青色
何度電話しても、彼は電話には出なかった。
怖くて家から出られなかった私に一つのダンボールが届いた。
差出人は書かれていなかった。
ダンボールを開けるとこみ上げてくる花の香り。
箱の中にはたくさんの紫陽花と青色のスカートが入っていた。
意識が落ちる。突然の事態に私の頭はついて行かなかった。
私が倒れてから何分、何時間が経ったのだろう。外はもう黒でおおわれていた。
倒れたからと言って目の前にあるダンボールが消えるわけではない。
甘ったるい紫陽花の香りに頭がくらくらする。
これは誰が送ってきた?
何のために?
考えることが多すぎる。
考えてもわかることではないが、考えないわけにはいかない。
考えることをやめてしまえば、きっと可笑しくなってしまう。
私はそのダンボールをゴミ捨て場に捨てに行った。それでも部屋に残る紫陽花の匂いはとれなかった。
彼からの電話はまだ無い。
それからというもの、毎日差出人の書かれていないダンボールが届いた。
また何が入っているか分からないものを見るつもりは無い。
私はすぐにゴミ捨て場に捨てに行く。
2年記念日まであと2日になったある日。
いつもと同じ差出人の分からないダンボールと青色紫陽花がついたカードが届いた。
なぜか分からないが私はそのカードを開いて中身を読んだ。
そのカードには『貴方へ。ダンボールの中身には貴方の一番好きなものを入れています。きっと喜んでいただけてるでしょう。もし貴方が私に会いたかったら6月3日この場所の屋上に来てください。』と書かれていた。
このメッセージの下には指定された場所の住所が書いてあった。
私は迷わずダンボールを開けた。なにか嫌な予感がしたからだ。
ガムテープをめくり、蓋を開ける。
すると、そこには切断された手が入っていた。その指には私が彼にあげた指輪がはめられていた。
私は叫んだ。喉がかれ声が出なくなるまで。そして私には警察に行くという考えはなく、6月3日。これを送ってきた人間の元に行くという考えしかなかった。