第2話
聖香を泥が包み込んでいる。
視界は真っ暗だ。
それはあまりにも異様な感触であった。
泥は生暖かく、生きているようであり、それでいて死んでいるようであった。
もがいてももがいても、泥の中から抜け出せないでいた。
聖香:(彼もこれにやられた……?だとしたら……)
聖香:呪符の使用を試みます
呪符の魔力が放たれると、泥の力がが弱まっていく。
今なら魔剣で斬り飛ばせそうです。
聖香:(やっぱり……行ける!来て、レイシス!)
聖香:心の中で剣を呼び、手元に呼び出して泥を斬り伏せます
魔剣が泥を切り裂き、泥が霧散する。
だが、その呪符もまた聖香の力の余波を食らっていた。
呪符の表面の文字の一画が薄れていく。
泥は匣の中に戻り、呪符も地面に落ちる。
呪符の表面の文字は、五画のうち、3画が薄くなっており、残り2画であった。
匣の中の気配は、どこか聖香に怯えているような感じがした。
周りを見渡すと、いつの間にか倒れていた男の姿がなかった。
おそらく泥に食われたのだろう。
残っているのは、半分ほど溶けた手帳だけだった。
聖香:「けほっ……!はぁっ……危なかった……。早くこれを、頼まれたところへ持っていかないと」
その時、誰かが走ってくる足音が聞こえてくる。
そして……
黒服:「は、匣神様だ!」
黒いスーツを着た男が聖香の前に現れた。
男は聖香を見つめていた。
いや、男が見つめているのは、聖香が持つ匣だった。
男は匣から目を外さず、歪んだ笑みを浮かべた。
黒服:「匣神様を復活させ、世界に破滅を」
黒服の男の身のこなしに隙はなく、只者ではないように感じられる。
黒服:「お前の存在は邪魔だな」
黒服の男から明確な殺意が向けられてくる。
聖香:不殺が可能なら、聖剣レイシスで体力と精神力のみを奪って、話せる程度の力を残して動けなくします。
男:「死ねえ!」
男は銃を取り出すが、その動きより聖香の動きのほうが早かった。
魔剣が男を切り裂いた。
だが、その一閃は、男の肉体を斬ったのではない、男の精神のみを斬り、其の力を奪ったのだ。
体力をごっそりと奪われた男はその場に、崩れ落ちる。
男:「なん……だと」
男:「力が、力が入らない……」
男は地面に横たわりながら体をくねらせるが、立ち上がる体力すら残っていなかった。
聖香:男に知っている情報を聞こうとします。
聖香:「ごめんなさいね。匣神様とは?巫女とは?聖香たちの教団について、教えて頂けますか?」
男の知っている情報は、だいたい手記に書いてある通りであった。。
そして、匣神を奪った男がが神社でトリスタンの退魔士に合流することも把握できたので、黒服の男以外の教団の主要メンバーは神社のほうに先回りしているとの事であった。
聖香:「そうですか……、急がないといけませんね」
聖香:男の持っている武器だけは破壊して、神社に向かおうとします。




