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紫陽花  作者: なつ太
4/6

青色

何度電話しても、彼は電話には出なかった。

怖くて家から出られなかった私に一つのダンボールが届いた。

差出人は書かれていなかった。


ダンボールを開けるとこみ上げてくる花の香り。

箱の中にはたくさんの紫陽花と青色のスカートが入っていた。


意識が落ちる。突然の事態に私の頭はついて行かなかった。





私が倒れてから何分、何時間が経ったのだろう。外はもう黒でおおわれていた。

倒れたからと言って目の前にあるダンボールが消えるわけではない。


甘ったるい紫陽花の香りに頭がくらくらする。

これは誰が送ってきた?

何のために?


考えることが多すぎる。

考えてもわかることではないが、考えないわけにはいかない。

考えることをやめてしまえば、きっと可笑しくなってしまう。


私はそのダンボールをゴミ捨て場に捨てに行った。それでも部屋に残る紫陽花の匂いはとれなかった。



彼からの電話はまだ無い。


それからというもの、毎日差出人の書かれていないダンボールが届いた。


また何が入っているか分からないものを見るつもりは無い。

私はすぐにゴミ捨て場に捨てに行く。


2年記念日まであと2日になったある日。

いつもと同じ差出人の分からないダンボールと青色紫陽花がついたカードが届いた。


なぜか分からないが私はそのカードを開いて中身を読んだ。

そのカードには『貴方へ。ダンボールの中身には貴方の一番好きなものを入れています。きっと喜んでいただけてるでしょう。もし貴方が私に会いたかったら6月3日この場所の屋上に来てください。』と書かれていた。

このメッセージの下には指定された場所の住所が書いてあった。


私は迷わずダンボールを開けた。なにか嫌な予感がしたからだ。

ガムテープをめくり、蓋を開ける。

すると、そこには切断された手が入っていた。その指には私が彼にあげた指輪がはめられていた。


私は叫んだ。喉がかれ声が出なくなるまで。そして私には警察に行くという考えはなく、6月3日。これを送ってきた人間の元に行くという考えしかなかった。


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