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僕を飼って下さい。前編

どうしよう……

これは拾うべきなのだろうか?


私はゴミ収集場所の前で悩んでいた。







思い起こせば昨日の合コンで来た相手3人はデブとロリコンとハゲだった。


ハズレだ。


相思相愛になりそうな出会いが欲しいとは言わない。

せめて話のネタを持ってそうな恋愛スキルのある男性が一人くらいはいて欲しかった。


なんの成果もない全くの無駄骨だ。

貴重な時間とお金だけが飛んでった。





はぁ……次のプロットどうしよう……


プロットとは物語の筋、しくみのことである。




そう、私、森永《もりなが》 一花《いちか》は職業が少女漫画家だったりする。




高校生の時に新人賞を受賞してデビューし、卒業と同時に上京した。

数年後に連載漫画がもてたものの、途中から人気が下降して最後は打ち切りとなり……

その後は特大号でパラパラと単発が載る程度。


現在は大御所のアシスタントをしたり貯金を切り崩しながらなんとか食いつないでいる状態であった。



先週、担当編集者の三田《みた》さんに見てもらったのも反応がイマイチだった。

自分ではなかなか良い出来だと思ったのに……


「もっと胸キュンする展開が欲しいんだよね?わかる一花ちゃん?」


三田さんはいつもこう言う。

胸キュンてなに?


かれこれ5年も彼氏がいない私にはそんなもんをリアルに想像出来る潤いがない。

心がもう枯れっ枯れなのだ。




私ももうすぐ28歳……


このまま頑張って続けるのか新たな道を探すのかを真剣に考えないといけない。





「どっかにイケメン落ちてないかな〜。」




─────確かに私はそう言った。


神様に切実に祈ったわけじゃない。

なんとなくつぶやいただけだったのに……




今日はゴミの日だった。

アパート前にあるゴミ収集場所にゴミを持ってきたらソレはいた。



若い男がゴミ袋の山にへばりつくようにして寝ていたのである。






どうしよう……

これは拾うべきなのだろうか?


私はゴミ収集場所の前でずっと悩んでいた。




どうやら男は酒に酔っているようだった。

黒縁メガネで真っ黒なくせっ毛。背が高くて細マッチョな感じ。悪くはなさそう。



拾っちゃう?

お持ち帰りしちゃう?

でも悪い男だったらどうする?

女性の一人暮らしの家に見ず知らずの男を連れ込むなんて危険じゃない?


でも良いネタにはなりそうなんだよなぁ……



「う──────ん……」



悩みまくっているとポツポツと雨が降ってきた。

濡れたら風邪を引くかもしれないし、とりあえず起こしてあげよう。


「大丈夫ですか?もしもーし?」


むにゃむにゃと言うだけで反応がない。

寝顔がとても可愛い。着ている服もセンスが良い。

案外、優良物件かも……


ちょっと揺すってみようかと肩に手をかけようとした時、背後でピカっと雷が光った。

すぐに空気が震えるほどの音が鳴り響く…近くに落ちたかもしれない。


寝ていた男がいきなり私に抱きついてきた。



「きゃっなにすっ……」

「ここ怖いっ。ムリ、ダメっ。離れないで!」


えっ……なに?雷にビビってるの?

ブルブルと震えながら顔をうずめてる部分が私の胸なのだけど、これはわざとかっ?!

再び大きな雷が鳴った。

さっきより近い…身の危険を感じるほどだ。

大粒の雨まで降り出してきた。

男はさらに私にしがみついてきて離そうとしない。


「ちょっと!警察呼びますよ?!」

「警察は困るっでも雷はマジでムリっ!」


「そんなの知らないからっ離れて!!」

「いーやーだ──っ!!」



どしゃ降りの雨が降りしきる中、男を引きずりながら家へと戻った。

結局お持ち帰りとなったわけだけど、イメージと違うっ!

なんなんだコイツはっ!!



「寒いっ……お風呂に入りたい。」


男が寒そうに体をこすっている。

今会ったばかりの他人の風呂をおねだりするなんて図々しすぎやしない?


「ダメ…ですか?」


私を見つめてくるメガネ越しの目がまるで捨て犬のようだ……なんだか胸が少ししめつけられた。

あっ……もしかしてこれが胸キュンてやつか?


ちょっと違うような気もするが……



仕方がないので男にバスタオルを手渡し、湯船にお湯を貯めるために蛇口をひねった。

なんだか変なことになってきた。

私より年下よね?学生かな?



「お姉さんも濡れてますよね?一緒に入ります?」

「入るわけがないでしょっ。」

半分キレながら振り向くと、男がもう上半身裸の状態でズボンを下ろそうとしていた。


「なんでもう脱いでんの!」

「だって服が冷たいし、脱がないと入れない。」


私のことなどお構い無しにパンツまで下ろそうとするもんだから慌てて隣の部屋に逃げた。

なんなのあいつはっ!

頭おかしいんじゃないのっ?!

風呂から上がったらすぐに追い出してやる!



でも脱いだ服…雨でビッチョビチョだったよね?

裸のまま外にほっぽり出すわけにもいかないし。

元彼が置いてった服がクローゼットの奥にしまったままなんだよね……

とりあえず着れそうなスウェットの上下を出してあげた。


「ねぇ…君。着替え洗濯機の上に置いとくから。」


お風呂に向かって話しかけたのだけど返事がない。

お風呂場のドアを叩いてみても、うんともすんとも返ってこない。

まさか………



嫌な予感は的中。

ドアを開けると湯船の中でぐったりしていた。

お風呂に入ってさらに酔いが回ったらしい……

なんて手間のかかるやつなのっ?!




裸の男を湯船から引っ張り上げ、タオルで拭いて服を着せてドライヤーで髪を乾かして、またベッドまで引っ張っていってどうにか寝かしつけた。



何回見知らぬ男のアレを見ただろう……

だって見ないようにしようと思ったってチラチラ見えるんだもん。



にしてもどっと疲れた……


来週、また三田さんに新しい原稿を見てもらうからこんなことしてる場合じゃないのに。



漫画を描くペンタブレットの前に座りながらも眠気には勝てず、そのままウトウトと寝てしまった。













うー……頭が痛いし体がダルい……


目を開けるとベッドの上で寝かされていた。

おデコがヒヤッとする…手で触ってみると冷やしたタオルが置かれていた。


「お姉さん大丈夫?」


この子…昨日ゴミ収集場所で拾った子……


「昨日濡れた服を着替えなかったでしょ?熱出てるよ。」

……誰のせいだ、誰のっ。

ダメだ…文句を言う元気も出ない……



「食欲ある?なにか作ってあげようと思ったんだけど、冷蔵庫にビールしかないってマジ?」

ちょっと、人の冷蔵庫勝手に開けないでよ。


「使った食器も洗濯物も山積みだし、もしかしてお姉さん家事苦手?」

ほっといてくれる?うるさいよ。

もう、熱のせいで頭がぼ〜っとする……



「俺が代わりに全部やっといてあげようか?」

「……う〜ん。」


「上手に出来たらお願い聞いてくれる?」

「……う〜ん。」



家にあった風邪薬を飲んで再び深い眠りに落ちた。

メガネをかけた可愛い天使が、私の部屋の中を魔法でピッカピカにしてくれる夢を見た。










「…………うそ……」




起きたら本当に部屋の中が綺麗に片付いていた。

ゴミがひとつも落ちてないし、物は整理整頓されているし、ベランダには洗濯物が等間隔で干されている。

ちょっ…下着まで洗ってあるじゃん!!


「お風呂もトイレも掃除したよー。」

男が台所からひょこっと顔を出した。


「家中全部やったのっ?」

「うん、完璧。これ食べる?」


雑炊をスプーンに乗せ、あーんてやってきた。

お腹が空いていたので思わずパクっと食べてしまった。


「……美味しい。」

お米さえなかったのに…買ってきたのだろうか。

この子何者?

スーパー家政婦か?



「体調どう?」


大きな手で私のおデコにそっと触れた。

こんな風に人から優しくされるのは何年ぶりだろう……

薬が効いたのか熱はもう下がっていた。




「お姉さん漫画家なんだね。」

昨日パソコン画面開きっぱなしで寝たから見られたか…まあ隠すようなことでもないんだけど。

「まあね。君は学生?もう家に帰りなよ。」


「……うん…そのことなんだけど……」


少し言いづらそうにしながら、雑炊を食べている私のすぐ横に腰を下ろした。



「俺さぁ…昨日親父に初めて殴られたんだよね……」


「なんで殴られたの?」

「将来のことでね。お前は甘いって怒られた。」


なんだか厳しそうなお父さんだ。

それであんなになるまで飲んでいたのだろうか。




「だからしばらくお姉さんとこにいてもいい?」





…………はい?



「なんでそうなんの?!」

「家出ってやつ?」


「友達のとこ行きなさいよっ!」

「俺の父親、人探すの得意だから知り合いのとこなんてすぐバレるんだ。」

なんだよ、その特技っ。


「家事全部したらお願い聞いてくれる約束じゃん。」

「だからってこんなお願いはない!」


「お姉さんいつもコンビニとかレトルトばっかでしょ?俺ならそれで二人分作ってお釣りも出るよ?」

うっ……美味しくて温かいご飯はとても魅力的である。


「絶対お姉さんに手は出さないから。して欲しいって言うなら別だけど。」

「そんなこと言わないからっ!」



「お願いお願いっ。なんでもするからお願──いっ!」


私の腰にへばりついて離れようとしない。

何度も何度もしつこく懇願されて最後は根負けしてしまった。



「やった──っ!お姉さん優しーいっ!」


まぁ…いいか。害はなさそうな子だし。

漫画のネタになりそうなものもいっぱい持ってそうだ。


「じゃあ名前付けて。」

「付けてって……君の名前は?」


「俺自分の名前嫌いなんだ。冷やかされてきたから。」


俗に言うキラキラネームってやつかな?

宇宙って書いてピカチュウとか、今鹿って書いてナウシカとか?

気になる……


「なんでもいいよ。」


なんかペット拾ったみたいだな。

いきなり言われてもなにも思い浮かばない。

すごく期待した目で私のことを見つめてきてる……



「じゃあ…珠希《たまき》で……」



フッと頭に浮かんだこの名前───────



「あっ…やっぱり今の名前はっ……」

「タマキ?いいねーっじゃあタマに決まりっ!」


なんかすっごく喜んでる…訂正したかったのに。

タマは雑炊のお代わりを取りにスキップしながら台所へと行ってしまった。




なんで言っちゃったんだろ……

石川 珠希。




──────5年前に別れた彼氏の名前だった。





















その日からタマを飼うことになった。


タマは毎日家事を完璧にこなした。

なんでも幼いころに母親を亡くして男手ひとつで育てられたらしく、父親も仕事が忙しい人だったので、小学生の時から家事全般をタマが一人でこなしていたのだという。


特にご飯がすごく美味しくてレパートリーも多く、夜にビールのアテが欲しいと言ったら残った食材でささっと作ってくれた。

予算内で作れているのが不思議なくらいだ。

ガッチリ胃袋を掴まれてしまった。


でもタマにはちょっと困ったとこがあって……



「わ────っ!お姉さんっまた出たぁ!」


またか……

私は近くにあった雑誌を丸めてタマのいる台所へと向かった。


「どこ?」

「そこっそこの壁!」


私はそのカサカサと動くGを一発でしとめた。

そう、タマは男のクセにGが大の苦手なのである。


「良かったぁ。俺、ヤツらだけはマジでムリ。」

雷の時も同じこと言ってなかったっけ?


私も引っ越した頃はキャーキャー言ってたけど、言ったところでGは死なないし、やっつけてくれる彼氏がいるわけじゃないしで、ある日悟ったのだ。

あんなのただの黒い虫じゃん。て。



「お姉さん、今日21時から一緒にテレビ見よっ。」

「なんの番組?」


「身の毛もよだつ心霊特集!」

「明日、出版社に原稿持っていくから時間ない。」


「一人じゃマジムリっ一緒に見てよっ!」

「見なきゃいいでしょ!!」



結局、タマは漫画を描く私の背中にずっとしがみつきながらテレビを見ていた。

本来ならばドキドキする年下イケメンからのバックハグ。

背中でブルブル震えて作業の邪魔でしかない。

怖がりのクセに見たがるし……



このタマの怖がりな性格どうにかならないかな?

あと、やたらとベタベタくっついてくるのもいかがなもんかと思う。














私は新しく描き上げた原稿を担当編集者の三田さんに見せていた。

今回も反応がイマイチだ……



「ちょっと伝えとかなきゃならないことがあるんだけど。」

そう言って三田さんは渋い顔をしながら原稿を机に置いた。


「……なんですか?」

「どうせ耳に入るだろうから言うんだけど…南ちゃん、漫画家引退して結婚するんだって。」

南ちゃんとは私が連載漫画をもっていた時にアシスタントについてくれた子だ。



「……結婚…ですか。」

「相手は一花ちゃんもよく知ってる人だ。」



南ちゃんは私より3歳若くて、私のアシスタントを辞めたあとに自分の連載漫画をもった。

それは長く続いて、最近になって無事にハッピーエンドを迎えた。


私の連載漫画の打ち切りの原因を作ったのはこの子だ。

当時私が付き合っていた彼氏、珠希を寝とったからだ。



「一花ちゃんも…少し漫画から離れてみてもいいんじゃないかな?」



デビュー当時からお世話になっている三田さんは私の性格をよく知っている。

私はプライベートがモロに漫画に影響する。

二人が結婚したことで私が受けるショックを心配してくれているのだろうけど……



その言葉は私には引退勧告にしか聞こえなかった。

















家に帰るとタマがいなかった。

そう言えば春休みが終わって今日から大学が始まるって言ってたっけ……


タマが大学でなにを学んでいるのか、通っている大学がどこなのかさえ知らない。

というか私はタマの本名さえ知らなかった。


きっと出ていく時に後腐れがないようにしたいのだろうなと思い、私もあえて聞かないようにしていた。



「お腹空いた……」


私は戸棚からストックしていたカップ麺を取り出した。



タマが来てから一週間……

いつまでこの家にいるつもりなんだろ……?




私はカップ麺を元の位置に戻した。






もうタマの作ってくれたご飯じゃないと


食べる気がしない──────…………












「うわっお姉さん、ベロベロになってない?」

「タマお帰り〜今日はご飯はいいからアテいっぱい作って〜。」


「もうっ何杯飲んでんの?すきっ腹でこんなに飲んだらダメだろ?」



タマはブツブツと私に説教しながらも、ビールに合う料理をいっぱい作ってくれた。

テーブルに並び終えて隣に座ったタマにビールを渡して乾杯した。



「うっ…やっぱビール苦っ。」

一口飲んだタマが不味そうに顔を歪めた。


「タマはビールも苦手なのね。」

「こんなの美味しくないでしょ?」


「苦手なものが多くてホント可愛い。」

そう言って頭をポンポンと叩くとタマの顔が一気に険しくなった。

子供扱いされてカチンときたようだ。



「お姉さん…俺になにして欲しい?」

「アテはもう充分だよ?」


「そうじゃなくて……」



タマが私の髪の毛をそっと優しく撫でた。




「男としてなにをして欲しい?」




メガネ越しに見える熱っぽい視線に、どこを向いていいのやらドギマギしてしまった。


「そんなこと……」

「俺なんでもするって言ったでしょ?」


なんでもって……

いろいろやらしいことが頭に浮かんでしまった。

なに考えてんだ私はっ……

ずっと男日照りだったからな…心が飢餓状態でイヤになっちゃう。


……でも………



「じゃあギュッてしてくれる?」


せっかくだし、ちょっとだけ。



「なにそれ、可愛いんだけど。」



タマは吹き出すように笑ってから少し立ち上がり、上から包み込むように私を抱きしめてくれた。

久しぶりのこの感覚…キュンなんてもんじゃないっ。


「次は?」


つ、次って……

待って…タマってこんなこと言うキャラだっけ?

全然イメージが違ってるんだけど?!


「ウブなお姉さんにはもうムリかな?」


なっ…年下のくせに生意気っ!



「じゃあ……キス…してくれる?」


「いいよ。」



ためらいもなしに私に顔を近付けてくる。

もう少しってとこで私の鼻にメガネが当たってしまった。



「あ、ちょっと待って。メガネが邪魔だ。」


気だるそうにメガネを外すタマの仕草がすっごくセクシーで……

今までよく働くペットぐらいにしか思ってなかったタマを、大人の男なのだと認識してしまった。

心音が一気に跳ね上がり頭がショートした。



「やっぱりキスはいいっ!」

「はあ?なにそれ…今更なに言っちゃってんの?」


「ホントにムリ!」



顔が真っ赤になってるのがわかって両手で隠した。

なにこれ…私の方が年下みたいになってる。



「俺はもう止められないんだけど?」



タマが私の両手を掴んで強引に下へ下ろした。

黒縁メガネをかけているタマは幼い感じがしたのに、今目の前にいるタマは別人みたいに色っぽくて……


ダメだよ私…タマとこのままキスなんかしたら次から次へと欲しくなる。

今の弱りきった私じゃ流されて絶対ろくなことにならない。




「お姉さん…寂しいんでしょ?」



私はタマのことを──────




「俺にもっと命令していいんだよ?」





────そんな風には利用したくないっ。







ボロボロと涙があふれてきた。



「なんで泣くのっ?」


「ダメなの私、別れた彼氏のことが全然忘れられなくて…タマに付けた名前も元彼の名前なのっ。」


「それはまぁ気付いてたけど……」



「このまま漫画家続けていいのかも分からなくなってきて…恋も仕事もなんにも上手くいかないっ!今の私はこれ以上ないってくらいダメダメなのっ!!」



息が詰まるほどの悲しさが込み上げてきて、タマの胸に顔を埋めて子供みたいにわんわん泣いてしまった。



「泣かれたらなんも出来ないじゃん……」



タマが参ったといった感じでため息をもらした。


タマは大泣きしている私を抱きしめながら、ずっと頭を撫でてくれていた。

タマの腕の中はすごく温かくて心地よくて……

今日一日不安定だった私の心を癒してくれた。



「タマは私のカンフル剤なの。」

「う〜ん…それはただの薬ってこと?」


「よそん家のゴミ箱に入っちゃヤダからね。」

「俺、ゴミの中で寝てたのあれが初めてだからね?」


「サザエさん家に行っちゃダメだからね。」

「えっと…それは猫のタマとダブってるのかな?」


「ポケモンボールで捕まえに行くからね?」

「あー…俺、ポケモンじゃないから捕まえられないんじゃないかな~。」


「タマはねぇ……」

「あぁもう、はいはい。」



酔っ払って泣き疲れた私は、タマに包まれながらスヤスヤと眠りに落ちた。





「…なんだよ、お姉さん……」


タマが私の寝顔を見ながら困ったようにつぶやいた。





「……くっそ可愛い。マジで惚れるじゃん……」
















──────この人の力になってあげたい。



でも今の俺じゃどうしようもない─────







タマはしばらく悩みまくったあと、ずっと電源を落としていたスマホを立ち上げた。








「……もしもし親父?


ちょっと調べて欲しいことがあるんだけど……」










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