046 〝チャーム〟の正体
「き、キズナちゃん。ホントにこれで良いの?」
「これ以外に方法があるの? アーテル先輩」
キズナは淡々としながらヘリコプターに向かっていく。それをポカンと見ていたアーテルとイブは、それでもさすがに後輩を放ってはおけないだろうと、彼女についていこうとする。
が、嫌味な幼女が話しかけてきた。
「オマエらはお嬢様だ。誓約書を書いてもらおうか」
「……まるで死んでも責任をとらない、みたいな態度じゃない」
「とらないよ。なんでそんな面倒事を背負わなきゃならないんだ?」
イブは渡された誓約書に、汚い文字でサインした。紙をわざわざ丸めてルーシへ渡すほど、彼女は苛立っている。
「どうも。3泊4日の旅決定だ。そこのお姉さんは?」
「わ、私は……」
すでにヘリへ乗り込んでいるキズナを見て、アーテルも覚悟を決めた。
かくして、2人の女子高校生と1人の女子中学生は悪夢の島へ向かっていく。
*
一応開けた場所に着陸し、そのままヘリは飛んでいってしまった。ただ、食料くらいは用意して
くれた。3人分を3日分だ。
「こ、これからどうする? キズナちゃん、イブちゃん」
「そうね……、まず寝床がほしいわ。けれど、私布製のクイーンベッド以外で寝たことないのよね」
とか話していただけで、ふたりはキズナを見失う。
「キズナちゃん!?」
「どこ行ったのよ! キズナ!」
そんな頃には、キズナが現れた。いつもかけている、チャームポイントのサングラスを外した状態で。
「とりあえず3人くらいに〝チャーム〟かけといた。こっちが着陸したのを見計らってたらしい」
キズナの前には、目をキラキラ輝かせる収容人と思わしき男たちがいた。
「さて、根掘り葉掘り聞こうか」
あまりに突然過ぎる出来事に、慌ててアーテルとイブが止めに入る。
「ちょ、ちょっと待って、キズナちゃん!」
「貴方、本当に〝チャーム〟が成功したの!?」
「驚くことじゃないでしょ。元々備わってる能力を使うのは当然でしょうに」
「ま、まあ。確かにそうかもしれないけど」
「貴方、割と躊躇なく〝チャーム〟使うわね……」
そんなに驚くことかよ、と思いながら、キズナは彼らが保有している情報を聞き出そうとする。
が、その瞬間には、
「い、石!? サキュバス様、一体なにを──!!」
男のひとりの身体が、石のごとく固まり始めた。
「え、なにこれ」
やがて、その男は動かなくなった。が、死んでいるわけではない。いびきをかきながら、眠っているだけだ。なにがなんやら、とキズナはアーテルとイブに向き直す。
「……キズナ、良い? サキュバスは相手を眠らせることができる。悪魔の中でも異質なサキュバスの能力、教えておく必要があるわね」
魔術でキズナのチャームを避けられるイブは、しっかりキズナの目を見据え、
「良い? サキュバスの“チャーム”にかかった人間は、眠っている相手からすべてを抜き取れる。命や、その源である魔力すらも」
「命? 怖いなぁ。ヒト殺しになっちゃう」
まさかの復活~☆




