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ネタを作るためにやってきた喫茶店。俺は今まで一人でネタを書くことが多かったのだが、最近は二人で一緒にネタを作るようになった。
もちろん、実際にネタを書いているのは俺一人だが、林のキャラクターが俺たちの漫才にとってとても大事になってしまったので、それがイメージしやすいように二人で書くようになった。二人で居るようになった。
俺たちは、コーヒーとカフェラテを頼んでいた。そして、前と同じようにサンドウィッチを一つだけ食べる。あまり美味しくないそれを、美味しいとまた偽る。
林は美味しそうにそれを食べている。きっと、食レポの仕事なんかも来るのだろう。そうなった時は俺以外の人も、美味しそうにサンドウィッチを食べている姿を、ご飯を食べている姿を見ることになる。
喫茶店の片隅、カメラもないのにカメラがそこにあるイメージが浮かぶ。スタッフに囲まれながら、美味しそうに食レポをする林。それを見ている店主。
俺は食レポが好きではなかった。何かテクニックのようなものに塗り固められた食レポというのが好きではなかった。が、林がそれをするならば、どれだけわざとらしくても、どれだけテクニカルでも許せる気がする。
何をしていても様になる気がする。そこに寄生するだけの虫となる俺は、別にそれでも良かった。いわゆるじゃない方芸人になったとしても良かった。
二人で一緒に歩けるならばそれでいい。そうすればどこまでも行ける。少なくとも、先に進むことができるようになる。一人ではどこにも行けないが、二人であればどこかに行ける。どこへでも行けるかもしれない。
そういう未来が容易に想像できる。一人だけで成功するのではなくて、二人で成功するイメージが頭の中に勝手に沸いてくる。今までで一番一心同体になっている気がした。コンビとしての生き物になってしまった。
俺というお笑い芸人は、順風というコンビで、林豊と一緒にいるから成立するのであって、そうではなければ何者にもなれない。
ネタを書いているという自負もどこかへ消えそうだった。書いているというよりも、書かされているという感じだ。林を活かすためには、何ができるのかを考えているだけの日々だ。俺のためではないのだ。
一人でネタを書いていても、何も思い浮かばなくなった。その代わり、二人で居るとネタが書けるようになった。どうしてそうなったのかは知らないが、きっと、それだけ俺は林の才能にやられてしまっている。
今までは誰がやっても面白いネタを書こうとしていた。でも、今は林がやったら最も面白いネタ、林以外にはできないネタが書きたいと思っていた。
そして、彼は、そういう期待を寄せるだけの価値がある人間だ。芸人なんてみんな器用なので、本当にその人だけしかできないネタなんて滅多にない。
それでも、俺は林にしかできないことをしてほしかった。だから、今まではモノマネをネタの中に入れることには否定的だったが、最近はそれすらもするようになった。林はモノマネも得意なのだ。
どこまでも変わっていく自分がいた。それをどこまで林は気付いているのだろうか。今までとは違うものを求められているのにも関わらず、すぐに順応してしまう林は気付いているのだろうか。
別にどっちであってもその天才性は変わらない。彼が言っていることは大抵正しいし、真っ直ぐ道を教えてくれる。
YouTubeだってそうだ。俺一人では絶対にやることがなかったそれを、林はその嗅覚でやることにした。今はまだ芽など出ていないが、アレもいつかは成功するのだろう。成功させることはできるはずだ。
それならば編集だって、企画を考えるのだってなんだってしてみせる。林を面白くすれば面白くなるのだから、どうすれば林が面白くなるのかを考えれば必然的に人気になるはずだ。
ネタに自信が生まれたことで、ユーチューバーとして生きる道さえも開けた。ネタを披露すれば多くの人を魅力することができる。そこだけしっかりとやっていれば、何をしていても様になる。
劇場で、舞台で、板の上で自分たちの存在を証明することができればそれでいい。ちゃんとしたことを丁寧にやっていたら、きっとちゃんとした人として見られる。
別にちゃんとするためにネタを書いているわけでも、芸人をやっているわけでもないが、自分が失望しない自分になるためには、他人から認められる部分がちゃんとある自分でないといけない。
吹っ切れたような気持ちもあるが、俺にはまだこだわりがあった。それでも、(どうでもいい)、と、思えることがいい意味で増えた。変わることができている。
YouTubeにネタ動画を投稿した。「投稿した」、と、言っても、やっていることは劇場の客席の後ろに着けたカメラの映像を流しているというだけだ。
前よりもウケるようになった俺たちの漫才。その動画は途中で、俺たちの――主に俺の――声が聞こえなくなってしまっている部分もあるが、それはそれで良いだろう。気になるなら見に来ればいい。
お金を取っているわけでもないからこれで良いと思う。ちゃんとお金を払ってくれているお客さんのお金で俺たちは生きていけてるわけだ。
俺たちみたいな商売は客がいないと成り立たない。どれだけ自信満々にネタを披露したとしても、お客さんが着いてこなければなんの意味もない。感動させられなければ無駄な努力だ。
どこまでいってもそれは変わらない。どれだけ大御所のお笑い芸人になろうと、需要が無くなれば供給する意味もなくなる。求めてもらえるから、ようやく価値が生まれる仕事だ。一人では生きていけない。
どこか大人になったような感覚だ。前までもそういうことは分かっていたが、ここまで身に染みるまでに実感したのはつい最近のことだ。何がきっかけなのかは分からないが、分かるようになった。
ようやく他人のことが視界に入るようになったのだと思う。今までは見て見ぬふりをしていた他人が、俺の視界に入ってくるようになった。そして、しっかりとその存在を認識するようになった。
それによって、感謝しなければいけないことを感謝できるようになったのだろう。それができなかった俺がどうやって成功するつもりだったのだ。そんな簡単なことすらできないで、何が成功だ。
とはいえ、俺がそれをできなかったのには理由がある。その理由とは、何度も何度も考えているゲムだ。ゲムに浮かされていた俺は、他の人と違うものを見ていた。瞳の高さが違うのだからそれは当然だ。
違うものを見てしまっていたから、当たり前のものに気付けなかった。逆に言えば、違うものを見ていたから、みんなが気付かないことにも気付けたわけだが、それはもう俺の中で武器になっている。
この武器を持って地上を歩くのだ。他人と違うということが、ある種の才能だと言うのであれば、俺にはそのある種の才能が備わっている。
どうせこれからゲムから完全に解放されることはないわけだし、一部個性としてそういう特性も残るのだろう。それを使ってまた新しいネタを作ったりすることもできるはずだ。
どうやら全てに感謝しなければいけないみたいだが、今の俺にはそれすらできそうな気がしている。まだ、ゲムそれ自体のことはあまり好きではないが、それでもいつかは足跡の全てを好きになれるかもしれない。
「YouTube、順調だな? 松野さん」
「そうだったっけ?」
「この前のネタ動画、千回くらい再生されてるよ」
「そうなんだ。知らなかった」
「しかも、嬉しいことが書いてあったよ。『順風にはセンスがあるから今のうちに見つけられて良かった』ってさ。そんなの言われるとは思ってなかったよ」
「それは、ありがたいな。そうか」
「やっぱり始めて良かっただろ? ネタ動画も投稿して良かった」
「それはそうかもしれないな。これからも投稿するか」
「そうしてくれると嬉しい。この前のやり方ならたくさんできそうだし」
「でも、見られてるならちゃんとした方がいいかもな」
「そうかな。今のやり方でも見られてるし、良いんじゃないかな」
「林がそう言うなら、そうなのかもしれないな」
どうやら好評だったらしい。千回再生もされているなら、それなりに見られてると言っても良いだろう。俺たち的にはかなり見られてると言った方がいい。
林は俺にYouTubeの画面を見せてきた。すると、実際にそういうコメントがあったり、千百回ほど再生されていた。俺たちのYouTubeでこんなに再生されたのは初めてだ。少なくもあるが、多くもある数字だ。
そういえば、全体的に再生回数が上がっているような気がする。もしかするとネタ動画によって本当にファンが生まれたのかもしれない。
こんなに上手くいくとは思わなかった。と、言えるほど上手くいっているわけでもないが、このままいけばいつかは収益化くらいはできるかもしれない。
あまりにもチャンネル登録者数と、見られている時間が短すぎて収益化できるだけのチャンネルにはなっていないが、このままやっていけばいつかは変わりそうだ。
ネタ動画を他にも数本上げたらそれだけでなんとかならないだろうか。芸人としての儲けからしても少しの金額にしかならないかもしれないが、それでも、お金が入ってこないよりはいいに決まっている。
松野健の心には希望が満ちていた。未来に向かって歩いていく中で、悪いことではなくて良いことを考えるようになっていた。実際に、方向としてはそういう方向を歩いている。そこへ向かえている。
このまま成功することができれば何も言うことはないが、現実というのはそれなりに厳しいものなので、これで上手くいくとは限らない。上手くいくと考えているだけで上手くいくほどは甘くない。
一番大事なのはこれを継続することだ。根腐れしないようにしながら、芸人としてよりも人として腐ってしまわないようにしながら、創作へ向き合っていく。
まだ目の前でサンドウィッチを食べている林を尻目に、小さなメモ帳にネタの原案を書いていく松野。彼は前のようにきっちりとしたネタを書くことは辞めていた。
原案のようなメモを膨らませることで、ネタにする。そこにはある程度の即興性があり、ある程度ではあるが林の意見もあり、自分一人だけで作り上げているものではなくなっていた。
そうすることで自分の立ち位置が前よりも低くなることは分かっていた。ゼロから百まで一人で作っている状態から、話し合いで決める部分ができてしまったので、それは仕方がない。
それでも、それを受け入れることで先へ進もうとする。その選択は決して間違いではない。なぜならば、林にとってはその方が自由に発言できるからだ。
ネタに関しても、編集に関しても、何に関してもやっていた松野健。それが、ネタの部分に関しては林豊を頼るようになった。それが人間心理として当たり前に嬉しい林だった。嬉しいというよりも、助かる林。
完全に上にいた松野が少しだけ下に降りてきた。そうなったことで、林としても話しかけやすくなった。前よりもくだらないことを言えるようになった。コンビとしての関係性が自然になってきた。
林は松野に馬鹿にされることを悪いことだとは思っていない。だから、本当は松野健からであればいくらでも馬鹿にされても良かった。しかし、人間のそういう部分が分からない松野はそういうことを言わなかった。
馬鹿にされるくらいでちょうどいい立場だった。芸人である以上、そういうのは受け入れるつもりであったし、相方から、しかも、何もかもをしている相方からであれば嫌なことを言われた方が楽だった。
それができなかった二人は、自然に近い関係性を目指すようになる。対等な、二人が同じくらいの力を持っているコンビになろうとしていた。
「これってどっちの方がいいかな」
「えっと、こっちかな」
「そう。分かった」
それでも、林はまだまだ自分の存在価値について悩んでいた。こうして喫茶店で二人でネタを書くようになっても、基本的には松野健が一人で書いているような状態だ。林が出る幕は用意されている分しかない。
松野はしっかりと自分の気持ちを伝えられていない。松野にとって林の才能は絶対のものであって、それを信じているからコンビを解散したくない、という本音は全く伝えていない。
それを伝えなければならないわけだが、人の気持ちが分からない松野が自らそれをすることは難しい。が、その難しいことを乗り越えないといけない。
それが、ゲムと上手く付き合うことに繋がるのだ。ゲムと共にあるためには、越えがたい壁を何度も越えなければならない。一度だけではなくて何度もそれをしないといけない。壁を越えるのが日常にならないといけない。
ネタへの愛情がゆえに嬉しくなった松野健にはそれをする義務がある。もちろん、その義務が蔑ろにされたとしても、コンビとしてやっていく権利はあるが、基本的には義務は果たさなければならない。
そんな状態で、自分の世界に入り込む松野。それを何をするでもなく、カフェラテを飲みながら眺めている林。この前と違って、林のカフェラテの減りが早かった。
集中している松野はあまり喉が渇いていなかった。だから、コーヒーはあまり減っておらず、林だけがそれを飲んでいる。やはり完全に対等な関係ではなかった。
漫才師である以上は、そういう関係であるのは仕方がない。大事なのは、それによってネタのクオリティが、漫才のクオリティが上がるのかどうか、そして、関係を長く続けることができるのかどうか。
二人は変わり始めている。このまま過剰に変われば、関係は壊れるかもしれないし、最良の関係になるかもしれない。まだまだ瀬戸際にいるのだった。
「そろそろ、帰るか。大枠はできたから、ちょっとだけネタ合わせがしたい」
「分かった。じゃあそうしよっか」
俺は喫茶店から出る提案をした。そして、返事が返ってきたのでコーヒーを飲み干した。こういうのは出来立てのうちに作り上げないといけない気がする。
ネタ帳に無機質にネタを書いているだけでは、生きた漫才にはならないようだ。二人で擦り合わせないといけない。最初っから全部を用意する必要なんてなかった。
やはり動きがある漫才ということで、林の動きを見ないと分からないこともある。その辺りとちゃんと向き合っていなかった過去の自分が恐ろしいが、考えても意味はないので、ひとまず帰宅の準備をする。
ネタ合わせは俺の家でやることの方が多かった。この喫茶店からは俺の家の方が近い。善く善く考えると、この場所で集まることは林にとっては負担かもしれない。
そこまで家から遠い場所というわけではないが、どうせなら二人の家に近い場所の方がいいだろう。別に喫茶店なんてどこでもいいわけだから、もっと適した場所を探しても良さそうだ。
林もカフェラテを飲み干したので、俺たちはこの場から出ていくことになる。会計を済ませ、建物の外に出ると、まだ太陽は高い場所に有った。集中していたせいで数時間もこうしていたと思っていた。
二人で並んで道を歩く。徒歩でここまで来ているのも面倒だろう。やはり、俺もちゃんと歩いた方がいい。マスタードのサンドウィッチを食べられなくなるのは残念だ。せっかく克服できそうな気配があったのに。そういう気配だけがある状態だったのに、そうではなくなるのは残念だ。どうせなら嫌いなものは克服した方がいいに決まっている。
「とりあえず、このメモに目を通しておいてくれ」
「分かった。まだ完成じゃない?」
「ネタの作り方を変えたからな。とりあえず、ネタ合わせをしてから考えよう」
「なるほど」
「合わないところがあったら直そう」
「オーケー」
歩きながらメモを読んでいる林。松野健はそれを横目に見ながら、自分たちが歩むべき道を確かめる。順風満帆から取った、順風という名前。
考えもなしに、順調に事が進んでいくはずだと軽はずみに付けたその名前が、ようやく実を伴うようになってきた。船は風を受けて真っ直ぐに進み始めた。
これから先は、ひたすらに、長い航海の中で、迷わないように空を眺めながら、進んでいくだけ。目的地には成功がある。成功というゴールに到達しても、また別の成功へ向かう。終わりは自分で決める。
船は止まれない。もはや止まる理由もない。どこまでも行けるはずだという若い力を使ってお笑い芸人としての有終の美を飾れるように先へ進む。
林はそのメモを読んで、いくつか気になったところがあった。なので、それをネタ合わせの時に言うつもりだった。それを言えるようになったからだ。
言えなかった頃にはそんなことあり得なかったが、言えるようになったのでそれが当たり前になる。松野健はそれを受け入れるつもりだった。
そもそも林からの意見を拒絶していたわけではない。が、こだわりによってすぐに否定したり、言わせないような空気を出していたりと、望んではいなかった。
自分のこだわりと相反することを言われても、それを受け入れようとしなかったからだ。受け入れることがないのに意見を言われても耳障りなだけでしかない。
もっと自由になることができた松野健。彼は、こだわりだけでなくて、他人の意見に耳を傾けられるようになった。自分のこだわり以外にも尊重するべきものがあるのだと分かることができた。
そして、それと同時に自分のこだわりにもこだわれるようになった。何が要らないだとか、何が必要だとか、そういう話ではなくて、何を捨てながら、何を持つのか、そして、何を拾うとかという話だ。
全てをやらなければいけないのだ。自分で自分の才能を管理する必要がある。管理された才能は普通の人にも分かりやすい形で表に出ることになる。
残滓のようなゲムに引っ張られている。それによって浮かびそうになるも、必死に地上に足を着けて、どれだけ茨の道を歩むことが痛かったとしても、自分の足でそれを受け入れる。
ゲムとは救いでもあったのだ。ゲムがあることによって、普通の人が欲しがる成功や、普通の人が欲しがるブランドを欲しがることがなかった。そうすることによってプライドが傷付くこともなかった。
本質的な問題はそれなのだと思う。ゲムがあると、それに助けられることによって、傷付く機会が減ってしまう。減ってしまうことによって、痛みに弱くなり、簡単な問題で前に進めなくなる。
難しい問題に直面した時にどうすることもできなくなる。お笑い芸人として成功するということ、多くの人の心を動かすネタを書くこと。そんな難しい問題に直面した時に、ゲムはその人のことを助けてしまう。
助けてしまうから、その問題に向き合わなくても良くなる。また別のどうでもいいことを考えさせるのだ。そういう仕組みになっている。
ゲムが与える問題は常に簡単なものだ。簡単な問題で時間を潰している間に、いつの間にか難しい問題が目の前から去ってしまう。
松野健はまだそのことに気付いていない。ゲムによって幸せがもたらされていたことに気付いていない。もしかしたら死ぬまで気付かないのかもしれない。自分のことを苦しめていたゲムが、自分のことを救ってくれていたのだということには気付けないのかもしれない。
しかしながら、いつかは全てにしっかりと感謝できるようになるのだろう。気付けなかったとしても、ゲムに対して感謝できるようになれるはずだ。
とにかく、松野健は善い方向へと進んでいた。浮かんでいる最中はほとんど止まっているような生活をしていたが、ようやく動き出すことができたのだ。
二人は松野健の狭い部屋に辿り着いた。前まではなんとも思っていなかったその空間に対して、前よりも激しい嫌悪感を抱くようになった彼は、こんな生活から抜け出したいと思っていた。
現実を誤魔化すことなく直視するようになった。広い部屋に住みたいという当たり前の感情が前よりも強くなる。そんな当たり前のことすら、どうでもよかった。
あまり大きな声でネタ合わせをすることができないのもストレスだった。そこまで壁が厚いわけでもないので、隣人に気を遣う必要があるのも億劫だった。
普通のお笑い芸人が、普通に愚痴として言っているようなことに共感できるようになった。ゲムから解放されることで、普通になっていく松野健。
普通の人に向かって漫才をしている以上は、普通である部分がなければいけないのだ。しかし、だからといって全部が全部普通であってはいけない。
後はそのバランスの問題だった。しっかりとしたバランスで自分と向き合うことができるようになれば、松野健は漫才師としてだけではなく、人間としてあらゆることで成功できるようになる。
そんな空間でネタ合わせをしている二人。当然のように、林は自分の意見を松野健へ伝える。彼もそれを受け入れるか悩む。そして、受け入れるべきだと思ったものに関しては受け入れ、そうでないものに関しては受け入れない。
それだけの話だ。そして、人生にとって大事なのもそれだけの話だ。受け入れるべきを受け入れ、受け入れるべきではないものを受け入れない。
それをしっかりとやっていけば自ずと自分からゲムは去っていく。そうすれば、後は自分の才能の有無で全てが決まるようになる。才能があることをやれば、成功できるようになる。
二人には才能があった。なので、成功するのだと思う。どのような形で成功するのか、それまで二人が歩いていけるのかは、分からないが、それでも、成功することができる人間ではあるのだと思う。




