第43話
「連れて参りました」
――「一、ニ、三......」
「人間でないものもおるな......エルフか......」
「力を与えし者たちよ......でかしたぞ」
全八匹。
"王" が動く。
――「あぁ......」
初めて見る。
王の動くお姿......
ガラガラと音を立て、身体を纏っていた瓦礫を落としながら......
―― 二千年......
我は待った.....
厄災のドラゴン......
あやつに勝つ、たったひとつの方法......
やつより生きる.....
持ち得る魔力をすべて、寿命に注ぎ込んだ。
生と死の狭間を紡ぐ......
細く、細く、糸のような魔力で......
―― 二千五百年前、我はこの世界に呼ばれた。
愚かな人間どもは戦争に明け暮れ、我を呼んだ。
羽虫のごとき我を......
そして我をゴミクズのように扱った。
――やつらは......ありとあらゆる者を呼んだ......
――五百年かけ我は生き抜き、人間どもを支配せんとした。
まさにその時......
――あの厄災とミツハ......
剣を失い、西に追いやられた......
しかし......今......やつらに勝った......
――
二千年の間。
蓄積された汚れが崩れ、剥がれ落ち、その白く、小さく、毛のない、生まれたばかりの姿で王は歩く。
白目のない、漆黒の眼球を四つ。
顎まで裂けた口。
四肢は筋張り、尖り、血管が浮き出ている。
ゆっくり、ゆっくりと進む。
――怯え、絶望する女。
我より大きい。
真に小さくなってしまった。
また、羽虫のごとく......
喰らいつく。
ごくごくと喉を鳴らす。
飲み干す......
盛り上がり膨れる腹。
次は男......
――ガハァ。
裂けた口で笑みを浮かべ、天を仰ぐ。
「みなぎる。みなぎるぞ!」
――足りぬ。
足りぬ。
全く、足りぬ......
――
残り一匹。
――「お前たちで食すがよい」
「子を産むのだ。万の子を。それ以上を......」
「我は復活した。まずは我の剣を......」
「厄災の巣へ......」
―――
今はまだ、誰も知らない。
"守護竜" によって間引かれていた魔物が繁殖を繰り返し、それはやがて熾烈な生存競争に発展。
そこから、より強力な個体が生まれる。
そして魔王復活。
世界は再び混沌を迎える。
地獄と呼ぶにはあまりにも軽過ぎる、その未来へ向かって。
第一章
完結。
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