表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS転生した俺は魔法少女になれないらしい  作者: えとう えと
二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/37

テスト勉強!


 定期テスト三日目を終えて四日目の勉強に取り組む。

 最終日は二教科だけだが、気は抜けない。

 と言う事で、図書館にしゃれ込もうと思ったのだが……。


「比五子ちゃん。此処はこの公式を使えば……」

「ああ。そういやそんなんあったな。助かる」


 現在俺は琴浦の働くカフェにてキイナのサポートを受けながら勉強をしていた。


 キイナの言葉に記憶を呼び起こす。

 そう言えば、こんなのもあった。授業でもやったし前世の知識にもあるが、意外と出てこないものだ。

 まあ、何より辛いのはそのどちらの記憶にもない物も多々あることだが。


「ちょっと、久篠、比五子ちゃんに近づきすぎ!」

「別に、勉強手伝ってるだけだけど?」

「腕に抱き着いたら、比五子ちゃんが勉強できないでしょ!」


 ガミガミと横で言い合いをするヒナリとキイナを無視しつつ問題を解く。

 正直彼女らのように外でしゃべっている分には気にはならない。

 琴浦のようにマシンガントークを浴びせられなければ復習程度は出来る。

 そして、今はその恐るべき口撃兵器はティナが押しとどめていた。


「──ですから、魔法少女言語と言うのは電子透かしのように常人には視認できない形で神秘的な手法が取り入れられているため、それによって書かれた文献からはその内容以上の情報を得ることが出来るわけです」

「それは、書いた人物の特定までできるのですか?」

「それはものに寄りますね。意図してそう言った効果を及ぼす場合もありますし特に筆者が気にしなければ癖が残らず分からないこともあります。逆に、本人の気質によっては意図せず現れることも──」


 琴浦を一人で受け持つとはなんとも頼もしい。


「あー!また、身体擦り付けた!」

「教えるには問題を見ないといけないからしかたないし。と言うか、普段その無駄にでかい胸を押し付けといてなにを」

「いや、別に押し付けてないから。あと、比五子ちゃんちょっと嬉しそうにしてるから!」


 してねぇよ!

 してねぇよ?

 まあ、真面目な話普通にそこまで意識もしてない。

 どっちかと言うと前世の感覚から訴えられるのではないかといらぬ心配をしてしまう。


「大体、中滝は私より学力低いんだから、黙ってみてなさいよ」

「そりゃ、学年一位のアンタとくらべればね」


 そういやキイナは学年一位なのか。凄いな。

 頭良さそうな学校だし全体的に学力が高そうだが。


「順位と言えばで思い出したけど、なんでキイナとティナはAじゃないんだ?」


 魔法少女に課されたランクについての素朴な疑問を口に出した。

 彼女らの実力ならA級に上がるのは難しい事ではないだろう。インベーダーの力を使わなくてもそれなりの力は担保されているはずだ。


「インベーダー側に加担することを考えるとあまりランクを上げると身動きが取れなくなるので、ある程度の場所で止めてるんです。本来なら中滝くらいデコピンで粉砕できるんですけど」

「態々、面倒くさがる人のためにやってたんですけどぉ」

「ヒナリちゃんは、魔法少女コミュニティーでケーキ食べたくて、引き受けたんですよね」

「違いますからね、比五子ちゃん!」


 会話に参戦したティナの言葉にヒナリは全力で否定した。

 そう言えば、魔法少女コミュニティでは浮剣とか言う少女と一緒にケーキを選んだとか言っていたか。


 そんな会話をしつつ、明日のテスト勉強を進めた。





 ◆


「久々のA級ね」


 ワニのような特徴を持つインベーダーを前にして緑子──魔法少女翠冷はそう口にした。

 「油断は大敵ですよ」と使い魔に言われて「わかっている」と返答した。

 それと同時に魔法「氷葉」を発動する。触れたものに霜を張り翠冷の持つステッキで叩くことで粉砕することでの出来る魔法は初手で、罠のように設置させる。

 ワニの特徴と言っても身体は平たくなく水中で頭だけを出した時の様な体制で立つ身体は恐竜のつぎはぎにも見えた。

 そして、歩みと共に地面を蹴り加速する一瞬で、葉を踏んだ足を霜が覆う。強度は魔法の産物だけあってかなりの物だ。

 だが、相手はA級。それも知性体でもない所を見れば、その内包力だけでその範疇にいる者だろう。

 故に、容易に足元の氷は振りほどかれる。


 だが、一瞬の加速に対する妨害へとつながったそれは、こちらに隙を生んだ。

 そして、そこに入り込むのは翠冷の魔法少女仲間、寧々華──魔法少女竜星だ。


「ガラ空き!」


 口にエネルギーを収束させて咆哮のように魔力を飛ばそうとするワニインベーダーの懐に入り込み、攻撃を仕掛ける。

 魔力で象った爪は十字を足掻いて傷をつける。攻撃に唸るように魔力を放ったインベーダーの咆哮はあらぬ方へと飛ぶ。

 暴れるように繰り出される腕の攻撃を竜星は後退して回避する。

 だが、そこへ翠冷は口を開いた。

 

「竜星。上!」

「見えてる!」


 頭上から落ちて来たのは先ほどワニの口から放たれた魔力の咆哮。外れたかに思えたそれは途中で急激に角度を変えて上空へ上ってから時間差で降って来た。

 それをよけ、更に地面への着弾と同時に更に拡散して小規模な魔力の塊が周囲に跳んだ。

 翠冷はそれを離れて対処し、竜星はワニインベーダーへと近づく。

 更に口に溜めるエネルギーに対して、上へ跳躍して上あごを攻撃することで封じる。

 口の中で魔力が暴発し、怯んだ時には翠冷の「氷葉」が霜をワニインベーダーの身体に這わせていた。

 まもなくして、全身を覆い、翠冷がゆっくり近づいて小突くようにステッキで叩くとワニインベーダーの全身が割れた。


「少し手間取ったわね」


 翠冷はそんな言葉を吐いた。

 A級インベーダーはもちろん強いが、しかし、それでもそのくくりの中でそこまで強い相手ではなかった。

 これに対して少々時間を取られたことへの感想だった。


「でも、傷も負わなかったし結構よかったよー!」


 竜星はそうフォローするように言って変身を解いた。

 それにならうように翠冷も変身を解く。制服姿になれば緑子としての生活に戻る。


「帰ったら、勉強しないといけないわね……」


 鞄から出したスマホで時間を確認しつつ緑子はそう呟いた。

 勉強時間が惜しくとも魔法少女である限り、インベーダーが現れれば倒さなければならない。


「緑子ちゃん真面目だねぇ」

「……寧々華みたいに課題もせずにいい点とれるくらいの頭があれば私もやらないわよ」


 天才肌というかなんというか。

 授業中寝てばかりで、課題もしょっちゅう忘れるくせに寧々華は良い点を取る。

 これで家で隠れて勉強をしているわけではないのだからやりきれない。


「あれ?落ちてたけど?これ?緑子ちゃん?」

「ああ。気付かなかった。ありがとう」


 歩き出した緑子に何かを拾い上げて見せた寧々華に礼を言った。

 何気なく拾ったように見せるそれはちょっとしたキーホルダーだった。

 兎を模したようなキャラクターのキーホルダーを緑子は鞄につけなおす。


「ウサッキーだよね?それ」

「まあね」

「緑子ちゃんも好きだったなんて意外~!私もねぇ、結構グッズ集めてるんだよー」


 「ジャン!」と効果音を口で出しながら彼女が見せるのはスマホケースに挟まれたステッカー。他にもボールペンを取り出して見せた。


「悪いけど、私そこまで興味ないのよ。昔、偶々買っただけだから」

「えー。そうなの?でも、それってペアグッズだよね?誰かと買ったの?」

「本当に昔の話よ。それにもうあの子は持ってないだろうし」


 なんだか寂しそうに言う緑子の顔はあまり見たことのないものだった。

 寧々華はそれ以上踏み込むことなく、「少し寄り道しよ~!」と口走り、緑子に「勉強するって言ってるでしょ」と突っ込まれた。





 ◆


 死神の子。

 インベーダー因子を取り込みそう名付けられた存在は七名いる。

 その情報は当然ながら魔法少女統括管理委員会側も情報は得ていた。

 インベーダー側の情報は基本的に知性体が魔法少女との接触時に発した言葉より推測されることが多い。


 だが、何よりも情報源として一番に存在しているのは長らくインベーダーを追って来たガーディアンだ。

 そして、そんなガーディアンは独自に情報を得ているために、本来委員会が得られない情報に関しても知りうることが出来た。

 故に、死神の子と言う名称と成り立ち自体は委員会内部でも把握されていた。


 そして現在、そのうちの幾人かは死神の子として容疑を掛けられていた。


 しかし、現状では刺激を与えることは得策ではないことに加えて、明確な証拠をもって断定はできていなかった。

 だが、推定されていた中で新たに三人は死神の子であるということが証明された。

 その原因となったのが、魔法少女コフィンと死神の子たちとの接触だ。

 話題の尽きない魔法少女コフィンとの交流の中で判明した。


 とは言え、本来であれば委員会は判明した三名の死神の子に対して監視にとどめるはずだった。

 インベーダーの呪縛の命令の仕組みは分かっている。

 あくまで、因子所持者本人の思考を誘導する程度のものだと。

 それに、そもそも彼女らは委員会内に潜り込むために派手な工作は制限されている。泳がせてこちらで把握していれば十分だと言う考えだった。


 だが、肝心なのはそれ以外の場所にあった。

 死神の子三名の正体を掴む原因となったコフィンとの接触は結果的に、彼女に取り込まれる形で片が付いた。

 その事実は委員会。特に旧中央魔術派閥にとっては許容できるものではなかった。

 

 そもそも、先日魔法少女コフィンが旧瑞穂会に取り込まれるようにして、魔法少女登録がされたことがまずかった。

 基本的に各派閥ごとに絶妙なパワーバランスを保っていた。

 それが、コフィンによってわずかに崩れつつあった。

 それでも一A級魔法少女であってS級魔法少女でないからこそ、完全にバランスを崩さずに済んだとも言えた。


 だが、そんな彼女が三人もの死神の子を取り込んだ。

 それは由々しき事態であった。

 死神の子の半数が旧瑞穂会側へと着くのだ。


 しかし、問題はそこではなかった。

 そもそも死神の子はインベーダーだ。

 それを取り込んだと言うことは、コフィン自身が委員会へ不利益をもたらす存在である可能性を秘めたと言う事だ。

 実行しようと思えば、彼女は死神の子を利用して委員会へ反旗を翻すことも出来るのだ。

 現にインベーダーを取り込んでいる時点で、その可能性を捨てきることは出来なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ