さがしあて
「え!?・・・え、と、・・その、」
いくつか言葉がうかんだが、口からだせない。
「金銭目的でも、性的目的でも、レイなら両方ありえるだろう? だけど、ちがう」
ザックがだせなかった疑問にウィルはこたえてくれた。
でも、じゃあ、なんだ?
なんだかいやな気分になって顔をこすったザックに、「頭のいかれたやつらだ」とジャンがはきすてるようにいう。
「『やつら』?」
複数?
「《神の遣い人》は今この世界に実在していて、彼らはこの世界のこれからを動かせる力をもちながら隠れて暮らしている。とくに《光の子》はその《光》をただしくつかわねば、世界が滅びることになる。 なんて、狂った発想の宗教をはじめた男がいた。 ―― 信じられねえことに、その考えに同調して、《光の子》をさがしだそうっていう『信者』もできてた。 そいつらがどこからか・・いや、ただしくは、バートの同級生からだが、・・・レイのことをきいて《さがしあて》て、まだ十歳にもなってなかったレイをバートの名前をつかっておびきだして・・・『光』をとりだそうと、レイのことを切り刻んだ」
「・・・は?」
意味がわからない。
はなすことに疲れたようにジャンがちかくの椅子をひきよせる。
「・・・ほら、あの神話にあるだろ? 神様が、《光の子》を手にいれたらこの世を手にいれるみたいな変なこというはなし」力つきたように腰をおとす。
「あ、なんか、ほかの国からきた神様に《遣い人》を自慢するはなしだっけ?」
こどものころ学校できいたような気がする。
「自慢して、奪われそうになってそれが発端で他国の神々と戦争はじめる、なんていうやつだ。 あれのせいで『光』をてにいれれば権力をにぎれるみたいな解釈がひろがったんだろうが、それは今はいい。 ―― とにかく、レイをおびきだした男は、レイのことを『光の子』だと言い張って、光の正しいつかいかたを知ってる自分が、その『光』をとりだすために、『神のしるしをさがしていただけだ』って、捕まった時から言い続けてる」
「とりだす?」
やっぱり意味がわからない。




