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こちら異世界派出所前。  作者: caem
season 4【冬】けじめなさい、あなた。
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第15話 あるよ?


 嗚呼。

 どうしてこんなことになってしまったのか。

 それは、最初に確かめなかったせいでもあった。

 思わず、声に出た。


「詰んだな──、ボスケテ……」


 それは、残された刑事達が尻尾をたてたあと、急にやってきた。

 いつも、決まった時間にやってきた。

 つまり、もよおし(・・・・)たのであった。


「ちょっと……お花を摘んできますっ!」


「おい、トオル。どこで花を摘むんだよ?」


「ちょっとタカさん。なに言ってんのよ!」


「はやく、出してこいよ~。どっさりと、な!」


 ユージのひとことが、決定的だった。

 トオルは、すこぶる健康的で毎日、決まった時間に出していた。


 食べたモノを消化したら、当然、出ます。

 つまり、うんちを。

 アイドルは、しないって言っていますけど。

 アイドルではないので、ね。


 トオルは、近くに見えたパチンコ店に、勢いよく駆け込んだ。


「入店っ、入店っ!」


 冷や汗をかきながら。

 そう、連呼しながら。

 まっしぐらにトイレへと向かった。かなり、限界に近かった。

 ただ──、その日は特別な日で、パチンコ店には大勢の客がいた。


「はい、始まりました~」


 (*’ω’ノノ゛☆パチパチ (*’ω’ノノ゛☆パチパチ


 それはいわゆる、演者さんによる動画の撮影だった。

 アフロヘアが特徴的な演者さんや、美女による撮影だったらしい。


「入店っ、入店っ!!」


 そんなことは、どうでもいい。

 勝手に、撮影していればいい、とにかく今は。

 出すべきモノを出す──、ただ、それだけだった。


「ケヘヘヘッ! かかった(・・・・)な!」


 それは、周囲周到に。

 綿密に、練られた罠にしか過ぎなかった。


「これで……よかったんすか?」


「ケヘヘヘッ! 上等だ」


 そのイベントは、インビジブルによって企てられていた。

 そもそも、そのパチンコ店は、金星界によって成り立っていたのだ。


「いや、マジで詰んだな……」


 大量のブツを、大量の水で流した。

 そこまではよかった。

 だが、そこに紙がなかったのだ。

 最悪、手でふくという選択肢もあったのだが。


「あるじゃん!」 


 みっちゃん(・・・・・)には、ならなくてよかった。

 トオルは、心底安心していた。


「みっちゃん、みちみち」


 そんな歌と、歌詞を思いだしては、そんなことにならなくてよかったと。


 その便器には、便利な機能が備え付けられていた。

 お尻を拭く必要もなかった。


 そのスイッチを押したら、解決するだろう。

 乾燥という、便利な機能も備え付けられていた。

 ───、そのはずだった。


「ケヘヘヘッ! かかったな!」


 ポチっとな(・・・・・)

 

「なんか、やな予感……」


 トオルの予感はわりと当たる。

 ただ、そのほとんどは、あまり良いことではなかった。 そして、それは今回も。

 

「カウントダウンします」


 10、9、8、7、6、5、4、3、2、1──


「えっ、ちょっ、待てよ!!」


 ゼロ。

 その瞬間、トイレの個室は、勢いよく飛んでいた。

 トオルは、便器に座ったまま、遥か上空へと向かっていった。

 それは、異世界でも、初めての出来事だった。


「アイツ、遅すぎないか?」


「よっぽど、たまってたんじゃないか?」


「ってか……アレ。トオルちゃんじゃあないの?」


 パチンコ店で、用を足すためだけなのに。

 どうして、そんなことになってしまったのか。

 ちょっと面白かったから、しばらく眺めていた。


「とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで」


 まわって、まわって、まわって、まわる。

 そこまでは、いかないように、トオルは切に願っていた。




「よくやった」


 デモンは、モニター越しに見ていた。

 不確定要素(トオル)が、飛んでいったのを見ていた。

 あとは、あのモフモフだけだった。


「ケヘヘヘ……。え……なんで……っ?」


「もう、用済みだからな」


 インビジブルの身体には、デモンの角が深々と突き刺さっていた。


「ごえっ!? ぐぶ……ぶぶぶっ」


 インビジブルの口元から、内蔵から吐き出されていく。

 体液を浴びながら、真っ赤に染まる。

 それはまるで、神話みたいな姿だった。

 やがて、ぐったりとなっていった。


 魔王様に、余計な心配はかけられない。

 四天王のなかには、最弱な存在なんて要らなかった。


「さあ、どうする?」


 デモンは、正直、昂っていた。

 金星界で、最強の、わたしを倒せるものがいるのかと。魔王様以外で。




「「お待たせちゃん⭐」」


「ぐわらばっ!?」


 それは、ぷにぷにの肉球だった。

 タカと、ユージの肉球だった。


「「ダブルキック!!」」


 易々と、そのキックを食らってしまった。

 ふらふらと、身体が揺れて、崩れ落ちていく。

 膝がガクガクと、揺れていく。

 

「そんな……馬鹿な……!?」


 完璧だったはずだった。

 湾岸署も更地にしたはずだった。

 デモンの計画は、完璧だったはずだった。


「お前らの、思い通りにはいかないぜ?」


 トオルは、うまく罠にかかっていたが。

 打ち合わせは、完璧だった。

 あとは、どう騙せばいいのか、それだけだった。


「尻尾は、たてた(・・・)からな?」


「……なにっ!?」


 デモンは、その意味を知らなかった。

 ネオトキオという異世界で、警察官だけに託された。

 それは、最強のユニークスキルだった。



「アハハハハハHA……HA……?」


 せっかく、牢獄から解き放たれたサムが。

 ゴレムという、最高の相棒を得たのに、あっさりと逮捕されてしまっていた。

 そのほか、たくさんの脱獄者が、一斉に確保されていった。


「キリキリ歩け!」


 犬の、お巡りさんというのは、その異世界ではまさに最強だったのだが。

 

「ちょっ、待てよ!」


 検察官は、黙っていなかった。

 そこには、茶髪のHEROが立っていた。

 キャンニュー、シークレット。


「なんなんだよ、お前らは……」


 あるよ(・・・)、と。

 どこからか、渋い声が聞こえてきた。


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