性陣はソファへ、総司と俊は折りたたみ式のテーブルを広げそこに並べたパイプ椅子に座る。


「すげぇおっぱいだな……」


 俊がESGを取り出しながら小声で囁くと総司は無言でうんうんと頷いた。


「それにしても、お前が羨ましいよ本当! あんな可愛い女子達に囲まれるなんてそうそう無いぞ?」


 ESGを頭に取り付けつつ俊がそう言うと総司は少し眉を上げる。


「でも、実際かしまし3人娘の中、男1人は結構キツイわ」

「相変わらず贅沢な奴だな~」

「なら、お前も入れよ」。

「俺は、今のギルドに恩があるからな! 今はちょっと心揺れてるけど」

「おいおい」


 総司と俊はESGを付け終わり、アレサ用の携帯アプリを起動させ準備を終えた。総司はソファに向かい声を掛ける。


「こっちは準備オッケーです!」

「私たちもオッケーだよ!」


 絵里先輩の声が聞こえると総司は俊と目配せし、画面上のリンク開始ボタンをタッチする。

 部室にいた5人の意識は電子の世界へ落ちていった。



 ※



「ここにスポーンするのも久しぶりだな~」


 隣に立つ俊のアバター<中田俊>がそう言い、伸びをした。総司のアバター<ルーラー>は彼を横目に見た後、視線を正面に移す。

 目の前にはしばらく来なかった新台学校の安全地帯である石造りの中世風の町並みがあった。

 その町並みは自分たちが今居る噴水広場を中心に円の形で広がっている。そこでは仮想世界の住人であるNPC達が生活している様子が見て取れた。


 総司は視線を俊に戻す。


「そう言えば、領地を持ってるギルドは専用の安全地帯が持てるんだっけか?」


「おうよ! ついでに言うならうちのギルドの安全地帯は”魂の森”って名前だ!」

「へ~」


 総司はそう答えると思案する。


(ギルド毎にちゃんと安全地帯に名前とかあるんだなぁ~気合い入ってるね)


 総司は空を見上げる。今日のサーバー設定は朝で天候は晴天だったためか空は透き通っていた。目を懲らすと空に8の字の宇宙ステーションが見えた。ギルドランク3位の勢力”トリナシオン”の安全地帯”メビウスリング”だ。


(魂の森もあれくらい凄いのかね)


 そんな事を考えながら視線を地上に戻し、周囲を見回す。するとすぐ近くに2m近い槍が見える。視線をその槍を辿るように降ろすとと3人のアバターが見えた。

 まずは槍の持ち主である優理香のアバター<ヴァルキュリア> だ。そのアバターは全身を甲冑をイメージさせるフルプレートアーマーで身を包んでおり、腰部からは半円型の鉄のスカートが下半身を包むように伸びている。それは鉄のドレスを身に纏ったお姫様と表現して良いアバターだった。


 続いて視線をスライドさせると絵里先輩のアバター<マリボール>の姿が目に入る。

 <マリボール>は人型の魔法使い型のアバターで、白と青の布地を持つローブに身を包み、頭には台形をひっくり返したような形を持つ帽子を被っている。手には大きな杖を持つそのアバターは神官をイメージさせるものだった。


 最後に楓のアバター<猫丸>に視線を移す。

 クリーム色のショートカットの髪の毛からぴょっこと猫耳が飛び出ているそのアバターは胸元からおなかまでを黄色いレザーアーマーに身を包んでいるが、その側面には数本の紐があるだけの相変わらず扇情的な服装だった。


「あそこか」


 俊も3人を見つけたようで、2人は互いに目配せしそこに向かう。2人の接近に最初に気づいたのは楓だった。


「あ、総司君! 中田君!」


 楓のアバター〈猫丸〉から声が上がると続いて、<ヴァルキュリア> と<マリボール>が振り返る。


「皆集まったね! じゃあしゅっぱつ――!?」


 絵里先輩の視界に俊のアバター<中田俊>が入ると彼女は目を見開く。


「中田君……そのアバターで大丈夫なの?」


 総司は横目で彼女の姿を見ながら(まあ、そうだよな)と思いつつ現実姿そのまんまの俊のアバターに目を移す。


「恵美先輩、これは仮初めの姿でしかありません……真の姿は別にあります」

「そ、そうなんだ」


 俊は得意げに言うと絵里先輩は困惑した表情を浮かべる、それを横目で見ていた優理香のアバター<ヴァルキュリア>は俊をジト目になりながら見る。


「……変身する前だからそっちの方が真の姿でしょ」


 優理香のツッコミを俊はチッチと指を振る。


「あれあれ? 良いんですかそんなこと言っちゃって? 見せちゃいますよ? 真の姿」

「……どうぞ」


 突っ込む気力を失い視線を逸らす優理香。俊はそれを気にせず意気揚々と言う。


「フッ……ゲーム部への挨拶代わりだ……俺の真の姿――魂の姿を見せよう! 【変身】!」


 俊は腕をクロスさせ叫ぶ、一瞬腕の宝石が光った――と思ったらすぐ消えた。


「「「「……」」」」


 決めポーズを取ったまま固まるその姿を見るゲーム部4人。

 俊はポーズを解くとやれやれと首を振る。


「ヒーローには時間が必要なのさ……」

「……」


 総司は無言で俊を見た後、絵里先輩を見る。


「絵里先輩行きましょう」

「うん!」


 彼女は元気よく頷いた。それに続いて優理香が頷き。楓が俊の方を向いて笑顔で言った。


「中田君! またね!」


 俊をその場に置いていき4人は広場を後にする。


「お~いちょっと~」


 後ろから俊の声が聞こえたが、スルーした。

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