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コンビニで貰った特別クーポンを使ったら大変なことになった 俺だけダンジョンでレベルアップ?  作者: 熊出
井上春武編

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821/821

スキル適合者

 試合が始まる。

 辰巳がマウンドに立つ。

 青高の切り込み隊長翔吾は旧友との決闘に苦笑交じりだ。


 その表情が、最初の直球で凍った。

 速くなっている。

 彼も二年になって球速がぐんと伸びた。


 楽しみになってきた。

 俺はワクワクしながらネクストバッターズサークルで投球を見る。

 その点翔吾は嫌らしい先頭打者でカットを織り交ぜつつできるだけ多くの球を相手に披露させた。


 結果、遊ゴロ。

 しかし仕事は十分果たした。


 任せておけと俺は打席に立つ。

 辰巳と微笑み合う。

 互いに濃厚な時間を過ごしているのがわかる。

 自分達はステップアップの最中にいるのだという高揚感がある。


 辰巳は、振りかぶって、投げた。

 速球。

 辛うじて当てる。

 結果は後ろに飛ぶファール。

 ボールのしたを叩いている。

 思ったより伸びてきているということか。


 結局、三振。

 しかし、球数は投げさせた。

 次の雄一が打席に出ていく。


 もしも辰巳が失投するようなことがあれば。

 その時は。

 俺はきっと雄一を信用できなくなるだろう。


 雄一は俺の方をちらりと見ると、打席に立った。

 急に辰巳のコントロールが荒れだした。

 結果は四球。

 雄一は出塁。


 雄一にとっては成果となり、俺としては尻尾を掴みそこねたという結果。

 上手く出来すぎている気もする。


 そして、ランナー一塁で信玄に打順がやって来た。

 相手が取った策は申告敬遠。

 そりゃないぜ、と思いつつ、五番の晋太郎が打席に立った。


 野球強豪校に来るような連中はそれまでも濃密な経験を積んでいる。

 晋太郎の場合は練習試合でもスターティングメンバーに名を連ね、経験を積んできた。

 どこまで辰巳に迫れる?

 俺は息を呑んで見守った。

 雄一への疑念を、一時、忘れた。


つづく

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