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第1話

 なぜ、こんな事になったのか?

 聖香は、思い……だした。


 それは、聖香が街の裏路地で、瀕死の男と匣に出会ったのが発端だった。



【十数分前】


 聖香は自分の住む街の繁華街に徒歩で向かっていた。

 地元の人間らしく、街の人しか通らないような裏路地を通ってショートカットをしていたのだが……


 今、聖香の前に男が倒れていた。 


 倒れているのは、まるでカルト教団の重鎮のような恰好をした中年の男性だ。


 うつぶせのため、表情は見えないが、倒れている男の下に血だまりが広がっていた。

 たとえ生きていたとしても、おそらく長くはない、そんな感じであった。

 

 そして、男の右手には金属製の正方形の匣が握られていた。

 匣の表面に奇妙な紋様が描かれている。

 

聖香:「ひっ……!あ、あの……大丈夫、ですか……?」

聖香:眼の前の光景に怯えながらも、男性を助けようとして近付き、肩に触れてみます 


 ぴくりとも動いていなかった男が急に動きだし、左手で聖香の足首を掴む。

 見上げる男の顔は生気がなく青白かったが、その目だけはギラギラと輝いていた。

 男は聖香を見上げながら言葉をつづける。


男「頼む、この匣を……この街のX神社にいるトリスタンの派遣退魔士に……」


 男は聖香の手に匣を握らせると、さらに懐から長細い紙を挟んだA5サイズの手帳出し、それも聖香に渡す。


男「詳しい事はここに……」

男「頼む…………」


 そこまで言うと、男は糸が切れたように崩れ落ちた。

 男の匣(命)の中身をすべて出しきったのだろう。


 男は死んでいた。 


聖香:「ひいっ……!」急に足首を掴まれて泣きそうになりながら、

聖香:「……え、神社……退魔師……? 待って!お願い、死なないで!」


聖香:混乱した頭で手遅れと半ば理解しつつも、【能力2:ヒーリングライト[浄化]】を試みます 


【能力2:ヒーリングライト[浄化]】

 遍く世界を形作る集合無意識の力を借りた光を放ち、浴びたものに含まれる不純なもの、害悪なるものを取り除いて理想的な状態へと変える。

 損傷や劣化といった物理的な不全、疲労や精神的な不全、また魔術的な呪縛などといった悪い状態を消し去り、その機能や活動が十全に行われる状態へと復元できる。また世界にとって害悪なる存在を消し去る魔術的な攻撃手段としても用いることができる。



 聖なる光が男に降り注ぐが、すでに死んでいるため効果がなかった。


EM: PCは、この状況で周囲のものを確認、調査する事ができます。

EM:調査できる項目は

EM:「手帳」

EM:「匣」

EM:「呪符」

EM:「死体」

EM:「退魔士派遣業トリスタン」

EM:5項目ですが、最大2項目までしか調査することしかできません。


聖香:では「手帳」を調査します


 手帳を読むと、それ男が書いた手記であった。


 手帳には、男の手記が書いてあるが、血であり見えない場合がある。

 ノートを読むと、それ男が書いた手記であった。

 男の血で濡れており、一部読みにくい部分がある。


 手記の前半は、男が持っていた匣に関する事であった。

 手記によると、この匣は、神が宿りし匣「匣神」であり、あるカルト教団が信仰しているものであった。


・匣神はただの象徴ではなく、実際に邪神が封印されており、適性のある「巫女」と称されるものが、その封印の一部を解除し、神を操る事ができる。

・教団は巫女を使い捨ての道具として匣神を利用しているが、匣の封印も限界であり、このままにすれば封印が解け、邪神が復活する。

・それを危惧した男が、派遣退魔士を雇い、匣神を滅ぼそうと画策したのだ。

・すでに派遣退魔士は近くの神社に結界を張って待っており、男は派遣退魔士のもらった呪符により、匣神を強奪した


等といったことが記されていた。


 手記には、男が死んだ時、代わりに神社に匣神を運び、「戦車」か「星」か「女教皇」のタロットカードを持っている派遣退魔士に渡して欲しいとも記されていた。


 さらに…


 ここからは、私の遺書がわりだ。

 なぜ、私が匣神の真実を知っており、このような行動にでたのか。

 それは私が教団に入信しており、私の娘が匣神の巫女的な存在だったからだ。

 教団は、私の勤めていた会社が倒産したため、すべてを失った私たち家族に手を伸ばし、救ってくれた。

 私の娘は匣神との適性が高く、教団を導く存在として教育を受けるようになった。

 娘のおかげで、私もそれなりの地位をいただき、幸せな日々を過ごしていた。

 真実を知るまでは……

 

 だが、私は見てしまった。

 あの匣から現れたおぞましきこの世ならざるものを。

 しかも、よりによってあの神と称されるバケモノは、贄として差し出された妻を貪ったのだ。


 私はあまりのおぞましさに吐いてしまった。

 だが、娘は……

 私の最愛の娘は死にゆく母親の姿を見て……

 「死ね」「死ね」「死ね」といいながら恍惚の表情を浮かべていたのだ。


 私は悟った。

 私の大切な娘は、あのおぞましいバケモノに同調するために、心を狂わされたのだ。

 そして私は正気に戻り、極秘に調査し、匣神の真実と危険性を知った。


 いや、私が知ったのはそれだけではない、

 教団は、匣神との適性の適性が高い娘を手に入れるために、私たち家族が教団を頼らざるしかない状況になるように裏で手を引いたのだ。

 そればかりか何も知らない私を幹部全員で笑いものにしていたのだ。


 私は、自分の愚かさに狂いそうになったが、匣神を封じるまでは死ねない。

 命にかえて匣神を壊す。そう亡き妻に誓ったのだ。

 

 だから、私は娘から匣を奪い、匣を破壊することにした。


【ここから走り書き】

 ああ、ダメだ。

 力を吸われた。

 もう私は死ぬ。

 ああ、もう何も考えられない。私の人生はいったい…… 


 男の血で濡れており、一部読みにくい部分があった。



EM:血で塗られた部分の内容を調べるには障壁判定が必要です。


聖香:判定を行いたいです


EM:【障壁判定】を開始します。

EM:手帳で血塗られて読みにくいのは、字を消したわけではない。

EM:男が伝えたい内容が「運悪く」血で隠れてしまっているのだ。

EM:【不運(2)】 

EM:2D6+2

(コロコロ) 7[2,5]+2 > 9


聖香:では、【能力4:聖剣レイシス[魔剣]】のエネルギーを吸収する能力で、血液の化学エネルギーを吸収して付着した血液のみを朽ち果てさせます。


【能力4:聖剣レイシス[魔剣]】

 遍く世界を形作る集合無意識の力を宿した、見た目はやや装飾過多な片手サイズの細剣。

 対象のエネルギーを瞬時に吸収し、自らの威力に変える力を持つ。対象の強さがそのまま攻撃力となるため、理論上はどんな相手も斬れる。また吸収した余剰エネルギーは使用者に還元される。

 武器としての運用は「何でも斬れる剣」に他ならないが、対応するエネルギーは力学的エネルギーから熱、光、核など物理的なもの、魔力や霊力、精神エネルギーまであらゆるものに及ぶ。

 直接敵を斬るほか、敵の攻撃のエネルギーを吸収して防御にも利用できる。また特定のエネルギーに対するレーダーの役割も果たし、精神のエネルギーを吸収、感知し、自身に向けられた敵意の位置や方向に気付いたり、事件後に残された悪意の残滓を嗅ぎ取ったりできる。


 コミュニケーションは取れないが、独自の意志を持つ。使用者が念じることで即座に手元に出現、消失させることができ、使用者以外に扱うことはできず、過度の害意をもった使い方はできない。扱いを誤れば全てを食らい 尽くす厄災となりうるこの剣が聖剣の名を冠するのは、その正義の意志のためである。


EM:複数の能力使用はしませんか?


聖香:そうですね……では【能力3:無限調達[霊的物質]】で汚れを浮かび上がらせる薬剤を生成するのを併用します


【能力3:無限調達[霊的物質]】

 遍く世界を形作る集合無意識の顕現体との取引により、望むものを生成する能力。取引は能力者本人の承認があれば第三者であっても可能。

 取引対象は取引者にとって「価値あるもの」同士で行われる。代償に差し出すものの対象は所有する物品や金銭のみならず、体力や精神力、身体の一部や記憶、寿命なども含まれる。

 また取引者にとっての価値を基準とするため、個人的な思い入れによる付加価値は勘定される。

 取引者にとって多く所有するものといって価値が下がることはなく、例えば力や皇帝の位階を持つものはさながら莫大な資金を持つ資産家のように扱われるだろう。

 取引者は差し出した代償と同じ価値の物品、金銭、体力、精神力、エネルギー、情報などを得ることができる。

 ただし、価値が全く分からないものは得られず、取引により他人の財産の所有権を得ることはできず、寿命を得ることはできない。

 価値さえ認識していれば得るものの詳細や製法を知っている必要はなく、例えば一品ものの機械の部品などであっても問題なく生成される。


 生成されるものは「価値が保証された」状態で得られる。例えば物品に不良品が混入する可能性はゼロであり、貨幣の記番号により偽札と判定されることもない。

 生成は一瞬で行われ時間を消費せず、また取引内容の確認も瞬時に脳に直接認知され、時間は全くかからない。

 第三者がこの能力を用いて取引を行う場合、能力者の承認の意志と「取引を承認」の発声が必要。そのため能力者が気絶、死亡などしている場合は取引できない。

 取引者の命を差し出した場合、いかなる規模のものが得られるのか──それは神のみぞ知る。


EM:了解です。対価は2000円くらいかな、魔剣の効果もあるし


聖香:2d6+7

(コロコロ) 3[2,1]+7 > 10


判定成功。

【EP】7→6

【聖香の力】10→9


【血塗られた手帳の解読部分】

 神社の結界内まで匣神を持っていけば、世界は救われる。

 娘が教団にマインドコントロールされている可能性がある。そのままの状態だと何をするかわからない。

 娘はおそらく何らかのアーティファクトでマインドコントロールを受けている可能性がある。



聖香:「呪符」について調べます


 呪符に触れると、呪符から魔力が流れてくる。

 呪符の説明のようであった。


【呪符】

 呪符は匣神の力を制御できる。

 ただし回数制限があり、呪符の文字がすべて薄くなると使用できなくなる。 

 すでに文字は1字消えている。


 聖香は匣がカタカタと鳴り、独りでに震えている事に気づく。

 匣を見ると、勝手に蓋が開き、中から泥があふれ出る。

 その小さな匣からあふれ出ているとは思えないほどの大量の泥は、まるで生きているかのように重力に逆らい動き出し、聖香を呑み込んだ。

 それが聖香が夢を見るまでに起きた事だった。

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