第25話
セリーンが炎を上げてから、一時間ほど経っただろうか。
その時は突然やってきた。
「アリア!」
セリーンが叫ぶ。
「アリア!」
力の限り叫ぶ。
涙が止まらない。
「セリーン!セリーン!」
アリアも叫ぶ。
見つけた!
アリア!
セリーンの目に映る、アリアの後ろ。
リズ!
馬に乗ったリズ。
「?」
弓を引いている。
なんで?
なぜ弓を......こっちに向かって。
リズは五本の矢を、目一杯引き絞っている。
(セリーン、頼んだわよ)
一瞬困惑したセリーンだったが、
――いいわリズ。
任せて!
「......炎の根源、深淵の業火よ、その姿を......」
詠唱を始めるセリーン。
アリアが振り返る。
「リズ!」
リズはアリアに向かって矢を放った。
―――
アリアに向かって疾る馬から飛び降りるリズ。
その後方から飛び出す三体の影。
リズの放った五本の矢がアリアを掠め、曲線を描きながら旋回。
リズ、後ろ向きに反転、広げた両手を交差させる。
左から二本、右から三本。
矢が影の眼前で交差する。
落ちていくリズの顔の上、炎が一直線に通り過ぎた。
「ヒール!」
アリアは落ちてくるリズへ両手を伸ばす。
ゴゥ
という音と共に、三体の影が燃える。
地面に叩きつけられ、のたうち回る三体の影。
やがて三つの影は動かなくなり、辺りに静寂が落ちた。
26話に続く。
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