063 反魔術師活動
「キズナちゃん!?」
「ぼく、もうここから動かない」
なんで評定金額が上がったのに、良く分からない組織に追われないとならないのか。キズナの文句とは、すなわちそこだった。ふて寝でもしなければやっていられない、というのもキズナの結論であった。
「キズナ、そんなに落ち込むな。ほら、〝バウンティ・ギルト〟についてしっかり説明してやるからよ」
そういう状況下でも、ルーシはセールスマンみたいな態度を崩さない。彼女はつらつらと語りだした。
まず、〝バウンティ・ギルト〟は魔術が使えない連中の立ち上げた反魔術師運動であり、彼らは魔法の代わりにロスト・エンジェルスの最新兵器で武装している。一方、中には魔術を使える者もいるという。カネを稼げればそれで良い、という考えなのだろう。
それに加え、〝バウンティ・ギルト〟は転生者をとても恨んでいる。キズナとルーシが闘い、虐殺したセブン・スターズの予備生のように。
転生者はなんら努力せずに途轍もない魔術を使えるという、連邦全域へまことしやかに広がっている〝風説の流布〟が、彼らの中では定説なのだ。つまり、陰謀論的な考えを持っているといえるだろう。
しかし当然、なにも持たずにロスト・エンジェルスへ転生してくる連中もいる。キズナやルーシは持っている者として転生してきたわけだが、全員が全員そうというわけではない。すなわち、彼らの理論は端から崩壊している。
出資元は、この運動に参加している者のカンパで補われている。その中には富裕層もいて、それが故、評定金額の1パーセントという金額を支払える。キズナの場合であれば、1000万メニーという大金を。
では、魔術師ライセンスを持つキズナやルーシ、1億メニーの評定金額がかけられているメントはどうすれば良いか。
答えは単純なものである。
「キズナ、私の話をしっかり訊いたか?」
「ああ、うん」
「連中の資金は表に出せない。この国の魔術師率は7割を超えている上に、つい最近連邦政府から破壊活動団体に指定されたばかりだからな。となれば、資金を燃やしちまえば良い」
ルーシはキズナの毛布を取っ払い、彼女の胸を軽く叩く。
「といっても、〝バウンティ・ギルト〟はボスすら曖昧だ。うまく隠れているわけだな。ヘタレらしい考えだよ」
「じゃあ、どうするのさ」
「私の盟友に、クラッキングが得意なヤツがいる。オマエ、あした退院だろ? だったら、ソイツの家へ向かうぞ。住所と連絡先を渡しておく」
ルーシはキズナのスマホにメッセージを送った。
「そこのお嬢さん方はどうするつもりだい?」
そんな中、ルーシはアーテルとイブに向き直す。
「別にどうしたって構わんが、ひとつだけ言っておくぞ。キズナを大事に思うのなら、君たちにだってできることはある」
アーテルとイブは目をあわせ合う。
そして、
「キズナちゃんは大事な後輩です。私にできることがあるなら、なんでも言ってください」
「右に同感よ。見過ごすわけにはいかないわ」
彼女たちは、あくまでも先輩として、自らの役割に順ずる腹積もりを決めた。




